Rotstufen!!─何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されかけたので日本に帰ってきました─

甘都生てうる@なにまお!!

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第2章 Alea iacta est!(本編本格始動の章です)

✨8話1Part とーきょー?東京!!日本の大都会·東京に行くお金は、元魔王達には残っているのでしょうか!?

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 晴瑠陽曰く大天使?2人組の襲撃により大穴が空いた我が家。バイト後で単純に疲れてたし、修理費とか元々が貧乏だってところとか色々で焦ってる時に、


「東京、行くよ!!」


 太鳳のこの一言で、俺と的李以外の、その場にいた全員がぱっと顔を上げた。......期待を充分に示した目で俺の方をじっと見つめて。


「......望桜、東京いけるの......?」

「待て待て!金がかかるようじゃ当然、行けねえよ!!」

「今回ばかりは望桜に賛同するのだよ!!太鳳!!一体どういうことなんだい!?」

「せいかたんの家が東京にあって、それで、この間のアオンでの事とかでまおまおに一般市民護ってもらったり、結果的にせいかたんとるいるいの命を助けたりしたでしょ?そのお礼で不本意ながら数日の東京旅行代の補助少しと安めのホテル探し、それからほんっっとうに不本意ながら自宅に泊めてあげるって!」


 せいかたんは聖火崎、るいるいはルイーズ......と頭の中であだ名の把握と確認をする望桜。


 太鳳の常に楽観的な考え方には、いつも引っ張られるし何かについて深刻に考えてしまっている時も"とりあえず一旦休もう"みたいに考えさせられる。

 ......金のこと気にしなくていいなら、もういいや。それに泊まるところができるなら万々歳だし。何より俺が東京行きたい。めっさ行きたい。やっぱり日本の中でも田舎の方(失礼)の人達とかって、東京や大阪に憧れるよなー......


 てか1つ問題があるよな......


「それ色々やばくないか!?仮にもうちは男4人の男所帯だそ??それがいくら勇者といえど聖火崎1人の家に泊まるなんてよ!!」


 仮にも女1人の家に男4人が泊まるのは、世間的にみてどうだろう?やばくないか?ってか4人を泊められるスペースあんのかよ......


「当日はボク達も着いてくし、るいるいも居るから大丈夫!!」

「そういう問題じゃないのだよ......はあ、旅費が少し程度補助してもらえたって、それでも払えないくらい一応うちはギリギリ生活だし、そこに晴瑠陽も加わってさらにギリギリになるのに......」

「それは問題ないよ!!ボクがまおまお達を東京に呼んだってことで、と、く、べ、つ、に!!仕事(という名の錬金術)でお金の工面してあげる!!それに、そこのはるるんは、個別でお金貯めてたみたいだよ?」

「「「え、」」」


 太鳳からのさらに驚きのカミングアウトに驚きを隠せない一同。え?晴瑠陽が!?


「......うん......、日本に来て望桜達や、他の悪魔が居ることが確定するまで......一時的に身を寄せてたところで、株とハッキングの依頼で稼いでた......」

「マジか、それうちでもやってくれよ!!」

「......株は......無理。でもハッキングの依頼、くらいならやるよ......?」

「おっし!!」

「貴重な収入源がまたひとつ増えたのだよ」


 晴瑠陽も元魔王と大悪魔2人にとっての貴重な収入源になりうるとわかった途端、機嫌が良くなり始める望桜と的李。


「3人バイトで働き始めたら、まおまお達のギリギリ生活終わるかな?」

「無理だと思うけど。......望桜!」

「んお?鐘音どした?」

「その人格を指す名が晴瑠陽でいいんでしょ?晴瑠陽以外の人格の時は、変わらず収入源は2つのままだよ。忘れちゃだめ」

「あっ......な、なあ晴瑠陽!!人格ってどのくらいでチェンジするんだ!?」

「......1、2週間ぐらい......?でもふとした拍子に変わることもある......」

「うわ......」

「そしてそろそろ僕と他がチェンジするはず......4日しか経ってないけど、色々あったから......」

「他って......紅目か?」

「多分......」


 紅目の子......元気だが、純粋無垢で何より活発すぎて煩いくらい。それが紅目のアスモデウスだ。べつに元気なのに越したことはないが、如何せん元気すぎるのが問題だ。


「チェンジは晴瑠陽と紅目だけなのか?紫の奴は......?」

「......前に桃塚に言われたはず......紫は、体を長くは操作してられない......その分あまり表にも出てこない......でも、彼だけは、彼から派生しただけの人格である、僕達とは違ってチェンジはされない......それに彼は......好きな時に操作しに出てこられる......多分元気なら半永久的に体の操作ができるはず......」

「長く操作してられないのは、大昔の惨劇の件でだろ?なら、その精神に溜まってるケガみたいのを治せばいいんじゃないか?ちょっと呼び出してみるか......」

「ん......いいよ、出てきてもらおう............」


 そう言って目を閉じて俯く晴瑠陽。だんだんと寝落ちた時みたいに頭が下がっていって......


 ゴッ、


「......痛っ!!」


 床に頭を打ち付けた。途端、喚声をあげて、それと同時にガバッとはね起きた。


「いっった!!何これ、床?なんで僕床に頭打ち付けてるの?ってかここどこ!?」

「よう、4日前は世話になったな」

「ん?あ、13代目か。なんで僕を呼び出したの?」

「まーその話は置いといて、ここに手置いてくれ」

「ん?ここ?」


 望桜が手を置けと指示した位置は、望桜の手の上。その手の上に、なんの疑いも持たずに手を置く紫の彼。


「治癒魔法 《ヒール》......と、どうだ?」

「ん?あ、もしかして怪我、治そうとしてる?無理だよ。通常の治癒魔法じゃ治らないから放置してあるのに」

「ほほう......それなら、治癒魔法 《リザレクション》......ほら、治ったろ?」

「だから、治らな......あ、あれ?なんか軽くなった......?あれ?」

「ほーら言ったろ、治った治った!これであとは、7、8分たってもお前がそのままなら、大丈夫だな!」

「......これも、魔王補正......なのかい?」

「ああ!補正の内容は一応全部覚えてるぞ、その中のこれは......味方に対する治癒魔法+強化魔法の効果増幅だな!」


 そう言って誇らしげにする望桜。魔王補正は、人間である望桜でも魔王としてやっていけるように、と召喚主である小悪魔が付けた付与効果だ。

 ......にしても、大悪魔クラスになっても付与効果(契約魔法)は付けられないもんなのに、なんで下級悪魔よりもさらに下クラスの小悪魔が付けられるんだろう?だめだ、未だにあの世界よくわからん


「ま、お前が外にいてくれないと困るし、この間の借りも返さないといけないし......な?」

「げ、僕やっぱ引っ込もうかな」

「ま、お、う、め、い、れ、い!!東京に行くから、その間はお前が表に出ててくれないと困るんだよ!!晴瑠陽は通常周期でチェンジするし、紅目の方は元気すぎて旅先で何かしら起こしそうだし、お前の方が良いんだよ!」

「えー!?......ってか、とーきょー?って何?」

「え」

「え?」

「は?」

「え?......え、だってだって!!僕今まで外出てないもん!!引きこもってたんだもん!!日本の事なんてし、知らないよ!!」

「......まじかーい......」


 ......まさか東京も知らないとは......


 的李と鐘音は自身の、日本に来たばかりの頃を思い出して、望桜は単純に拍子抜けして頭を抱えた。

 的李は来たばかりの頃、電子レンジで卵をチンしようとして爆発させ洗濯機を暴走させるのは日常茶飯事だった。それに何より訪問販売とか街を歩いている時のしつこい勧誘とかにも引っかかって、望桜を置いて魔界に帰ろうかと思ったりもした。

 鐘音はゲートから放り込まれたすぐ後は、警察に声かけられて警察署に連れ込まれ(家出中と勘違いされて補導され)て、理解もままならない日本語で質問攻めされまくったのだ。命令術式(自身より格下の相手に命令し、命令内容を確実に遂行させる魔法)という力技でなんとか脱出したが。

 皆が頭を抱える様を見て、ただ1人何もわからず困惑する紫の彼の所に、いつの間にか居なくなっていた太鳳が戻ってきた。


「まおまお~......て、あり?」

「な、なんか頭抱えて固まったんだよ、太鳳~」

「あ~、そっか!あ、まおまお達!帝亜羅ちゃん、梓ちゃんにも声掛けてきたからね~、べるねんのMINEにせいかたんの連絡先送っといたから、出発日とかの予定たててね~!!それじゃばいば~い!!」

「え、待って!!......これどうすればいいの!?皆目見当もつかないよ......」


 頭を抱えていた3人がようやく立ち直った頃、太鳳はすでに帰宅しており、紫の彼は廊下で寝落ちていたという。



 ──────────────To Be Continued───────────────



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