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本編

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「でも、娘がいるとわかったら、その時点で縁組とか組まれそうじゃないですか? 手っ取り早く……」

「やはりそう思うよな…。対外的に娘がいるのは、明かしてない。レイシアが生まれた時点で、金髪青い目の女性を見ると、擦り寄るアホ王子がいたからな」

 お父様にしては言葉選びが辛辣……。

「あのアホは、レイシアを見たら金髪に青い目、その上好みのタイプで、未来へつながる架け橋アルクときた。無理矢理にでも婚約者にするだろうな……」

「はぁ……」

 実感のわかない私は、力なく頷くしか出来ない。

「レイちゃんを、無理矢理にでも娶ろうなんてしたら、領地ごと独立でもしてやりましょう?」

 ぷんすかと言った感じに可愛らしく怒りながら、お母様は言う。

「公爵家に勝手に来るし、レイシアに言い寄られたら困るから、誰かしらレイにもついてるんだ。ティーファも戦えるメイドだし、護衛も兼ねてついているんだよ。部屋は結界があるから大丈夫だけど。それ以外の場所だと一人にしてないでしょ? 多分」

「あぁ、私が迷子になりそうだから一人に出来ないのだと思ってました」

「そんな訳だから、クロスフォードってバカ見かけたら、気にせず逃げてね」

 何事もなげに爆弾発言を投げられる。ティーファさんが戦闘要因? しかも、レイス様との婚姻が確定みたいな…。
 
「この国の王子なんですよね…?」

「そうよぉ~」

「そうだな。尊敬に値するならともかく。むしろ獅子身中の虫だな…」

 お母様の言葉を継ぐようにして、お父様が言葉を続けた。

 この国の王家とは……? と疑問に思いつつ、黙り込むと手元のパンをお父様もお母様も見ている。

『欲しいのかな?』

 そう思い、「お二人の分も作りましょうか?」というと嬉しそうにお願いされた。

 パンを2つに割り、ドレッシングのかかってない部分のレタスをしき、厚切りに仕上げられた、ベーコンのような味わいのパンチェッタと半熟の目玉焼きにタルタルソースをふんだんに乗せて、3人に渡す。

 一口一口と口内へ含むと、その度に笑顔が溢れる。遅ればせながら私も食べて見る。玉ねぎのスライスとかあったらもっと良かったかなとか、ケチャップソース乗せたら味の深みが違ったのかなとか、次回の改良点を考えつつ、完食する。

「あ、フライドポテトや唐揚げも食べてくださいね。白米も生姜焼きも、おかわりありますから…」

 そういうと、重い話をしていたはずなのに、いつもの和やかな雰囲気へと戻った。

 でも…、王家か……。想像がつかないけれど、関わらないにこした事はないだろうと思いながら、慣れ親しんだ味をたくさん味わった。

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