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家族

家族8★

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 ★★★

 朝の身支度を済ませて、キッチンに向かうと、せつくんが待っていた。

「何から手伝えば良いですか?」

「朝ごはんは卵焼きとお味噌汁と……、焼き鮭に納豆にしようと思ってるんだけど、みんな食べれるかな?」

 家にあるものを思い浮かべ、メニューを考えながら口にする。

「好き嫌いはあまり無いので、大丈夫だと思います」

 せつくんはそう言うと、キッチンにかけてあったエプロンを渡してきてくれる。

「ありがとう」

 エプロンを受け取り身につけると、まだ使っていないフリーサイズのエプロンがいくつかあったことを思い出し、せつくんにも手渡すと、「こういうのつけるの初めてです!」とはにかむように笑った。

「お米とぐのお願いできるかな??」

 そう言うと、「わかりました!」と炊飯器からお釜を出してくる。

 ここに軽量ができる米びつあるから、炊く分だけ押せばいいのだけど。みんなは本当によく食べる……。何合炊けば良いのか……。

 あまりあやかしの木に頼りすぎると、味覚が肥え過ぎて、あやかしの木産以外のものが、食べれなくなる予感しかしない。

「人の食べる量で大丈夫ですよ。ここは妖力が満ちているので、僕らも本来は食べなくても問題ないんです」

「あの…、樹里じゅりさんの作るご飯が美味しくて、幸せな気分になるので、一緒に食べたいだけなんです…」

 そう言うと、雪くんは頬を染めた。

 なんて可愛い事を言うんだろうか、この子は。もっと美味しいものを、作れるように頑張ろう!

 手羽トロ……、長ねぎ……、も欲しいなぁ。
 でもまた共食い……?本人たちが平気そうだし甘えちゃうか。

 ★★★

 せつくんが、お米を研ぎ終わったらしい。

「炊飯器に入れますか?」

 そう聞いてくれたので、「そうだ!」と研いだお米と分量の水の中に数滴にがりをたらす。

「炊飯器にセットしていいよ?」

「あやかしの木に、なにか実ってます。縛りつけてるやつが、うるさいと思うので僕が取ってきますね」

 そう言って、せつくんは裏庭に行ってしまった。

 個人的な好みだけど、納豆は丼にわけぎや鰹節、塩一摘み、卵に醤油をかけ入れたのを食べるのが好きだ。

 気分によって、キムチや梅や青じそをたくさん入れて風味を変えるのも楽しい。今日は実家で良く家昔から食べていた、オーソドックスなものを作る。

「あ~!納豆だけだけどもう作ってる!今度この味付けも教えて下さいね?」

 大急ぎで帰ってきたらしい、せつくんには悪い事したかな。

「また改めて教えるから、ごめんね…?」

「はい!今日は他のを教えてもらいます!」

 そう言うと、ニコリと笑ってくれた。

 お水に火を通し、お味噌汁の準備をする。なめことお豆腐とわけぎをたっぷりいれたお味噌汁の手順や、卵焼きの下味や手順を、せつくんに説明しながら作っていく。

 あまりの吸収の速さに、この子外見も大人になったら、すごくモテそうだな~、なんて思ったのは内緒…。
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