39 / 61
故郷への一時帰還
しおりを挟む
「ふぅ……」
都合、九ヶ月ほど戦場に滞在し続け、俺はようやくガーランド帝国へと帰ってきた。
そして俺が帰ると共に皇帝陛下に呼び出しを受け、何やら玉座の間で色々言われた。言われたといってもお説教というわけではなく、純粋に俺の功績に対しての賞賛の言葉だ。
さらに勲章を合計七つ貰い受け、それこそ革袋の中に大量の金貨――報奨金を貰い受けた。こんなに俺に渡していいのか、って思うくらいに大量に。
まぁ、金というのは貯め込んでいても意味がない。
さすがに兵卒の生涯年収ほどもあるという話だし、別にけちる必要はないだろう――そう考えて、俺は『切り込み隊』の部下たち全員で街に繰り出して、支払いを全部俺が行うという形で還元した。幾つかの酒場を占拠し、飲めや歌えや騒げやで朝まで盛り上がった。あと、若い奴には色街も奢ってやった。
多少目減りしたが、それでも大量に金貨は残っている。というか、アンナは兵卒の生涯年収だと言っていたし、俺今後一切働かなくてもいいんじゃなかろうか。
そして現在俺は、故郷に戻っている。
冬将軍の到来は、まだもう少し先だ。既に畑の繁忙期は終わっているようで、ジュリアの畑――そこには、何も植えられていない。
ごんごん、と俺はそんな畑の近くにある、ジュリアの家――その扉を叩く。
「はい……?」
「ジュリア、ただいま!」
「えっ、ギル……?」
出てきたジュリアを、抱きしめる。
勿論、俺が全力で抱きしめたら兵士の腰の骨を折っちゃうから、手加減してだ。それでも、長く会えなかった日々を惜しむように、俺はジュリアの体温を全身で味わう。
「良かった……ギル、帰ってきてくれたの?」
「ああ。少し、休暇を貰ったんだ。また、帝都に戻らなくちゃならないんだけど」
「えっ……」
俺の言葉に対して、ジュリアが眉を上げる。
「もう、除隊したんじゃないの?」
「ああ……まだ、戦争が続くらしくてな。詳しい話は、中でやってもいいか?」
「あ、うん。寒いよね。入って」
「ああ」
ジュリアと共に、家の中へ。
元々はジュリアと両親が暮らしていたこの家は、現在ジュリアが一人暮らしをしている家でもある。そのため結婚した後には、俺も一緒にこの家に住む予定だ。
俺としては早く除隊して、ジュリアと共に両親の遺した畑を守りながら、のんびり暮らしていきたいところではあるんだけど。
「でも、驚いたわ、ギル。帰ってくるなら、連絡の一つくらいしてくれたら良かったのに」
「ジュリアを驚かせたかったんだよ。それに帰るって文を書いても、この時期だと街に出ないし、次に手紙が届くのは春先だろ? だから、もう直接帰ってきたんだ」
「そっか。もう……ギルが帰ってくるって分かってたら、色々ご馳走作ったのに。今日、わたししか食べないと思ってたから、すっごい手抜きの夕食なの……」
「ジュリアが作ってくれたら、何だって美味しいさ」
ジュリアの謙遜に対して、俺はそう告げる。
これは事実だ。ジュリアは料理が上手で、俺なんて足元にも及ばない。
「それじゃ、用意するから手を洗って待ってて」
「ああ」
ジュリア――未来の妻と共にする、夕食の席。
その響きだけで、俺は酒も飲んでいないのに酔いそうだった。
「それじゃ、ライオス帝国とは今、講和を結んだの?」
「ああ。今のところ、和平って形だ。でも、お互いに分かってるよ。この講和は、冬を越えるまでになる。春先になったら、またガーランドは軍を動かすってな」
「……じゃあまた、春には戦場に行っちゃうのね。それまで、ここでゆっくりできるの?」
「いや、冬の間も訓練があるし、色々やらなきゃいけないことがあるんだ。だから三日後には帝都に戻らなきゃいけないし、次に来れるのは春前だと思う。それまでは……寂しい思いをさせるけど」
「うん……大丈夫」
寂しげな笑顔で、ジュリアがそう言ってくる。
その表情に、俺は今すぐ除隊したい気持ちを堪える。出来ることなら、今すぐ軍の方に辞表を送って、このままこの村でジュリアと共に暮らしていきたい。
だけれど、俺は『切り込み隊』の隊長だ。俺が率いる第三師団『切り込み隊』の新しい隊長に、引き継ぎも行わなければならない。今のところ新しい隊長に誰がなるという話は聞いていないけれど、その責任は果たさなければならないのだ。
「ごめんな……もう少しの辛抱だから。絶対に、俺は帰ってくるから」
「うん……」
「あ、そうだ。軍から報奨金を貰ったんだ。俺が持ってても使いどころがないし、ここに置いてっていいか?」
「そうなの? うん……分かった」
「生活費とか足りなかったら、勝手に使っていいからさ」
どさっ、と俺は革袋を差し出す。
その中に入っている大量の金貨に、ジュリアは思いきり目を丸くしていた。
「……こ、こんな大金?」
「数えてないけど……金貨七百枚くらいは入ってるはずだ」
「本当に……ギルは、大活躍してるんだね……」
すっ、とジュリアが顔を伏せる。
「あのさ、ギル……」
「うん?」
「本当に……除隊していいの? ギルがこんなにも活躍してるってことは、軍の人から止められるんじゃないの?」
「あ、あー……」
ジュリアの懸念は、まぁ分かる。
実際俺は総将軍に、どうにか軍に残ってはくれないかと何度か言われた。だけれど、俺は固辞したのだ。この戦争が終わったら除隊します、と。
まぁ結果的に戦争終わってねぇから、まだ除隊できねぇんだけどさ!
「ジュリア。これは、俺の選んだ道だ」
だから俺は、強くそう答える。
俺は、この道を選んだ。その選択に、後悔はしていない。
「俺は、ジュリアを支えていきたいと思った。軍人を続けるよりも、ジュリアと一緒に年を取っていく方がいいって、そう思えたんだ」
「ギル……」
「だから、待っていてほしい」
「ええ……それは、勿論」
ふふっ、と頷くジュリア。
ああ可愛い。結婚したい。あ、結婚するんだったわ。
「あのね、ギル」
しかしそこで、そっとジュリアが俺にしな垂れかかってきた。
え、待って何これ。俺何の心の準備もしていないんだけど。なんか俺の右腕に、ジュリアが体を預けてんだけど。ちょっと柔らかいものが当たってる気がするんだけど。
ええとこれ抱きしめてもいいやつ? いいやつだよな?
「お願いが、あるんだけど」
「お、お願い? どうしたんだ?」
「うん……あのね、ギル。一人だと、この家は……広くて、寂しいの」
「あ、ああ……」
まぁ確かに、両親と一緒に住んでいた家だ。
空き部屋もあるし、寂しいのは間違いないだろう。
「だから、ギル」
「あ、ああ……?」
「わたしたちの……家族を、増やそ?」
その夜に何があったかは、具体的には言わない。
ただ、一つだけ自慢させてくれ。
超良かった。
都合、九ヶ月ほど戦場に滞在し続け、俺はようやくガーランド帝国へと帰ってきた。
そして俺が帰ると共に皇帝陛下に呼び出しを受け、何やら玉座の間で色々言われた。言われたといってもお説教というわけではなく、純粋に俺の功績に対しての賞賛の言葉だ。
さらに勲章を合計七つ貰い受け、それこそ革袋の中に大量の金貨――報奨金を貰い受けた。こんなに俺に渡していいのか、って思うくらいに大量に。
まぁ、金というのは貯め込んでいても意味がない。
さすがに兵卒の生涯年収ほどもあるという話だし、別にけちる必要はないだろう――そう考えて、俺は『切り込み隊』の部下たち全員で街に繰り出して、支払いを全部俺が行うという形で還元した。幾つかの酒場を占拠し、飲めや歌えや騒げやで朝まで盛り上がった。あと、若い奴には色街も奢ってやった。
多少目減りしたが、それでも大量に金貨は残っている。というか、アンナは兵卒の生涯年収だと言っていたし、俺今後一切働かなくてもいいんじゃなかろうか。
そして現在俺は、故郷に戻っている。
冬将軍の到来は、まだもう少し先だ。既に畑の繁忙期は終わっているようで、ジュリアの畑――そこには、何も植えられていない。
ごんごん、と俺はそんな畑の近くにある、ジュリアの家――その扉を叩く。
「はい……?」
「ジュリア、ただいま!」
「えっ、ギル……?」
出てきたジュリアを、抱きしめる。
勿論、俺が全力で抱きしめたら兵士の腰の骨を折っちゃうから、手加減してだ。それでも、長く会えなかった日々を惜しむように、俺はジュリアの体温を全身で味わう。
「良かった……ギル、帰ってきてくれたの?」
「ああ。少し、休暇を貰ったんだ。また、帝都に戻らなくちゃならないんだけど」
「えっ……」
俺の言葉に対して、ジュリアが眉を上げる。
「もう、除隊したんじゃないの?」
「ああ……まだ、戦争が続くらしくてな。詳しい話は、中でやってもいいか?」
「あ、うん。寒いよね。入って」
「ああ」
ジュリアと共に、家の中へ。
元々はジュリアと両親が暮らしていたこの家は、現在ジュリアが一人暮らしをしている家でもある。そのため結婚した後には、俺も一緒にこの家に住む予定だ。
俺としては早く除隊して、ジュリアと共に両親の遺した畑を守りながら、のんびり暮らしていきたいところではあるんだけど。
「でも、驚いたわ、ギル。帰ってくるなら、連絡の一つくらいしてくれたら良かったのに」
「ジュリアを驚かせたかったんだよ。それに帰るって文を書いても、この時期だと街に出ないし、次に手紙が届くのは春先だろ? だから、もう直接帰ってきたんだ」
「そっか。もう……ギルが帰ってくるって分かってたら、色々ご馳走作ったのに。今日、わたししか食べないと思ってたから、すっごい手抜きの夕食なの……」
「ジュリアが作ってくれたら、何だって美味しいさ」
ジュリアの謙遜に対して、俺はそう告げる。
これは事実だ。ジュリアは料理が上手で、俺なんて足元にも及ばない。
「それじゃ、用意するから手を洗って待ってて」
「ああ」
ジュリア――未来の妻と共にする、夕食の席。
その響きだけで、俺は酒も飲んでいないのに酔いそうだった。
「それじゃ、ライオス帝国とは今、講和を結んだの?」
「ああ。今のところ、和平って形だ。でも、お互いに分かってるよ。この講和は、冬を越えるまでになる。春先になったら、またガーランドは軍を動かすってな」
「……じゃあまた、春には戦場に行っちゃうのね。それまで、ここでゆっくりできるの?」
「いや、冬の間も訓練があるし、色々やらなきゃいけないことがあるんだ。だから三日後には帝都に戻らなきゃいけないし、次に来れるのは春前だと思う。それまでは……寂しい思いをさせるけど」
「うん……大丈夫」
寂しげな笑顔で、ジュリアがそう言ってくる。
その表情に、俺は今すぐ除隊したい気持ちを堪える。出来ることなら、今すぐ軍の方に辞表を送って、このままこの村でジュリアと共に暮らしていきたい。
だけれど、俺は『切り込み隊』の隊長だ。俺が率いる第三師団『切り込み隊』の新しい隊長に、引き継ぎも行わなければならない。今のところ新しい隊長に誰がなるという話は聞いていないけれど、その責任は果たさなければならないのだ。
「ごめんな……もう少しの辛抱だから。絶対に、俺は帰ってくるから」
「うん……」
「あ、そうだ。軍から報奨金を貰ったんだ。俺が持ってても使いどころがないし、ここに置いてっていいか?」
「そうなの? うん……分かった」
「生活費とか足りなかったら、勝手に使っていいからさ」
どさっ、と俺は革袋を差し出す。
その中に入っている大量の金貨に、ジュリアは思いきり目を丸くしていた。
「……こ、こんな大金?」
「数えてないけど……金貨七百枚くらいは入ってるはずだ」
「本当に……ギルは、大活躍してるんだね……」
すっ、とジュリアが顔を伏せる。
「あのさ、ギル……」
「うん?」
「本当に……除隊していいの? ギルがこんなにも活躍してるってことは、軍の人から止められるんじゃないの?」
「あ、あー……」
ジュリアの懸念は、まぁ分かる。
実際俺は総将軍に、どうにか軍に残ってはくれないかと何度か言われた。だけれど、俺は固辞したのだ。この戦争が終わったら除隊します、と。
まぁ結果的に戦争終わってねぇから、まだ除隊できねぇんだけどさ!
「ジュリア。これは、俺の選んだ道だ」
だから俺は、強くそう答える。
俺は、この道を選んだ。その選択に、後悔はしていない。
「俺は、ジュリアを支えていきたいと思った。軍人を続けるよりも、ジュリアと一緒に年を取っていく方がいいって、そう思えたんだ」
「ギル……」
「だから、待っていてほしい」
「ええ……それは、勿論」
ふふっ、と頷くジュリア。
ああ可愛い。結婚したい。あ、結婚するんだったわ。
「あのね、ギル」
しかしそこで、そっとジュリアが俺にしな垂れかかってきた。
え、待って何これ。俺何の心の準備もしていないんだけど。なんか俺の右腕に、ジュリアが体を預けてんだけど。ちょっと柔らかいものが当たってる気がするんだけど。
ええとこれ抱きしめてもいいやつ? いいやつだよな?
「お願いが、あるんだけど」
「お、お願い? どうしたんだ?」
「うん……あのね、ギル。一人だと、この家は……広くて、寂しいの」
「あ、ああ……」
まぁ確かに、両親と一緒に住んでいた家だ。
空き部屋もあるし、寂しいのは間違いないだろう。
「だから、ギル」
「あ、ああ……?」
「わたしたちの……家族を、増やそ?」
その夜に何があったかは、具体的には言わない。
ただ、一つだけ自慢させてくれ。
超良かった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる