ユダの黙示録

神代リナ

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第零章 砕けた氷

第八話 賑やかな一日(Ⅱ)

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「んんっー、終わったー」

 自身の荷物の整理が終わった氷華が、スッキリしたような顔で背伸びをしている。

「ん、お疲れ様。はい、これ」

 そう言って私は、寮の近くにあった自販機で先ほど買って来たスポーツドリンクを氷華に手渡す。

「あ、わざわざありがとうございます」

「お礼なんて別にいいっての。さて、貴女も色々と疲れているでしょうし、時間もいい感じだし、お昼ご飯にしましょうか。氷華、何か食べたいものはあるかしら? 今日は頑張ってたし、貴女の好きなものを奢るわよ」

「いえ、そんな訳には……それに特別何か食べたいものがある訳でもないですし……」

 氷華は、割と遠慮するタイプらしい……いやまぁ、分かっていたようなものだけど。
 さて、このまま氷華に聞いててもらちが開かないだろうし、適当に何か高いものでも出前で頼もうかしら?

 そんなことを考えていると……。

 バァンッ!!! といういかにもヤバそうな音を立てて、私たちの部屋のドアが開かれる。
 ……鍵かけてたんだけどな。というか、100%ドア壊れたよね。
 ……また、私が直すのか……。
 そして、私たち住人に一切の断りもなく、部屋に上がってくる少女が2人。

「ひぇっ!! な、なんですか⁈ 強盗? それとも原初派の奇襲?」

「あー、来たかー」

 ……氷華は完全に混乱しているようだ。
 てか、なんだったらルガーを引き抜いてるし。
 危ない危ない……とりあえず、氷華の右手からルガーを奪いとる。

「ちょっと、先輩! なんで、取り上げるんですか! むしろ、先輩も部屋の隅に立てかけてあるM4カービンを取って来て……」

「アイツらの服見なさい」

「服がどうか……あ」

 どうやら、氷華はこの野蛮人2人が私たちと同じ服、秋風武装学園の制服を着ていることに気がついたらしい。

「瑠奈、来たよー」

 赤髪長髪の少女がそう言って、私たちの部屋の床に座る。

「すみません、私は止めたんですけど……」

 そう言って、赤髪の少女について来ていた黒髪ポニーテールの少女が頭を下げる。

「はぁ、別にいいよ、胡桃くるみ。貴女は悪くないしね……問題は」

 私は、赤髪の少女を指差す。

恵梨香えりか、あんたよ! なんで、いっつもいっつも私の部屋のドアを壊して入ってくるのよ! 嫌がらせ?」

「うん」

 コイツ……嫌がらせって直球で言いやがった……。
 てか、普通に入れよ、壊すなよ。

「なんで嫌がらせすんのよ……」

「貴女に分かる!? 毎回毎回魔術師同士の戦いなのに、あんたに拳で吹き飛ばされるアタシの気持ちが!!」

 あー、そこか……その件はすいません。でも、許して。身体強化魔術使いやすいから。

「あの……この方たちは?」

「うん、コイツらは私の同級生で。このやかましい赤髪「誰がやかましい赤髪よ!」の子が桜木恵梨香さくらぎえりか、んでこっちの黒髪が岡崎胡桃おかざきくるみだね」
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