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本編

25(レイス視点)

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「は?」

 呆気に取られた様子のレイ。

「私も動植物の時間操作くらいしか出来ないから……、残念だわ…」

 ジト目で、なんでそんな事が出来るの? そう顔に書いてあるよ、わかりやすい子だね、君は。

「「「趣味で…?」」」

 ポカンと口を開けて、こちらを見てる。その顔も可愛らしい。

「でも、こんな美味しいものや色々と生みだしてたら、王家にレイちゃん狙われちゃうわね。商品化するとしても、レイちゃんの名前は出さない方が良いわね……」

「そうしよう」

「そうだね。アイツなら今のレイシアなら狙ってきそうだ……」

「あの…、私なにか不味いことしてますか……?」

 会話の流れが怖くなった様子で、レイがおずおずとそう口にする。

「良いのよ、レイちゃんは好きにしてて。あの馬鹿達からあなたを守るのは私達の役目よ、頼って頂戴」

「召喚って…、私の世界の動物もですか?」

「異世界は……、やった事ないけど、やってみる? 肩に触るね。想像してみてくれるかな?」

「決まりました」

 そうかな声がして、幻獣召喚の呪文を口にする。
 足元に見たことのない様な、愛らしい薄茶色の柔らかそうな毛並みの生き物がいた。

「成功するもんだね~…」

 そうレイに笑いかけると、見慣れない生き物に優しく声をかける。

「はじめまして。どうかな。君ここに住んで見る気ないかな?」

 そう兎に問いかけると、『わかった…』そう聞こえた気がして、契約が完了した。

「可愛い~! 耳が長いのね! 初めて見たわ!
レイちゃんのいた世界の生き物?」

 抱き上げて母上が言う。

「ほう…、可愛いもんだな…」

「同郷の生き物でも、一緒に居てくれたら、少し気休めになるでしょう?」

 僕がそういうと、レイは質問をしてきた。

「この子の思ってる事わかるんですか?」

 あぁ、生き物と意思の疎通は出来るのが不思議なのかな…。

「うまく行ってよかったよ。召喚獣みたいなものだからある程度は意思の疎通は出来るかな…」

 僕はそう答えた。

「そうなんですね…。牛とか鶏を召喚して、繁殖させて数を増やしたら、新鮮な卵やミルクがいつでも手に入りそう。先は長いけど…」

「そうねぇ、そういうことなら、召喚できたら私の魔法が役に立たないかしら? モンスターと戦って入手する今の状況より、ずっと良くなるわ。屋敷の裏手に牛舎とか建てたらどうかしら…」

「いいな。起業したと言って、内情を明かさなければ、アイスクリームのお店も作れるかもしれないな…」

 思いつきを言っただけだったらしいレイ。だけど懸念点が無くなって、父上と母上が、新しい事業始める気満々だ。

 この不用意にすごい発送を生み出す彼女を守らなければと改めて思った。
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