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第4章 (元)魔王と勇者の憩場に
✨26話1Part Fake World Uncover①
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不気味に木々が生い茂る、富士山麓に広がる青木ケ原樹海。一部の人には何かと気味悪がられているこの場所では、夜風に煽られて木々が楽しげに踊る様子すら、どこか怖く思えてしまう。
そんな樹海のど真ん中にて、葵雲は葉に遮られて見えぬ空を眺めながら、何ともおかしな現状について冴えぬ頭で悶々と考えていた。
「日本って、思えば元々はどっちの力もないもんね......」
......日本。魔力と神気のどちらとも大気を満たさない、なんとも不思議な世界。そればかりか、そもそも魔力·神気の存在自体が"存在しない"、"仮想の物"という扱いになっている。
対して、ウィズオート皇国や魔界大陸のある下界は、全体的に魔力が薄く大気を満たしていた(魔界大陸の辺りのみ濃い)。また、魔力·神気という概念は、様々な分野において重要な役割を果たしていることが多い、とても大きな存在である。
下界はもはや魔力と神気がないと成立しないと言い切れるほどに、その2つの力に依存している。人間や悪魔等は、文化の発展にも生物として根本的に強くなるための強化にも、戦闘にも、生活にも、2つの力を沢山用いている。
......まあ今はそこではなく、何故今自分がいる日本には濃い魔力があるのか、という所が1番の問題なので、葵雲はそれについて考えるのを早々に切り上げた。
「んー......あれ、ひょっとして......」
そこでふと、とある事が気になり、葵雲は今はさほど重くない腰を持ち上げて、自身の翼を展開させるべく背に魔力を集中させて、
「よっ!!」
一気に放出する。
「あ、やっぱりそうなんだ!!」
すると、背から生えた大きな機械翼が出現した。それを見て、葵雲は、やはりこの世界が現実の日本ではない事を確信した。
「ってことはー......」
そこまで考えた後、葵雲はとある場所の方向に視線を向ける。
「......あそこが、ここの出口なんだ」
......東京スカイツリーの頂上。その部分だけ、異様に魔力が薄いのだ。
それを鋭い察知能力で感じ取った葵雲は、
「みんなー、」
山頂の方を一瞬ちらっと見て、
「すぐ帰ってくるからねー!!」
そう叫びながらスカイツリー頂上へと、自身の出せる最高速度で向かうべく勢い良く飛び出したのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
葵雲がスカイツリー頂上に向かったのとほぼ同刻、富士山頂で勃発した戦いの勝利の采配は、皇国政府·聖教教会の連合機関所属の騎士·カエレスイェスと謎の魔導師の方に完全に傾いていた。
「さようなら、守護天使ラファエル」
そう言って、カエレスイェスがエクスカリバーを天高く振り上げた、その時だった。
チャキ......
カエレスイェスのすぐ後ろで、セピア色の髪の少女......フレアリカが、カエレスイェスに向けて聖銃·ケリュケイオンを構えたのだ。勿論、指は引き金に乗せられており、安全装置も解除済みである。
「......今まで君を攻撃対象から外してた理由は、戦闘能力を持っていないから、なんだけどなぁ......」
「その聖剣を下ろして。さもないと、あなたを撃つ」
「えー......そう言われてもなあー......」
それを察したカエレスイェスは、聖剣は振り上げたまま、残念そうにそう呟きながらフレアリカの方に顔を向ける。その呟きを無視し、フレアリカは目の前の背中を睨みつけながら脅しをかけた。
我厘と天仕もそれをなんとか耳で拾い上げながら、魔導師からの弾幕攻撃を弾いたり避けたりしている。
「ここで悪の芽を枯らしとかないと、後から大変なことになるかもでしょ?だからだよ」
「......自分達にとって、神様にとって邪魔になる物は、何をしてでも消す......それが、あなた達の正義なの?」
「そんな、人がやってることを悪いことみたいに言わないでよ~......」
フレアリカからの真剣な問いに、カエレスイェスは軽く茶化しながら返答するも、場の空気はどこか険悪なままだった。
「......私は、みんなが好き。一緒に遊んで、一緒にご飯食べて、沢山楽しいことして、たまに辛いこともあったけど、一緒に頑張って耐え抜いて......」
「......」
「一緒に、色んなことをした、そんなみんなが好き。好きだから、いなくなって欲しくない。悲しむことがあって欲しくない。そんなみんなを泣かせるような正義を......あなた達の正義を、私は正しいとは思えない!!」
「......なるほど」
フレアリカの熱弁と、自身の背後から伝わってくる異常なまでの意志とその熱量に、カエレスイェスはそのままの体制で小さく頷く事しかできなかった。
「......僕達だって、できればこんなこと、したくはないよ」
しかし、その後に軽く俯きながら、小声でそう言った。
「なら、千代達は殺さないで「でも、仕方ないんだ」
それを受けてフレアリカが要望を告げようとすると、カエレスイェスはまるで泣く泣く犯罪に手を染めた者の告解のように、声を震わせながらそう言った。
「僕達にだって、立場がある。立場があって、家族があって、命がある。それを守るための仕方ない、尊い犠牲が君達なのさ」
「それを言うなら、私達にだって大切な人がいる。それを守るために、ラファエルを、千代を、みんなを殺さないで」
「あー......だよね、こうなるよねぇー......」
フレアリカからの鋭くまっすぐな返しに、カエレスイェスは聖剣をゆっくりと来栖亭のいない方に下ろし、はあ......と深くため息をつく。
そして、
「なら......強制的にノルマクリアさせてもらうとしよう」
そう呟いた、その瞬間だった。
「っ!!」
カエレスイェスの持っているエクスカリバーが神気をなみなみと滾らせながら輝きだし、それに反応するかのように、フレアリカの持つ聖銃·ケリュケイオンが内包する僅かな神気を用いて輝きだしたのだ。
その訳の分からない現象にフレアリカが一瞬迷い、その隙を見逃さなかった、というより意図的にその隙を生ませたカエレスイェスは、手に持つ聖銃に完全に気を取られていたフレアリカの喉元に、エクスカリバーの切っ先を突きつけた。
背面に銃口を突きつけられた状態から、相手の喉に剣先を向ける状態に。完全な形勢逆転である。
「......君がその銃を僕達に渡す......いや、今は一旦そこら辺に置いてくれればいい。そうしてくれれば、僕は君を斬らずに済む」
「......、」
......エクスカリバーにはまだ攻撃できるだけの神気が充分すぎるほど残っている。一方で、ケリュケイオンの方には、もう顕現状態を保っているのがやっとな程度しか神気が残されていなかった。
それに加えて、比較的大振りな剣でありパワーも重量もあるエクスカリバーと、五唯聖武器でありながら、主の攻撃ではなく肝心な時に用いられるサブメインの武器として使われがちなケリュケイオンなら、どちらが優勢かなど考えるまでもない。
難しい所や細かい所までは分からないフレアリカでも、今自分が絶体絶命である事だけは十二分に理解し、それ故に先程までとは打って変わって、その場で切っ先を向けられたまま何もできずにいた。
「どう?聖銃、地面に置いてくれる?」
「......」
「あはは~、睨んだって無駄だよぉ?君が一端の勇者とか魔王とか、はたまた勇者軍元帥とか魔王軍幹部だったんならそーゆーのあるらしいからもしかしたら効いたかもだけど、ただの勇者の娘だからねぇ。」
「......」
「はあ......」
それでもカエレスイェスの事を鋭い視線で射抜いたまま黙り込んでいるフレアリカに、カエレスイェスは軽く呆れながらため息をついた。
「ぐっ、は......」
「きゃああああああああああああ!?」
「ガブリエル!!りっちゃん!!っ、」
それと同時に、宮廷魔導師と戦っていた我厘と天仕が、弾幕に弾かれた。フレアリカが2人の名を呼びながら視線を向けると、満身創痍になりながらもなんとか立ち上がろうとしている所だった。
フレアリカがカエレスイェスの方にすっかり意識を取られており見ていなかった数分間の間に、辺りを満たす濃い魔力によって神気が削られて......攻撃を避けたり弾いたりして、それに加えて攻撃し返すのを繰り返した事により体力面においても着実に弱体化させられていっていたのだろう。
我厘の方は弾かれた際に頭をぶつけ出血しており、体全体もかすり傷や切り傷が大量にできていた。天仕は途中で大きな攻撃を食らったのか、全身が軽く焼け焦げている。
その上から新たな弾幕攻撃を食らい、2人共ようやっと武器を手に取っている状態だ。
「君の黙りはこのためにやってたのかなぁ?ってくらいナイスタイミングで2人の神気が切れたみたいだねぇ~」
それを見て、カエレスイェスは軽く嘲笑を混じえながらそう言った。
驕っていると言っても過言ではない油断しっぷりだが、それも仕方ないと言えるほど優劣の差がついている。葵雲も移動した気配はあるものの、どちらかと言うと"逃げた"感じでこの場所から離れていった。
......主戦力である2人がやられており、葵雲は帰って来ず来栖亭も瀕死、という状況。その状況にフレアリカは聖銃を握ったまま、今度こそその場で何もできずに立ち尽くしたまま、荒く息をする事しかできなかった。
カエレスイェスは、心のどこかで"これは勝った"と勝ちを確信しきって薄く笑みを浮かべながら、立ち尽くしているフレアリカの手から聖銃を奪って、来栖亭の方に歩き寄る。
「さあて、君達もそろそろ限界でしょ?それに、ラファエルの方も動けるようになるくらい回復はできないっぽいし~......ロキ」
「......、」
そのままエクスカリバーを、まさに虫の息である来栖亭に斬りかかるべく再び振り上げる。そのまま宮廷魔導師......こと、金髪に紫色の瞳を持つ少年·ロキに声をかけた。
それを受けて、ロキは今までの弾幕とは比べ物にならないほど濃い神気を使って生成した神気弾を、我厘と天仕の方に向けて構える。
......そして、それぞれ目的達成のための最終攻撃を刺した。
──────────────To Be Continued────────────
そんな樹海のど真ん中にて、葵雲は葉に遮られて見えぬ空を眺めながら、何ともおかしな現状について冴えぬ頭で悶々と考えていた。
「日本って、思えば元々はどっちの力もないもんね......」
......日本。魔力と神気のどちらとも大気を満たさない、なんとも不思議な世界。そればかりか、そもそも魔力·神気の存在自体が"存在しない"、"仮想の物"という扱いになっている。
対して、ウィズオート皇国や魔界大陸のある下界は、全体的に魔力が薄く大気を満たしていた(魔界大陸の辺りのみ濃い)。また、魔力·神気という概念は、様々な分野において重要な役割を果たしていることが多い、とても大きな存在である。
下界はもはや魔力と神気がないと成立しないと言い切れるほどに、その2つの力に依存している。人間や悪魔等は、文化の発展にも生物として根本的に強くなるための強化にも、戦闘にも、生活にも、2つの力を沢山用いている。
......まあ今はそこではなく、何故今自分がいる日本には濃い魔力があるのか、という所が1番の問題なので、葵雲はそれについて考えるのを早々に切り上げた。
「んー......あれ、ひょっとして......」
そこでふと、とある事が気になり、葵雲は今はさほど重くない腰を持ち上げて、自身の翼を展開させるべく背に魔力を集中させて、
「よっ!!」
一気に放出する。
「あ、やっぱりそうなんだ!!」
すると、背から生えた大きな機械翼が出現した。それを見て、葵雲は、やはりこの世界が現実の日本ではない事を確信した。
「ってことはー......」
そこまで考えた後、葵雲はとある場所の方向に視線を向ける。
「......あそこが、ここの出口なんだ」
......東京スカイツリーの頂上。その部分だけ、異様に魔力が薄いのだ。
それを鋭い察知能力で感じ取った葵雲は、
「みんなー、」
山頂の方を一瞬ちらっと見て、
「すぐ帰ってくるからねー!!」
そう叫びながらスカイツリー頂上へと、自身の出せる最高速度で向かうべく勢い良く飛び出したのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
葵雲がスカイツリー頂上に向かったのとほぼ同刻、富士山頂で勃発した戦いの勝利の采配は、皇国政府·聖教教会の連合機関所属の騎士·カエレスイェスと謎の魔導師の方に完全に傾いていた。
「さようなら、守護天使ラファエル」
そう言って、カエレスイェスがエクスカリバーを天高く振り上げた、その時だった。
チャキ......
カエレスイェスのすぐ後ろで、セピア色の髪の少女......フレアリカが、カエレスイェスに向けて聖銃·ケリュケイオンを構えたのだ。勿論、指は引き金に乗せられており、安全装置も解除済みである。
「......今まで君を攻撃対象から外してた理由は、戦闘能力を持っていないから、なんだけどなぁ......」
「その聖剣を下ろして。さもないと、あなたを撃つ」
「えー......そう言われてもなあー......」
それを察したカエレスイェスは、聖剣は振り上げたまま、残念そうにそう呟きながらフレアリカの方に顔を向ける。その呟きを無視し、フレアリカは目の前の背中を睨みつけながら脅しをかけた。
我厘と天仕もそれをなんとか耳で拾い上げながら、魔導師からの弾幕攻撃を弾いたり避けたりしている。
「ここで悪の芽を枯らしとかないと、後から大変なことになるかもでしょ?だからだよ」
「......自分達にとって、神様にとって邪魔になる物は、何をしてでも消す......それが、あなた達の正義なの?」
「そんな、人がやってることを悪いことみたいに言わないでよ~......」
フレアリカからの真剣な問いに、カエレスイェスは軽く茶化しながら返答するも、場の空気はどこか険悪なままだった。
「......私は、みんなが好き。一緒に遊んで、一緒にご飯食べて、沢山楽しいことして、たまに辛いこともあったけど、一緒に頑張って耐え抜いて......」
「......」
「一緒に、色んなことをした、そんなみんなが好き。好きだから、いなくなって欲しくない。悲しむことがあって欲しくない。そんなみんなを泣かせるような正義を......あなた達の正義を、私は正しいとは思えない!!」
「......なるほど」
フレアリカの熱弁と、自身の背後から伝わってくる異常なまでの意志とその熱量に、カエレスイェスはそのままの体制で小さく頷く事しかできなかった。
「......僕達だって、できればこんなこと、したくはないよ」
しかし、その後に軽く俯きながら、小声でそう言った。
「なら、千代達は殺さないで「でも、仕方ないんだ」
それを受けてフレアリカが要望を告げようとすると、カエレスイェスはまるで泣く泣く犯罪に手を染めた者の告解のように、声を震わせながらそう言った。
「僕達にだって、立場がある。立場があって、家族があって、命がある。それを守るための仕方ない、尊い犠牲が君達なのさ」
「それを言うなら、私達にだって大切な人がいる。それを守るために、ラファエルを、千代を、みんなを殺さないで」
「あー......だよね、こうなるよねぇー......」
フレアリカからの鋭くまっすぐな返しに、カエレスイェスは聖剣をゆっくりと来栖亭のいない方に下ろし、はあ......と深くため息をつく。
そして、
「なら......強制的にノルマクリアさせてもらうとしよう」
そう呟いた、その瞬間だった。
「っ!!」
カエレスイェスの持っているエクスカリバーが神気をなみなみと滾らせながら輝きだし、それに反応するかのように、フレアリカの持つ聖銃·ケリュケイオンが内包する僅かな神気を用いて輝きだしたのだ。
その訳の分からない現象にフレアリカが一瞬迷い、その隙を見逃さなかった、というより意図的にその隙を生ませたカエレスイェスは、手に持つ聖銃に完全に気を取られていたフレアリカの喉元に、エクスカリバーの切っ先を突きつけた。
背面に銃口を突きつけられた状態から、相手の喉に剣先を向ける状態に。完全な形勢逆転である。
「......君がその銃を僕達に渡す......いや、今は一旦そこら辺に置いてくれればいい。そうしてくれれば、僕は君を斬らずに済む」
「......、」
......エクスカリバーにはまだ攻撃できるだけの神気が充分すぎるほど残っている。一方で、ケリュケイオンの方には、もう顕現状態を保っているのがやっとな程度しか神気が残されていなかった。
それに加えて、比較的大振りな剣でありパワーも重量もあるエクスカリバーと、五唯聖武器でありながら、主の攻撃ではなく肝心な時に用いられるサブメインの武器として使われがちなケリュケイオンなら、どちらが優勢かなど考えるまでもない。
難しい所や細かい所までは分からないフレアリカでも、今自分が絶体絶命である事だけは十二分に理解し、それ故に先程までとは打って変わって、その場で切っ先を向けられたまま何もできずにいた。
「どう?聖銃、地面に置いてくれる?」
「......」
「あはは~、睨んだって無駄だよぉ?君が一端の勇者とか魔王とか、はたまた勇者軍元帥とか魔王軍幹部だったんならそーゆーのあるらしいからもしかしたら効いたかもだけど、ただの勇者の娘だからねぇ。」
「......」
「はあ......」
それでもカエレスイェスの事を鋭い視線で射抜いたまま黙り込んでいるフレアリカに、カエレスイェスは軽く呆れながらため息をついた。
「ぐっ、は......」
「きゃああああああああああああ!?」
「ガブリエル!!りっちゃん!!っ、」
それと同時に、宮廷魔導師と戦っていた我厘と天仕が、弾幕に弾かれた。フレアリカが2人の名を呼びながら視線を向けると、満身創痍になりながらもなんとか立ち上がろうとしている所だった。
フレアリカがカエレスイェスの方にすっかり意識を取られており見ていなかった数分間の間に、辺りを満たす濃い魔力によって神気が削られて......攻撃を避けたり弾いたりして、それに加えて攻撃し返すのを繰り返した事により体力面においても着実に弱体化させられていっていたのだろう。
我厘の方は弾かれた際に頭をぶつけ出血しており、体全体もかすり傷や切り傷が大量にできていた。天仕は途中で大きな攻撃を食らったのか、全身が軽く焼け焦げている。
その上から新たな弾幕攻撃を食らい、2人共ようやっと武器を手に取っている状態だ。
「君の黙りはこのためにやってたのかなぁ?ってくらいナイスタイミングで2人の神気が切れたみたいだねぇ~」
それを見て、カエレスイェスは軽く嘲笑を混じえながらそう言った。
驕っていると言っても過言ではない油断しっぷりだが、それも仕方ないと言えるほど優劣の差がついている。葵雲も移動した気配はあるものの、どちらかと言うと"逃げた"感じでこの場所から離れていった。
......主戦力である2人がやられており、葵雲は帰って来ず来栖亭も瀕死、という状況。その状況にフレアリカは聖銃を握ったまま、今度こそその場で何もできずに立ち尽くしたまま、荒く息をする事しかできなかった。
カエレスイェスは、心のどこかで"これは勝った"と勝ちを確信しきって薄く笑みを浮かべながら、立ち尽くしているフレアリカの手から聖銃を奪って、来栖亭の方に歩き寄る。
「さあて、君達もそろそろ限界でしょ?それに、ラファエルの方も動けるようになるくらい回復はできないっぽいし~......ロキ」
「......、」
そのままエクスカリバーを、まさに虫の息である来栖亭に斬りかかるべく再び振り上げる。そのまま宮廷魔導師......こと、金髪に紫色の瞳を持つ少年·ロキに声をかけた。
それを受けて、ロキは今までの弾幕とは比べ物にならないほど濃い神気を使って生成した神気弾を、我厘と天仕の方に向けて構える。
......そして、それぞれ目的達成のための最終攻撃を刺した。
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