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終わりへと
しおりを挟む思ったよりも鈍い灰田くんのことだ、今まで起こったことがおかしい?と思うまで時間がかかりそうなので わたしはぼちぼち潮時だと美夜《みや》ちゃんに〆《しめ》の合図を送る
ようは衆《しゅう》に『おしまい』を連絡してもらうというもの
わたしの合図に気づいた美夜ちゃんがすかさず衆にラインを送った
わたしたちの当初の目的が灰田くんの醜態をライブ配信するってものだったんで、一応それは達成できたと思う
灰田くんも多少は懲りたでしょうし、タネ明かしした後の反応も気になるところだ
『オッケーです 衆さん外で待ってるそうですよ』
美夜ちゃんがわたしに耳打ちする 衆と連絡が取れたみたいだ んじゃぼちぼち行きますか!!
「結局なんにもなかったみたいだし、今回の調査は空振りで打ち切りかなぁー」
わたしがみんなに声をかける
部長のわたしが終わりと言えば終わるんだ
「なに言ってんすか!? 空振りってなんすか!? なんにもないことなかったでしょ!! どこ見てんすか先輩!!」
ほら、鈍感なやつ…
今頃 息巻くとか意味わかんないし
「わたしたちの目的は生贄の儀式の場なのよ? わかる?? それがなかったってことは収穫なしなの!」
「それともなに?灰田くん一人で残ってその【白い影】とやらを探すの?」
わたしの一言に無言になって少しの間 考え込んでたかと思うと、軽く首を振る
「いや、あり得ません! 言うこと聞いて先輩たちと一緒に行動させてください!!」
「よろしい」
ハッキリした口調で告げる灰田くん、ホントはもう限界なんじゃないの?
「あれ? 配信の方は?」
さっきから全然実況もしてない灰田くんの配信はどうなってるんだろう?
「あっ!? ホントだ!!」
慌ててスマートフォンの画面を見た灰田くんは、
「あれ、消えてる… どうやらバッテリーがなくなってるみたいです… ヤバい…」
あーあ、やっちゃってるよ… 無責任な配信って視聴者に失礼だし、そっぽ向かれる原因になりそうだよね
「こんなに長くなるなんて思ってもみなかったもんだから…」
わたしはスマートフォンで時間を確認する
もうここに入ってから1時間30分が経とうとしてた
わたしは深鈴《みすゞ》に視線を送る
深鈴はスマートフォンを指さしながら指でオッケーのサイン こっちは大丈夫みたいだ
「あとで視聴者さんたちに謝んなきゃね」
ここまで必死だったのを考えるとちょっと可哀想だなとも思った
しゃがみ込んでる灰田くんの肩がまたがっくり落ちたように見えた…
「ほら、配信もできないんじゃもう居てもしょうがないじゃん? いくよ!」
わたしはしゃがみ込んでる灰田くんに手を差し伸べる
「せ、先輩… ううん、佐倉さぁん…」
甘えた声を出しながら わたしの手につかまり引き起こされる灰田くん
抜けた腰は大丈夫みたいだ
わたしたちは揃って扉の方へ向かって歩き出した
「え? ちょっと待ってください? そこから出たらまだあの白い影いるんじゃないすか!?」
あ、やっぱそう思う? そりゃそっか、あんだけ怖がってたんだもんね…
でもここからしか出れないしな
「大丈夫 また出てきてもわたしが蹴りで吹き飛ばすから」
「そうですね!!! 峯岸先輩がいたんだ!!」
なんかバカバカしい会話ながらも納得してくれるならいっか、って思った
深鈴ならホントに頼りになるって思われてもおかしくないだろうし
ー ガチャリ
先頭に立ってた美夜ちゃんが扉を開ける
さっき通って来たのとは逆の光景が広がる
あらためてこうして見ると少し不気味に感じた
おそらく、行きは威勢のよかった灰田くんが今はすっかり大人しくなってるからだろう
灰田くんは深鈴の後ろに隠れるようについてきてた
わたしたちは一歩一歩踏みしめるように出口、つまり玄関の方へ向かって歩き出す
それにしても衆のやつどこから出てくるんだ?
早く出てこい! とにかく後はタネ明かしをしてワイワイ騒ぎながら帰りたかった
あ! と声を出して先頭の美夜ちゃんが立ち止まる
「ん? どしたの? 美夜ちゃん?」
わたしは美夜ちゃんの視線の先を見る
さっき扉を開けた寝室のような部屋へと視線を送る
部屋から明かりが漏れるかのように白い光のようなものが見える… よく見るとそれは人の形をした発光体のようにも見えなくもなかった
「え? なに? あ…!? 衆《しゅう》!?」
「なにしてんの!? こっちこっち!!」
やっと姿を現した衆にわたしは思わず大きい声を出した
「えっ!? なんだ? 呼んだか?」
え・・・・・? 素っ頓狂な聞き覚えのあるその声はわたしたちの後ろの方から聞こえてきた
最後尾にいた灰田くんがまさに自分の背後から聞こえてきたその声に反応して振り返った先には…
白い影を模した衆が立っていた
ぎゃゃあああぁぁぁぁぁぁああああっっ!!!!
大声を出して叫ぶと灰田くんはすごい勢いで前に向かって走ってきた
わたしたちも押されるように走る
「え? ちょっと待ってって! おれだ!おれ!!」
みんなに着いてくるように衆も追いかけてくる
その姿にパニクる灰田くん
わたしたち一行はひとかたまりになって走っていた
「さっさとその服を脱げっ!!!」
事態を見かねた深鈴が急に立ち止まりその勢いを借りて衆に向かって後ろ回し蹴りをかます!!!
「ごふっっっ!!!」
またも綺麗に衆のお腹らへんにヒットした深鈴の蹴りに吹き飛ぶ衆
ドタァッッ!!!!
衆の倒れる音と共にみんなが立ち止まり振り返る
灰田くんはわたしの後ろに隠れて様子を伺う
「いったあぁぁぁ… なんだよ急にー…」
深鈴の蹴りで尻もちをついた衆が不服そうに声をあげる
「いつから後ろにいた?」
深鈴はツカツカと衆の元へ歩きながら詰め寄る
「もういいって言うから、扉の横で待ってた そしたらみんなおれに気づきもせずに進み出すから一番後ろついてってた なんか間違ったことしてる?」
部屋を出てからずっといたのか…
声くらいかけろっての…
最後尾が灰田くんじゃ怖がって後ろ振り向かないよな
「それ脱ぐ時間くらいあったろ? いつまで着てるんだ?」
ほんとそれって思った その衣装さえ脱いでれば普通に声かけれるだろ!!!
わたしは呆れて言葉も出なかった…
「あぁほんとだ、確かに…」
そう言って立ち上がりながら長い髪の毛のウィッグをとる衆
「え…? どういうこと…?」
その様子に意味がわからないと言った顔をしてる灰田くん それでもようやくただならぬ事態が起きてることには気づき始めてた…
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