Rotstufen!!─何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されかけたので日本に帰ってきました─

甘都生てうる@なにまお!!

文字の大きさ
38 / 173
第2章 Alea iacta est!(本編本格始動の章です)

10話4Part 大悪魔、勇者軍元帥、...そして総帥と、人間界は陰謀の渦巻く大陸になってしまっているようですね

しおりを挟む
 

「......葵、葵~?」

「......ん、なに?」
  

 望桜達に貸し出されている部屋の机に突っ伏して眠っている葵に声をかけた。......なんかこの辺りでいい匂いっつーか、なんかむらむ......んん、とりあえずなんかめっさいい匂いする。

 芳香剤の匂いにも酷似しているようで月とすっぽんなその匂いについて、眠っているところ悪いが尋ねさせてもらったのが今の所存だ。


「お前......なんかこの辺りに、スプレーかなんかふったか?」

「ふる?って......こっち?」


 そう言って手をなにか握っている時と同型にして上下に振る葵。その様子を見て違うと首を横にふったら、今度は望桜が言いたかった方の"ふる"のジェスチャーをし始めた。


「......いや、なにもふってないよ?......え、もしかして僕から匂う......?すんすん......」

「すんすん......あ、確かにお前から匂うわ」

「んー......洗剤の匂いかな?」

「こんな匂いのは使ってねえはずだぞ」

「すんすん......うー、でも聖火崎んちが使ってるかもだし......たまに一緒にしてもらうから、それで......」

「......あー......」

「......自分じゃ分からないかなぁ......」

「んー......」


 匂いのことを言ってからずっと自身の服や髪をすんすんと匂い続ける葵。......ふと服のすそを捲し上げて、自然と横っ腹が垣間見える視点から望桜は葵を見ることになった。そして望桜は無自覚のうちに手を伸ばして......


「んんむ......ひあっ!?え、ちょ、手え冷たいからお腹触らないで!!」

「へ?あ、わ、悪ぃ!!無自覚のうちに......」


 ......葵の横っ腹に軽く触れた。東京滞在の間に秋分が過ぎ、もともと平均気温よりかなり低かった気温が、タガが外れたかのようにますます急激に下がってきている。その気温に長時間当てられた望桜の手は、普段は服の中に隠れてほかほかしているお腹にとっては、かなりダメージが大きかったようで。

 ......てか妙にさっきからなんかふわふわする感じ......高揚感というか興奮感があるな。なんでだろう。今目の前にいる葵が可愛いからか。


「......にしてもまじでいい匂いする......」

「なんだろうね......あ、も、もしかして......」


 そう呟いたあと、葵は大きく目を見開いて勢いよく立ち上がり、


「望桜!僕ちょっと風呂はいってくる!!」


 そう言って風呂場に篭もり始めた。その様子をただ見るしかなかった望桜は、一時ぼーっとした後に我に返って自身の思ったことを正直に叫び始めた。


「......もしかして?心当たりが......ってかめちゃくちゃ肌触りよかったし反応可愛かったしもっと可愛がりたい!!葵~!!あお......」

「望桜、気持ち悪いからやめてくれ給え」


 ......が、その部屋の扉を開けた直後に真顔と引顔を足して2で割ったような、なんともいえない表情の的李の顔が目の前にあって、一気に落ち着きを取り戻した。......何やってんだろ、俺。

 そう涙目になりながらその場に立ち尽くす望桜の元に、聖火崎宅でも主夫業にあたっている或斗が声をかけた。そしてその頃には既に的李はそこを去っていた。


「......あの不良債権の塊を知りませんか?」

「ふりょうさいけん......葵か?なら風呂場に「僕ちょっと温泉にでも行ってくるね~!!」


 トントントン......


「あ、おい!!」

「階段は気をつけておりねえと危ないぞ!!」


  今度は風呂場から飛び出して勢いのままに階段をトントントンと降りる葵。或斗は呼び止めようとしたがすぐに辞めた。望桜の叫びは注意喚起だ。

 ......かわいい。てかまだいい匂いするんだが、ほんとなんなんだろうな?



 トントントン、ズルッ......ゴンッ!!


「あ、ほら言わんこっちゃない」


 そして案の定足を滑らせて階段から落ちてしまった。同時に鈍い音が家中に響く。......めっさ痛そう、今の音聞いただけでなんか痛い気がする。


「いっててて......あ、ごめん翠川!!」


 どうやら階段から1階の床へと真っ逆さまに落ちたのではなく、ちょうど下から上がってきていた翠川が受け止めたらしく、葵の謝罪の声が以外にはっきりと聞こえてくる。てか今の絶対人が受止めた音じゃなかっただろ。ゴンっつったぞ、ゴンッて。


「全く、常ながら落ち着きがないな......む、なんか匂うな......」

「っ!!あ、僕ちょっと外に行ってこようと思って走ってたら、落ちちゃった!!いってきまーす!!」


 バタンッ......


 勢いよく扉の閉まる音が鳴ったあと、翠川はゆっくり後ろを振り返った。彼女もまた望桜と同じように葵から香る匂いを感じ取ったらしく、鼻をぱたぱたと仰ぎながら望桜に問うた。


「......望桜、或斗、あれは一体どういうことだ?」

「さあ知らね」

「......」


 翠川の問いに素直に答える望桜の後ろで、或斗が頭を抱えて固まっている。......否、笑いをこらえているようにふるふると震えている。


「......或斗?」

「......はあ、今くるか......ww......」

「「......なにが?」」


(元)魔王と勇者という相反する存在の2人だが、今回だけは間抜けな声を2人同時に、息ぴったりのタイミングであげた。なにが?と問うた言葉通りに、或斗の言った"くる"という言葉の対象が、2人には見当もつかない。

 そして2人が数秒経ってから思考を放棄した頃、かなり遅いが先程の響いた鈍い音に反応してのそり、のそりと瑠凪が起き出てきた。髪が所々ひょこひょこ踊っていて、目を擦りながらゆっくり歩いてきてるところを見ると、先程まで夢の中だったらしい。


「......煩くすんなよ寝てんだから......」


 かなり機嫌悪そうにそう告げて、もといた部屋へと戻っていった。

 まじで文句言いに来ただけみたいだな......


「ああ、悪い。ところで或斗......くるって、なにがくるんだ?」

「私もそこが気になる。あの匂いと関係があるのか?」

「......ある。しかし望桜さんにはまだ言ってなかったんだな......」

「......説明頼めるか?一時的に身柄を預かっている身としては、本人の体の状態とかは知っておいた方がいいしな」

「ええ、構いませんよ。とりあえずそこら辺に適当に腰掛けてください」


 そう言ってベッドに腰掛けて、望桜の目を見据える或斗。その横には一応翠川も鎮座している。そして望桜を見据えた部屋の証明に照らされて輝く黄色とふわふわとゆれる淡い紫の糸に、望桜は顔は平然を装って内心かなり悶えていた。

 ......可愛すぎるっ......!!顔がいい、そして可愛い!1度でいいからその紫の頭を撫でてみたい!!


「まず、あの不良債権の塊は種族的にいえば淫魔です」

「「......え?」」


 再び息ぴったりに声を上げる2人、まあ無理もないだろう。

 ......なにせ2人の中には既に葵は凶獣族に属している、という情報がインプットされているからだ。それなのに、種族的にいえば淫魔?ちょっとよく意味がわからないですねはい。
  

「......あ、凶獣族とは別の種類の種族のことです。俺たち悪魔の種族には生まれながらに所属している"血縁種族"と、個体ごとの能力や特徴が同じような悪魔達が群れを生している"能力種族"とがあるんですよ」

「......つまり、葵は血縁種族が淫魔で、能力種族が凶獣族......?」

「......まあ、そういうことです」

「そして、生理的に関係してくる方の種族が血縁種族になります。ですから......望桜さん、翠川、"7罪"の中で葵は何の罪が肩書きとして表記されていますか?」

「......色欲?」

「......はい、その肩書きがつけられた所以といえばそうなんですが......あの匂いを嗅いだ時、どんな感覚を覚えましたか?」

「......高揚感というか......興奮感?」

「ああ、私もふわふわする感じがあったぞ」

「......つまりはそういうことです」

「......へ?あ、もしかして、ネズミの実験で分かったオスの匂い......フェロモン?を受容したメスネズミのやつ、確か......ESP1?」

「まあ、それとほぼ一緒ですね。......ただ違うところは同性にも効くという所ですかね。マウスのはメスにしか効果ありませんけど」

「なんでそこまで詳しいんだか......」


 横で会話が繰り広げられている横で翠川は息を潜めていたが、望桜と或斗が意外と詳しいところに思わずツッコミを入れてしまった。

 その後も数分間ずっと葵の匂いについて議論し続ける2人を引きながら見つめ、またこっそり息を潜めながら部屋を出た。


「......そーいう匂いが発生し出す時期的なものがあるんですよ」

「ほほお......だから急いで風呂入りに行ったのか」

「洗って落ちるようなものでもないんですが......気休め程度には丁度いいのかもしれませんね。......では俺はそろそろキッチンに......」


 そう言って部屋の時計をちらりと横目で確認した。そういった小さな動きひとつでも、紫糸がふわふわと揺れていい目の保養になっている。

 或斗の饒舌な説明を熱心に聞いている間に、空には微かに赤みが差し始めていた。気温が冬仕様になるのが例年よりかなり早い分、近頃はかなり早々に日が落ちてしまう。現在時刻は午後4時前なのだ。それなのに空は朱に染りはじめている、早すぎる。

 たまにはこっちでも夕食の準備を手伝ってやるか......と望桜は考えていたが、先程出ていった同居人の事が気がかりでならない。


「あ、こんな時間か......てか葵って温泉大丈夫なのか?体中今でも傷だらけだよな?」

「あ......確かにやばいかもです」

「DVの疑いかけられるとか絶対嫌だからな、むしろ俺は相思相愛でとことん愛でたいタイプだし」

「何言ってるんですか?......一応葵を探しに行ってきては?」

「だな!んじゃ行ってくる」


 ドタドタドタ......バタンッ


「......面倒なことにならないよな......」  


 望桜の背を言葉で押し、彼が出ていく際に勢いよく開閉された扉の方を暫し見つめて小さく呟いた。......妙な胸騒ぎがする、これが自分のただの杞憂であればいいが......と祈りながらキッチンへと向かっていった。



                                                  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「......う、むう......」


 ......1人で大勢の人間が行き交う場所に来たのは何時ぶりだろうか。それも自分が堂々と歩いても大丈夫な平和な街を。ただ、平和ではあるのだが、すれ違う通行人はみな揃って自分のことを奇異の視線を向けてくる。......視線が痛いというより、気持ち悪い。

 そんな違和感というか自身の浮いてる感を身でひしひしと感じながら、緑丘家の不良債権の塊·葵は東京の街を歩いていた。わりと新しいTシャツとハーフパンツのみという薄着は、周りの人混みがなければ視線と気温の冷たさが相まって凍え死んでしまいそうだ。


 なぜそんな視線を浴びたりしながらも外を1人で歩いているのかというと、自身の血縁種族·淫魔の生理現象である周りのありとあらゆる生物を引き寄せてしまう匂いと成分を発生させる時期、周囲発情誘発期とでもいえばいいだろうか、とにかくその時期が今きたのだ。

 養い主である望桜にも他の同居人2人にも説明をしていないから、いたたまれなくなりそうで出てきたのだ。......らしくない、非常にらしくない。他人の目や抱かれる自分に対しての印象等、とっくの昔に気にしなくなっていたのに。

 そう頭の中で考えて1人気落ちし、自然とうつむき加減でとぼとぼと歩く少年の姿は、真夜中ならば真っ先に補導の対象だろう。ラグナロクなら誘拐でもされそうだ。魔界ならまず間違いなく襲われてしまう。それほどに暗い雰囲気が漂っているのだ、葵の周りに。


「......あ、インナー着てない......どうしよ、人がいないとこ通らないと」


 辺りを見回しビルとビルとの間に暗がりを見つけて、人混みをかき分けながらその暗がりを目指して走った。そしてそこに辿り着いた時には息が完全にあがりきっていた。

 そしてそこを数歩歩き、立ち止まった。......後ろに誰かいる。気配を感じとり、葵はさっと身構えた。


「......久方ぶりですね」

「......一会?」


 ......人間界群島奪還軍頭領、そして現勇者軍元帥·一会燐廻ひとえりんねだ。5人いる勇者軍元帥の一角であり、高い戦闘能力で魔王軍を圧倒する軍師だ。そしてなにより......


「はい、一会です。迎えに来ました......裏切り者殿」


 ......勇者2人を暗殺するためにアスモデウスを派遣した人物だ。現在の人間界......ラグナロクは、魔王軍の進行に侵される可能性が現在はないため、本来なら不安や恐怖から解放され皆が自由に楽しく明るく過ごせる時期に差し掛かっているはずだ。それなのに皆はまだ何かに怯えているのだ。......民を守る勇者軍の分裂に。

 民から見たら勇者軍の内部事情は、勇者ジャンヌ、ルイーズ、元帥アヴィスフィアVS総帥イヴ、元帥一会燐廻、ヘルメスで対立しているように見えるだろう。勇者と元帥、そしてその下に着く騎士団や砲兵団同士の対立に。その部分のみでの対立だったなら、最悪臨時の護衛軍や残りの大臣、皇帝のみで民の護衛と政治を回すことが出来ただろう。

 ......しかし実際は勇者ジャンヌ、ルイーズ、元帥アヴィスフィア、南方VS総帥イヴ、元帥一会燐廻、ヘルメス、西方、東方で対立しているのだ。勇者軍内部の分裂が、いわば国の分裂にもなりかねない冷戦状態。そしてその国家の最高機関が冷戦状態であることが、民が明るく楽しく、自由に暮らすことが出来ないただならぬ雰囲気をラグナロクを中心に大陸全体を覆っているからこそ人間界暗いままだ。

 唯一ラグナロクから距離があり、且つ陸続きでない群島に住む住民たちだけが他地方と比べて異質的に明るさを取り戻している。


「嫌味な呼び方しないでよ、あの魔力量じゃ傷を負わせるのが限界だったんだから」

「......そうですね、確かにあの人数に聖弓勇者、聖槍勇者、そして13代目が居たらさすがの魔王軍最高火力五天皇でも押し負けてしまうでしょう」

「......分かってくれて何よりだよ」


 無表情のままどこか皮肉った言い方を続ける一会に、葵は苦い表情を浮かべながら返した。ピリピリとした空気が肌を刺してくるようで、視線が気になるからと裏路地を通って行こうと判断した数分前の自分をとてつもなく殴りたくなった。

 それを察してか否か、一会はコツリ、コツリと靴の音をたてながら少年の方に近づいていき、再びゆっくりと口を開いた。


「......ここまで来たのはあなたを迎えに来るためです。総帥様がお待ちです、拠点にとぶので、ここに手を」

「......わかった」

「では...... 《空間転移》」



 移動魔法の中でいちばん小規模な魔法......空間転移を一会が使った瞬間、裏路地を翠の光が淡く色付けてすぐに消えた。そこには既に2人の姿は、跡形もなく消えていた。



 ──────────────To Be Continued──────────────



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...