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家族

家族5★

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 ★★★

 焼きそばの材料をキッチンに取りに行き、裏庭へと戻ると、心待ちにしていたらしい詩紋しもんちゃんが抱きついてきた。

「私も、あのイロモノの千鶴いなければ、ついて行きたかった~」

 千鶴さんは、二人に通常呼び捨てされてるのか……。そんな事を思ってしまい、少し苦笑しつつも「ありがとね」そう伝え、詩紋しもんちゃんを撫でる。


 ★★★

 あやかしの木に頼めば、海鮮焼きそばも材料を出してくれるけど、今日はオーソドックな焼きそばの気分。みんなの口に合えばいいなと思いつつ、鉄板にごま油をたらす。

 人参、ピーマン、玉ねぎ、キャベツにもやしといった、焼きそばの具に火を通していく。
 少し離した場所で、お肉も火を通していく。

 野菜がしんなりしてきたら、塩と粗挽きコショウに、粉末調味料のおだしを使って、軽く下味をつけてもう少し炒める。

 私の焼きそばは、何故か「別名が焼きそばと言う名の野菜炒め」と言われる程に野菜が多い。

 レンチンしてきた焼きそばの麺も、炒めながらお野菜と一緒に炒めていく。
 そろそろかな?

 中濃ソースとウスターソースを、それぞれかけつつ味を調整していく。
 ジューッといい音をさせながら、香ばしいソースの香りが広がっていく。

 ちょっと味見をして、最後に味の最終調整をしたら完成だ。

「出来たからお皿持ってきてねー」

 みんなの食べれる量を確認しつつ盛ると、私の取り分を残して、既に完売状態になった。

 みんな細身なのによく食べるぁ……。
 これならサプライズで作っておいた、アレも完食するかも知れないな。 

 ふとスカートが引っ張られ、そちらの方へと目を向ける。
 何故か終始、私のそばで焼きそばを美味しそうに、食べていたはずのロゼくんが私を呼んだらしい。

「美味しい……」

 私を見上げる様にして、言葉少なにそう言うと、にっこり笑顔をみせてくれた。可愛いなぁ。つるりとした頭をひと撫ですると、はにかんだ様に更に、笑顔を深めるから愛らしい。

 千鶴さんも「妖力の増加がすごい……!それに美味しい…」とよくわからない褒め方をしてくれる。

 私も紅生姜をたっぷり乗せて、熱々のうちに口にする。口の中いっぱいに野菜の甘味が広がり、香ばしいソースの香りが鼻を抜ける。
 うん。美味しくできたかも!

 何やら今日はたくさん料理したなぁ、楽しいなぁ。締め切りまで時間はあるけど、お仕事も進めなきゃな~。なんてそんな事に思いを馳せる。

 焼きそばだけじゃなく、たくさんあったはずのバーベキューの食材も完売状態。

「大したものじゃないけど、デザート食べますか?」

 私がそう声をかけると当たり前のように、みんな目を輝かせながら、頷いてくれる。

 空き皿を持てるだけ持って、運ぼうとすると「今度は詩紋しもん樹里じゅりさんといくの~!」と詩紋しもんちゃんが運ぶのを手伝ってくれた。


 ★★★

 そして締めは、フルーツポンチ!
 りんごやパイナップルにキウイ、オレンジと桃缶を食べやすいサイズに切ったフルーツ。それらの入ったボウルに、残っている缶詰のシロップとレモン汁をたくさんかける。

 それらをお盆に乗せて、500mlのサイダーを数本乗せ裏庭へと持っていった。

 裏庭に常備してあるテーブルに、ボウルやペットボトル等を、小皿と一緒においていく。食べたい分だけ取り分けて、サイダーをかけて完成という簡単なもの。

 本来は、もっと違うものなのかもしれないけれど、私の中のフルーツポンチといえばこれ!

樹里じゅりさん!これ美味しいです!!」

 せつくんが喜びの、あまりお皿を置いて顔を擦りつけてくる。

 可愛い……けど、どさくさに紛れて、お口拭いてる気がしなくもないのは、気のせいだろうか……。
 小鳥ってさり気なく拭くよね……。


 ★★★

 みんなと食べるのが楽しくて、美味しくて、つい食べ過ぎちゃったな……。
 そんなことを思いつつ、思いもよらぬ立食パーティのような時間に、私は充実感を覚えた。
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