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本編
70(レイス視点)
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「あのアホは、レイシアを見たら金髪に青い目、その上好みのタイプで、未来へつながる架け橋ときた。無理矢理にでも婚約者にするだろうな……」
いつになく熱くなっているのは自覚している。妹としてのレイシアでも、あんな風にだらしない男の餌食にはしたくない。不愉快に感じるほど、王子の女好きは度を越えていた。
「はぁ……」
ポカーンといった感じで、会話をただ聞いているレイ。気持ちはわかる。3歳で女好きとか目も当てられないし、自分が餌食にされるかもなんて話をされてどう答えて良いものかわからないのだろう。
「レイちゃんを、無理矢理にでも娶ろうなんてしたら、領地ごと独立でもしてやりましょう?」
普段穏やかな母上も怒り心頭といった様子で言った。
「公爵家に勝手に来るし、レイシアに言い寄られたら困るから、誰かしらレイにもついてるんだ。ティーファも戦えるメイドだし、護衛も兼ねてついているんだよ。部屋は結界があるから大丈夫だけど。それ以外の場所だと一人にしてないでしょ? 多分」
権力に物を言わせて、相手を誘導するのは、クロスフォードの得意技だろう。
だからこそ、僕たちの意志を伝えておかなければならない。
レイやレイシアを犠牲にしてまで、忠誠を誓う相手ではないと。
「あぁ、私が迷子になりそうだから一人に出来ないのだと思ってました」
「そんな訳だから、クロスフォードってバカ見かけたら、気にせず逃げてね」
ティーファが戦闘要員って伝えてなかったっけ……。かなり動揺してるレイが、どうにも愛らしい。
「この国の王子なんですよね…?」
「そうよぉ~」
「そうだな。尊敬に値するならともかく。むしろ獅子身中の虫だな…」
母上の言葉を継ぎ、父上が言葉を続ける。
レイは呆然と、固まっている。その手元には僕用にと作られたパンが握られたままだ。
不意にパンを父上も母上見ている? こんなに食べ物に執着をする人達だっただろうか? そんな事をふと思う。
栄養さえ取れればいい。僕も含め、そういう人間だったはずだ。レイが変えてくれた。食べる事の楽しさと驚きを…。そして、また食べたいという喜びを…。
レイは、何やら思い至ったのかいった。
「二人の分も作りましょうか?」というと、父上も母上も、この上なく嬉しそうにお願いしていた。
パンを2つに割り、レタスやパンチェッタに半熟の目玉焼きにタルタルソースをふんだんに乗せて、僕や父上や母上に渡してくれた。
口へ運ぶと、パンから滲み出る甘さや、タルタルソースと言われるタマゴやたまねぎの混ぜられたソースか絶妙にあっていてすごく美味しい。僕らの様子をしばらく 眺めていたレイも食べ始めた。
「あ、フライドポテトや唐揚げも食べてくださいね。白米も生姜焼きも、おかわりありますから…」
そうレイがいうと、重い話をしていたはずなのに、いつもの和やかな雰囲気へと戻っていった。
いつになく熱くなっているのは自覚している。妹としてのレイシアでも、あんな風にだらしない男の餌食にはしたくない。不愉快に感じるほど、王子の女好きは度を越えていた。
「はぁ……」
ポカーンといった感じで、会話をただ聞いているレイ。気持ちはわかる。3歳で女好きとか目も当てられないし、自分が餌食にされるかもなんて話をされてどう答えて良いものかわからないのだろう。
「レイちゃんを、無理矢理にでも娶ろうなんてしたら、領地ごと独立でもしてやりましょう?」
普段穏やかな母上も怒り心頭といった様子で言った。
「公爵家に勝手に来るし、レイシアに言い寄られたら困るから、誰かしらレイにもついてるんだ。ティーファも戦えるメイドだし、護衛も兼ねてついているんだよ。部屋は結界があるから大丈夫だけど。それ以外の場所だと一人にしてないでしょ? 多分」
権力に物を言わせて、相手を誘導するのは、クロスフォードの得意技だろう。
だからこそ、僕たちの意志を伝えておかなければならない。
レイやレイシアを犠牲にしてまで、忠誠を誓う相手ではないと。
「あぁ、私が迷子になりそうだから一人に出来ないのだと思ってました」
「そんな訳だから、クロスフォードってバカ見かけたら、気にせず逃げてね」
ティーファが戦闘要員って伝えてなかったっけ……。かなり動揺してるレイが、どうにも愛らしい。
「この国の王子なんですよね…?」
「そうよぉ~」
「そうだな。尊敬に値するならともかく。むしろ獅子身中の虫だな…」
母上の言葉を継ぎ、父上が言葉を続ける。
レイは呆然と、固まっている。その手元には僕用にと作られたパンが握られたままだ。
不意にパンを父上も母上見ている? こんなに食べ物に執着をする人達だっただろうか? そんな事をふと思う。
栄養さえ取れればいい。僕も含め、そういう人間だったはずだ。レイが変えてくれた。食べる事の楽しさと驚きを…。そして、また食べたいという喜びを…。
レイは、何やら思い至ったのかいった。
「二人の分も作りましょうか?」というと、父上も母上も、この上なく嬉しそうにお願いしていた。
パンを2つに割り、レタスやパンチェッタに半熟の目玉焼きにタルタルソースをふんだんに乗せて、僕や父上や母上に渡してくれた。
口へ運ぶと、パンから滲み出る甘さや、タルタルソースと言われるタマゴやたまねぎの混ぜられたソースか絶妙にあっていてすごく美味しい。僕らの様子をしばらく 眺めていたレイも食べ始めた。
「あ、フライドポテトや唐揚げも食べてくださいね。白米も生姜焼きも、おかわりありますから…」
そうレイがいうと、重い話をしていたはずなのに、いつもの和やかな雰囲気へと戻っていった。
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