ペンダントの中の猫時間―失恋OL、時々猫。運命をくしゃみで変えてみせます。―

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第4にゃ‐2 「再会の鈴音」

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ー[初夏・街角カフェ/昼下がり]ー

陽射しが柔らかく差し込む午後。
窓辺の席で、悠真はノートパソコンを閉じた。
ふと、胸ポケットの中で小さな音がした。

――ちりん。

誰も触れていないのに、鈴が鳴った。

「……また、鳴った」

思わず独り言が漏れる。
数日前から時々こうして、鈴の音が聴こえるのだ。
まるで誰かが、自分を呼んでいるように。

ー[カフェの奥・別の席]ー

窓際、ラテのカップを両手で包む女性がいた。
淡いワンピース、胸元には銀のペンダント。
陽光が反射して、かすかに鈴の影が見える。

その仕草、髪の流れ、
何かを思い出しそうで、思い出せない。

悠真は気づかない。
ただ、耳の奥で鈴の音が重なった。

――ちりん。

その瞬間、
彼の脳裏に“誰か”の笑顔が一瞬だけ蘇った。
白猫のような、自由な笑顔。

(……誰だ? この感じ……懐かしい)

ー[カフェを出た歩道]ー

信号が変わり、
人の流れの中で、ふとすれ違う二人。

すれ違いざま、風が吹き抜けた。
ペンダントが二つ、同じ音で鳴る。

――ちりん。

悠真は足を止め、振り返った。
女性も同じように振り向いていた。

目が合った。

わずかに戸惑いながらも、
どこかで知っているような、そんな温もりを感じる。

「……はじめまして?」
女性が微笑んだ。

「……たぶん、そうですね」
悠真も笑い返した。

風が吹く。
二人の間に、鈴の音が重なった。

ー[夕暮れ・公園のベンチ]ー

その後、何となく二人は並んで歩いた。
会話はぎこちないけれど、不思議と心地よい。

「この鈴……どこかで聞いたような気がするんです」
みさとがペンダントを指で弾く。

悠真の胸ポケットの中でも、小さな音が鳴った。

――ちりん。

一瞬の沈黙。
二人は顔を見合わせ、思わず笑った。

「変ですね」
「ええ……でも、悪くない」

空が茜に染まっていく。
風に乗って、どこかから同じ鈴の音が重なった。
それはまるで、
“時を越えて届いた再会の合図”のようだった。

ー[余韻]ー

陽が沈む。
光と影の境目で、ふたりの影がゆっくり重なる。

みさとは小さく呟いた。
「……また、会えたにゃ」

悠真はその意味を知らない。
けれど、なぜか胸の奥が温かかった。

風が通り抜け、
ペンダントの鈴がそっと鳴る。

――その音は、もう二度と離れない。
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