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最後の部屋
しおりを挟むなんだかんだでいよいよこの扉で最後か…
正直ここまで疲れたけど視聴者数が過去最高を軽く更新してくれたおかげでなんとか気力でもってるわ
あちこち部屋覗く度になんかあるってのはやっぱここ本物の心霊スポットなんじゃねぇか…?
最初のビリビリしかり、その後も棚から物が落ちてきたり、水しぶきみたいなのかかったり、大きな音が鳴ったりして ずっと驚きっぱなしだったしなぁ…
最後の部屋でもなんかあんのかなぁ
もし本当に幽霊の仕業だったりしたら…やだなぁ
呪われたりするんじゃねぇだろうな…
いくら記録更新したからって呪わてたら意味ないしな
【最後の部屋を前にびびってんのかー】
【早く入れ!!】【肩に手のっかってんぞー】
【ラスボスいるんじゃね?】【女子映せよ!!】
好き勝手言ってくれるぜ…
待ってな、今からオレがとびっきりのもん見せてやるぜっ!!!
「じゃあ、開けますよっ!!!」
意を決して佐倉さんたちの方へ振り返り気合いを入れた!
オレの様子を見守る佐倉さんたちの目はものすごく爛々《らんらん》として見えた…
ー この人たちはどうしてこうなんだろう ー
期待に胸を膨らませているように見える彼女たちとオレとのギャップを感じずにはいられなかった
やっぱミステリーサークルなんてのを立ち上げる人ってのはこういうのワクワクするんだろうな、オレよりよっぽど配信者に向いてるのかも?
ドアノブからのビリビリを警戒しながら何度も何度もドアノブを叩いて確認する
またあのビリビリはゴメンだからな!
一つ一つの学びと成長をオレはこの配信の中で見せていた
【びびってねぇで早く開けろ!】【なんにも出ねえから!!】
「 せぇーーーのっっ!!! 」
ーー ガチャリ!!
オレはドアノブを勢いよく捻ると思い切り扉を開けた!!
きっとオレは扉を開けた瞬間 目を閉じていたんだろう…
一瞬目の前が真っ暗になり… そっと目を開けた瞬間…
「う、うわああぁぁぁぁあああっっっ!!!ッ」
「キャアアアァァァァッッ!!!」
ーー バンッ!!!!!
オレたちの悲鳴と共に今開けた扉を勢いよく閉めた!
はあ、はあ、はあ、はあ…
な、なんだったんだ…
た、確かにソレはソコにいた…
ほんの一瞬だがオレは見てしまった…
全身真っ白い服に長い髪の毛…
背はオレより高かった… そのおかげてオレはソレの顔を見ずにすんだから
はっ!? オレはコメント欄をチェックする
【今のなんだ?】【なんか白いもんが見えたような】
【ガチか…?】【女子を映せ】
やはりなにか見えたことは間違いない
その事でコメント欄も盛り上がっていた…
だけど… さすがにあんなもんが見えた以上ここには入れない
きっと先輩たちも恐怖に慄《おのの》いているハズだ…
「ねぇ、先輩たちも見たでしょ?さっきの…」
「えっ?なに?灰田くんの後ろ姿しか見えてなかったよ?」
「ちょっ、なに言ってんすか!? あんな大きな悲鳴まであげてたくせにー?」
「あれは灰田くんの声に驚いただけ! こんな場面で扉開けた瞬間にあんだけ大きい声出されたらさすがに驚くでしょ??」
「じゃあなにも見てないんすか? 白い影も!!」
「白い…影…? ううん、見てないよ?」
まじか… 場馴れしてるのかと思いきや急にど素人みたいなことを言いやがる
この先どうするかの判断を仰ごうかと思ったけど こりゃ無理だな…
「どうした? 入らないのか?」
なんにも見てないくせに簡単に言うなっての
佐倉さんにしても峯岸先輩にしても どうしてミステリーサークルの連中はこうも煽り性能高いやつばっかなんだ!?
「いや、さっき扉開けた時に中に白い大きな人影が見えたんですって!! ここから先はヤバいんじゃないすか?!」
「それで視聴者は、納得するのか?」
グサッと弱いところを突く…峯岸先輩こそ影のリーダーだろ…
オレは敢えて見ないようにしていた画面に目を向けた
【配信者はびびり】【臆病】【はーいーれ!はーいーれ!】【やっぱ女子のが正論!】
ぐっ、やはり想像通りの反応…いや、それ以上か…
視聴者数が増えてるだけに引くに引けなくなってくる
「よし、 わたしが開けてやる」
えっ!?… 峯岸先輩…男前すぎる!
怖いもの知らずな雰囲気を漂わせてるだけじゃなく行動すら伴うタイプだ
んっ?! よく考えたらこれまた峯岸先輩の慄《おのの》く姿を配信するチャンス到来かっ?!
さっきは拍子抜けだったけど、今度はさすがに驚くハズだ!! なんせソレが『いた』んだからな…
オレはソレがいた場合の自分の逃げる場所やルートを想定して先輩たちの後ろへとまわった
ここからだと女性陣《みんな》の後ろ姿が映るので視聴者たちも満足していた
【配信者有能!】【最初からこうやって撮っとけ】
【てか自分だけ逃げるつもりっしょ】……
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