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新たなる一歩
4 (碧 視点)
しおりを挟む千聖さんに教わった様に歩いて、20分程かかるかかからないかで、鳴の通っている学校らしき大きな敷地が見えてきた。
鳴は自転車とかいうのに、乗って来てるらしいけれど。 すぐには無理でも待ってれば捕まるか……。
そう思い、校門らしき方角を見ると、鳴らしき姿が見え、女生徒に囲まれ、一方的に何か言われてるみたいだった。
他の連中はなにやら俺のいる方角を見て頬を染めている。
なんてタイミングだよ。 それに俺なんて見て楽しいかよ…。
本当に訳わっかんねぇの……。 人間から見て、好感の持てる見た目らしいって事は、千聖さんに聞いたけど…、正直、実感がわかない。
振り返ってまで見る程、珍しいかよ。
そんな事を思いつつ、歩を進めて鳴に近づく。 なにやら視線が集まっている。
鳴になんか言ってた、3人程の小娘共も、こちらを見て「格好いい…」やら「私達に声かけてくれるのかな?」やら、つぶやいている。
正直な話、彼奴等には興味はない。
今にも泣きだしそうなのを、堪えてる鳴を掴まえて、何してるんだよ。
感情を抑える必要も、あまり感じられない。
そのせいなのかわからないが、かなり冷めた声がそこらに響いた。
「鳴、迎えに来た。 あんたたち、こいつ連れて帰りたいんだけど、なんか用案あんのかよ?」
冷たく言い放つ。
「お別れの挨拶をしてだけです…」
…なんて口々にいい、鳴に嫉妬のこもった視線を向けてくる。
「迎えに来たからから、一緒に帰ろうぜ…」
そう言うと、俺は歩き出す。
鳴も黙って自転車を押しながらついて来る。
「気晴らしに公園でも寄ってく?」
鳴は下を向いたまま、コクリと頷く。
「あいつらに囲まれて、なんだか知んねぇけど、泣きたいんだろ。 千聖さんには言わねぇから、今の内に泣いとけば? 肩くらい貸してやるし…」
多分鳴に必要なのは、気持ちを整理する時間だろうな。
そう思い肩を貸す。
鳴は俺にしがみつく様にして、しばらく泣いた。
気持ちを、受け止めてくれる相手でも、出来りゃあ、話は変わってきそうだ。
「まだガキなのに、偉いな」
そういうって頭をグシャリと撫でる
「一人で何とかしようとするの、大変だよな。 鳴はすごいぞ!」
俺を見上げると、大粒の涙を浮かべながら、鳴は笑おうとしてる。
キツイだろうに、目一杯愚痴三昧聞かされても、可笑しくないと思う…。 けれど、泣いてもあんまり相手の悪口を言わない。
本当に強いと思う。 本人は認めないかもだけど。
涙も落ち着いた頃に、鳴は少し笑った。
周りの為に笑えるのは、本当にすごい事だと尊敬する…。
人の悪口を言い、貶めてマウントを取る。 大半の人間はそんなもんだろう。
下手すると、よくもまぁそんだけ、怒りを持続出来るものだな…と、呆れてしまう人間もいる程だ。
「ねぇ、お兄さん。 今日はお散歩? それとも、逃げ出したの?」
絶対そんな事、思ってないくせに、笑いをこぼしながら、軽口を扣く。
涙を堪えながら、そんな事をいい、いつまでも泣き続けない鳴…。
どうしたら、楽になれるんだろうな。 いつか解決できるといいな。
いつか、三人で見つけような…。 心の中でそう誓う俺だった。
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