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家族

家族9★

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 せつくんが持ってきてくれた、手羽トロと長ねぎを一口サイズに切る。

 お肉を切る前に、水菜とキュウリもせん切りしてボールに混ぜておいた。

 やってみたそうなせつくんに、怪我しないように気をつけて? と伝えた上で、包丁を渡す。

「こんな感じでいいですか?」

 私が切っていたのを見本にして、大きさは真似ているみたい。

「うん! 上手! このくらいの荒塩を、軽くお肉と長ねぎにまぶして置いてね。それじゃフライパンを熱するね!」

 私は用意していたフライパンに火をかける。

「油は入れないのですか?」

 不思議そうに言われるけど「これには使わないよ」そう答え、手羽トロの皮の方から弱火でジリジリと焼いていく。鶏肉の皮の油が出てカリカリになったらひっくり返す。油が出てきたら隙間に長ねぎも入れて焼いていく。

 火が通ったお肉を一口味見。
 塩加減もいいみたい。

「作ってる人の特権よね。熱いからやけどしないようにね」と、焼き上がった鶏肉を、せつくんに食べさせてあげる。

「あれ? 焼き鳥みたいな味がする…。塩味のねぎまみたいな……」

「そうだよね~! 簡単に焼き鳥風味で食べれるからこの焼き方が好きなの!」

 あとはフィッシュロースターで鮭を焼くだけだから、せつくんと、みんなを起しにいく。

「もうすぐご飯だよ~?」

 そう声をかけたら、詩紋しもんちゃんもロゼくんも起きていた。

「叔父さんいない……」

 ロゼくんがそう言うと、「またセクハラしてたから、あやかしの木にお願いしてるよ」とせつくんがいう。

「「あぁ……、また…」」

 二人は納得したみたいで、ご飯時には一応解放するから…、なんて話を3人(?)でしていた。

「お顔洗ったらご飯食べよう?」

「僕も手伝ったんだ」と嬉しそうに胸を張るせつくん。

「私もお手伝いしたい……」

 そう詩紋しもんちゃんもいうので、今度一緒に作ろうねと声をかけると、ロゼくんまで神妙な顔して頷いた。


 みんなにできる範囲でお手伝いを頼み、フィッシュロースターの電源を入れる。

 少し深めのお皿に水菜ときゅうりを盛り付け、市販の胡麻ダレのドレッシングをかける。再度、鶏肉と長ネギを火にかけ温めてから、熱々の鶏肉と肉汁をサラダの上に乗せていく。

「そのまま食べても美味しいのだけど、サラダ好きならこっちの方が嬉しいかなと思って」

 そう言って、せつくんたちの顔を見ると、目がキラキラしてる。本当に好きなんだね、サラダ…。

「仕方ないから、叔父さん連れてきます。先に食べててもいいですよ?」

 そう言いながら、千鶴さんを迎えに行くせつくんは、たまに驚くことをするけど
 すごく優しいなと思う。

 焼き上がった鮭をお皿に盛り、サラダ用の小皿を準備して、せつくんと千鶴さんの到着を待ち、みんなで朝ごはんをワイワイと食べたのだった。
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