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第二章 迷宮都市ロベリア
067 シーナ、実力の一端を見せる
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走っていくゴルテガを見送ってから、みんなの方に視線を戻してみると、相変わらずの不安顔でオロオロしているオークと、それにどう対応すれば良いのかわからないという感じのジグガンドさんとエレクさんがいた。
オークとしてはどれだけ気味が悪くても、マイアさんを手放せば自分を守るものがなくなってしまうのだ……手放すわけにはいかない。
まるで汚いモノでも持つかのように、身体からできるだけ離すようにしてマイアさんの足を持っている。
「ちょっと、いい加減離しなさいよ、この豚野郎!」
怪我が完治して元気になったマイアさんは、どこからか取り出した短剣を握りしめ、自分の足を掴んでいるオークの手をザクザクとやりはじめた。
今回の戦闘ですでに何本も短剣を投げているのに、まだ持ってたんだな。
「この、このぉ! 離せって言ってんでしょ!」
「グォッグオゥッ!」
腕や指を短剣で切り付けられたオークは、痛みに耐えかねてマイアさんを掴んでいた左手を闇雲に振り回し、地面にズドンと叩きつけた。
「きゃーーッ!」
「「マイア!!」」
"パキィン"
ガラスが割れたような音が響き渡り、光る破片がマイアさんから飛び散る。
「あ、あれ? 痛くないわ」
今の攻撃でマテリアルシールドの効果が無くなった。物理攻撃を一度だけ無効化するこの魔法は、リキャストタイムが少し長めに設定されているので、すぐには再詠唱出来ない。
マイアさんにかけた防御魔法が残っているうちに、なんとかオークを倒したいのだが、俺の攻撃魔法はフレンドリーファイアがどんな扱いになるのか分からないので怖くて使えない。
「コノォ! ビックリさせやがって! コノッコノッ!」
思いのほかオークの攻撃が自分に効いていなかったことに気が大きくなったのか、マイアさんは再度オークの手へと攻撃を開始する。
俺は念のため、回復魔法をいつでも使えるように準備し、祈るようにしてラウニさんの魔法詠唱の終了を待つ。
ラウニさん、はやく魔法を完成させてくれ!
「グワァァァアアァッッ!!」
地面に叩きつけたはずなのに、いまだにピンピンしているマイアさんに恐怖したオークは、ブンブンと掴んだマイアさんを振り回し始めた。
"ブンッブンブンッガツン!"
オークに振り回されたマイアさんが、地面や壁に叩きつけられるたびに、硬いモノ同士をぶつけるような音がして、黄色く光る何かがマイアさんの体から剥がれ落ちていく。
その光は、最初は黄色く明るい色をしていたのだが、少しずつくすんだオレンジ色に近付いていく。
あの色が暗い赤茶色になって光らなくなると、ダメージを肩代わりするストーンスキンの効果は切れてしまう。
このペースで剥がされてしまうと、そう長くは効果が続かないだろう。
「ちくしょう! マイアが……マイアが死んじまう!」
ジグガンドさんとエレクさんは、なんとかマイアさんを救出しようとしているが、オークがマイアさんを振り回すせいで、なかなか近づけずにいる。
何度も壁や地面に叩きつけられるマイアさん。まだストーンスキンの効果がちゃんと発揮されていて、今のところは大きな怪我はしていないようなのだが……散々振り回された所為で流石に顔色が悪くなってきた。
「ウ、ウップ……キボジワルイ……吐きそう」
真っ青な顔をしたマイアさんは、両手で口元を押さえて必死に吐くのを我慢している。
「う、ううぅぅっ……」
「マイア! 顔を怪我したのか!? くっそぉ~~、よくもマイアの顔を!」
それを見たジグガンドさんは、マイアさんが必死で顔を庇っていると勘違いしている。
「おいラウニ、魔術はまだ完成しないのかよ!」
「もうすぐだ、もうすぐ詠唱は終わる。だが、オークの動きを止めないとマイアに当たってしまうぞ」
オークは自分の周りをウロチョロしているジグガンドさんとエレクさんを近付かせまいと、手に持ったマイアさんをブンブン振り回している。
なるほど、これではオークにだけ攻撃魔法を当てるのは無理だろう。
仕方がない、目立ちたく無かったのだがマイアさんの命には代えられない。
ここは俺がなんとかしよう。
「ラウニさん、俺がオークの動きを止めます。その隙に魔法を発動させてください!」
そう叫ぶ俺を見て、ラウニさんは頷き返してくれた。
何も言わずに信じてくれるなんて、さすがはラウニさん。
しかしジグガンドさんとエレクさんは、新人が訳が分からないことを言い始めた。といった感じで呆れたり怒ったりしている。
「何を言っているんだいシーナ君。余計なことはしなくていいから、じっとしていてくれよ!」
「そうだぜ、こんな時にお前の世話まで見てらんねぇ、シーナはすっこんでろ!」
まぁ、これが普通の反応だろうな。でも、二人を説得する時間も勿体ない。
俺はオークの動きを止めるために、冒険の書から魔法を発動させた。
「魔法詠唱:ホーリーチェーン!」
オークの足元に輝く魔法陣が現れる。
「なっ、この魔法陣はシーナの仕業だったのかよ!」
「おいジグガンド、何か来るぞ! 離れろっ!」
"ジャラララララララッ……"
ジグガンドさんとエレクさんが飛び退いた直後、魔法陣から何本もの光り輝く純白の鎖が飛び出し、オークの両足に次々と絡みついていく。
足を完璧に拘束した白い鎖は、足の次に胴体、そして両手へと伸びていくが、オークは左手を上へ振り上げて足元から伸びてくる鎖を躱してしまう。
「す、すげぇっ……なんだこれは!」
「これは、魔術なのか……?」
二人は俺が放ったホーリーチェーンを見て、唖然としている。
くそっ、手の拘束は避けられたか。
それなら次は……これでどうだ!
「魔法詠唱:グラビティバインド!」
オークに向かって杖を構えた俺の身体から、再度魔法詠唱中を示す光が立ち上る。
グラビティバインドは、ダメージ判定が無い拘束魔法で、相手の体を重くして身動きを取れなくしてしまう魔法だ。
これならマイアさんに多少影響があっても大丈夫なはず。
しかし、さっきのホーリーチェーンが余程脅威だったのか、魔法の詠唱を始めた俺を見たオークは、手に持っていたマイアさんを俺に向かって放り投げてきた。
「ブフォアッ!」
「きゃぁ!」
放り投げられたマイアさんは、俺に向かって一直線にすっ飛んでくる。
「う、うそぉ!」
"ドカッッ!"
不意を突かれた俺は、飛んでくるマイアさんに反応できず、ぶつかって後ろに弾き飛ばされてしまった。
やばい、俺の後ろはすぐにオルガの大穴が……
ゴロゴロと転がり、上下左右の視界が次々と入れ替わる。
すぐに自分がどういう体制になっているのかも分からなくなり、もう助からないかと思ったのだが、転がる俺の足を誰かが掴んで止めてくれたようだ。
なんとか立ち上がり、お礼を言おうとその相手を見ると、先に相手からこちらに声をかけてきた。
「だ、大丈夫かい? あにき」
声の主は、片手に兄のマック君を抱いた、大柄な少年ゴルテガだった。
マック君をポーションで回復させた後、カイヤさんの近くまでマック君を連れて退避していたらしい。
「あ、ありがとうゴルテガ君。助かったよ」
「い、いやあ、あにきが無事なら良かったんだよ」
頬を赤くして照れ笑いをしているゴルテガ君から、いつの間にか"あにき"呼ばわりされているが、今は気にしないでおこう。
状況を把握しようと視線を上げると、離れた位置に立っているオークの背中が見えた。
しかし……その後ろ姿は、上半身が腰の上からゆっくりと横へずれていき……腰から下を残したまま地面へと転がり落ちていった。
ラウニさんの風魔術が発動したらしい。
オークは横に真っ二つになって、今度こそ完全に息の根を止めたようだ。
「ふぅ……助かったぞシーナ、礼を言う」
膝をついたラウニさんが額に汗をにじませながらも、こちらに礼を言ってきた。
どうやら魔力切れの兆候が出始めているらしい。
今までの探索ではピンチの時くらいにしか魔法を使っていなかったラウニさんが、この戦闘だけでも三連続で魔法を連発したのだ。
きっとかなりの魔力を消費したに違いない。
「い、いえ……なんとかなったみたいで良かったです」
「そうだよ、あにきはすごかったんだよ!」
ゴルテガ君が、キラキラした瞳で俺を見てくる。
「そ、そう? ゴルテガ君もいい仕事したよ。ありがとね」
「い、いやいや……そんな、おれはそんなんじゃないから! あにきに比べたらおれなんて、そんなそんな……」
ニヤニヤしながら謙遜しているゴルテガ君を無視して、俺は他の皆がどうなったのか気になり、周囲に目をやった。
すると、オルガの大穴に向かってゲーゲーやっているマイアさんと、その横に寄り添って背中をさすっているエレクさんがいた。
あぁ、限界を超えちゃってたのね……まぁ、しょうがないか。
そう思い、リュックから水を取り出して近づいていくと、なんだか二人の様子がおかしいことに気付いた。
マイアさんが、気分が悪くなって吐いているだけではないようだ。どうしたんだろうか?
「あの~、どうしたんですか?」
「ジグガンドが……ジグガンドがオルガの穴に……私をかばった所為で……」
そう言うと、ゲ〇と涙にまみれた顔をくしゃくしゃにして、マイアさんはワンワン泣き出してしまった。
横に立っているエレクさんも、何かに耐えるような険しい顔をしている。
そんなぁ……マジかよぉ。
オークとしてはどれだけ気味が悪くても、マイアさんを手放せば自分を守るものがなくなってしまうのだ……手放すわけにはいかない。
まるで汚いモノでも持つかのように、身体からできるだけ離すようにしてマイアさんの足を持っている。
「ちょっと、いい加減離しなさいよ、この豚野郎!」
怪我が完治して元気になったマイアさんは、どこからか取り出した短剣を握りしめ、自分の足を掴んでいるオークの手をザクザクとやりはじめた。
今回の戦闘ですでに何本も短剣を投げているのに、まだ持ってたんだな。
「この、このぉ! 離せって言ってんでしょ!」
「グォッグオゥッ!」
腕や指を短剣で切り付けられたオークは、痛みに耐えかねてマイアさんを掴んでいた左手を闇雲に振り回し、地面にズドンと叩きつけた。
「きゃーーッ!」
「「マイア!!」」
"パキィン"
ガラスが割れたような音が響き渡り、光る破片がマイアさんから飛び散る。
「あ、あれ? 痛くないわ」
今の攻撃でマテリアルシールドの効果が無くなった。物理攻撃を一度だけ無効化するこの魔法は、リキャストタイムが少し長めに設定されているので、すぐには再詠唱出来ない。
マイアさんにかけた防御魔法が残っているうちに、なんとかオークを倒したいのだが、俺の攻撃魔法はフレンドリーファイアがどんな扱いになるのか分からないので怖くて使えない。
「コノォ! ビックリさせやがって! コノッコノッ!」
思いのほかオークの攻撃が自分に効いていなかったことに気が大きくなったのか、マイアさんは再度オークの手へと攻撃を開始する。
俺は念のため、回復魔法をいつでも使えるように準備し、祈るようにしてラウニさんの魔法詠唱の終了を待つ。
ラウニさん、はやく魔法を完成させてくれ!
「グワァァァアアァッッ!!」
地面に叩きつけたはずなのに、いまだにピンピンしているマイアさんに恐怖したオークは、ブンブンと掴んだマイアさんを振り回し始めた。
"ブンッブンブンッガツン!"
オークに振り回されたマイアさんが、地面や壁に叩きつけられるたびに、硬いモノ同士をぶつけるような音がして、黄色く光る何かがマイアさんの体から剥がれ落ちていく。
その光は、最初は黄色く明るい色をしていたのだが、少しずつくすんだオレンジ色に近付いていく。
あの色が暗い赤茶色になって光らなくなると、ダメージを肩代わりするストーンスキンの効果は切れてしまう。
このペースで剥がされてしまうと、そう長くは効果が続かないだろう。
「ちくしょう! マイアが……マイアが死んじまう!」
ジグガンドさんとエレクさんは、なんとかマイアさんを救出しようとしているが、オークがマイアさんを振り回すせいで、なかなか近づけずにいる。
何度も壁や地面に叩きつけられるマイアさん。まだストーンスキンの効果がちゃんと発揮されていて、今のところは大きな怪我はしていないようなのだが……散々振り回された所為で流石に顔色が悪くなってきた。
「ウ、ウップ……キボジワルイ……吐きそう」
真っ青な顔をしたマイアさんは、両手で口元を押さえて必死に吐くのを我慢している。
「う、ううぅぅっ……」
「マイア! 顔を怪我したのか!? くっそぉ~~、よくもマイアの顔を!」
それを見たジグガンドさんは、マイアさんが必死で顔を庇っていると勘違いしている。
「おいラウニ、魔術はまだ完成しないのかよ!」
「もうすぐだ、もうすぐ詠唱は終わる。だが、オークの動きを止めないとマイアに当たってしまうぞ」
オークは自分の周りをウロチョロしているジグガンドさんとエレクさんを近付かせまいと、手に持ったマイアさんをブンブン振り回している。
なるほど、これではオークにだけ攻撃魔法を当てるのは無理だろう。
仕方がない、目立ちたく無かったのだがマイアさんの命には代えられない。
ここは俺がなんとかしよう。
「ラウニさん、俺がオークの動きを止めます。その隙に魔法を発動させてください!」
そう叫ぶ俺を見て、ラウニさんは頷き返してくれた。
何も言わずに信じてくれるなんて、さすがはラウニさん。
しかしジグガンドさんとエレクさんは、新人が訳が分からないことを言い始めた。といった感じで呆れたり怒ったりしている。
「何を言っているんだいシーナ君。余計なことはしなくていいから、じっとしていてくれよ!」
「そうだぜ、こんな時にお前の世話まで見てらんねぇ、シーナはすっこんでろ!」
まぁ、これが普通の反応だろうな。でも、二人を説得する時間も勿体ない。
俺はオークの動きを止めるために、冒険の書から魔法を発動させた。
「魔法詠唱:ホーリーチェーン!」
オークの足元に輝く魔法陣が現れる。
「なっ、この魔法陣はシーナの仕業だったのかよ!」
「おいジグガンド、何か来るぞ! 離れろっ!」
"ジャラララララララッ……"
ジグガンドさんとエレクさんが飛び退いた直後、魔法陣から何本もの光り輝く純白の鎖が飛び出し、オークの両足に次々と絡みついていく。
足を完璧に拘束した白い鎖は、足の次に胴体、そして両手へと伸びていくが、オークは左手を上へ振り上げて足元から伸びてくる鎖を躱してしまう。
「す、すげぇっ……なんだこれは!」
「これは、魔術なのか……?」
二人は俺が放ったホーリーチェーンを見て、唖然としている。
くそっ、手の拘束は避けられたか。
それなら次は……これでどうだ!
「魔法詠唱:グラビティバインド!」
オークに向かって杖を構えた俺の身体から、再度魔法詠唱中を示す光が立ち上る。
グラビティバインドは、ダメージ判定が無い拘束魔法で、相手の体を重くして身動きを取れなくしてしまう魔法だ。
これならマイアさんに多少影響があっても大丈夫なはず。
しかし、さっきのホーリーチェーンが余程脅威だったのか、魔法の詠唱を始めた俺を見たオークは、手に持っていたマイアさんを俺に向かって放り投げてきた。
「ブフォアッ!」
「きゃぁ!」
放り投げられたマイアさんは、俺に向かって一直線にすっ飛んでくる。
「う、うそぉ!」
"ドカッッ!"
不意を突かれた俺は、飛んでくるマイアさんに反応できず、ぶつかって後ろに弾き飛ばされてしまった。
やばい、俺の後ろはすぐにオルガの大穴が……
ゴロゴロと転がり、上下左右の視界が次々と入れ替わる。
すぐに自分がどういう体制になっているのかも分からなくなり、もう助からないかと思ったのだが、転がる俺の足を誰かが掴んで止めてくれたようだ。
なんとか立ち上がり、お礼を言おうとその相手を見ると、先に相手からこちらに声をかけてきた。
「だ、大丈夫かい? あにき」
声の主は、片手に兄のマック君を抱いた、大柄な少年ゴルテガだった。
マック君をポーションで回復させた後、カイヤさんの近くまでマック君を連れて退避していたらしい。
「あ、ありがとうゴルテガ君。助かったよ」
「い、いやあ、あにきが無事なら良かったんだよ」
頬を赤くして照れ笑いをしているゴルテガ君から、いつの間にか"あにき"呼ばわりされているが、今は気にしないでおこう。
状況を把握しようと視線を上げると、離れた位置に立っているオークの背中が見えた。
しかし……その後ろ姿は、上半身が腰の上からゆっくりと横へずれていき……腰から下を残したまま地面へと転がり落ちていった。
ラウニさんの風魔術が発動したらしい。
オークは横に真っ二つになって、今度こそ完全に息の根を止めたようだ。
「ふぅ……助かったぞシーナ、礼を言う」
膝をついたラウニさんが額に汗をにじませながらも、こちらに礼を言ってきた。
どうやら魔力切れの兆候が出始めているらしい。
今までの探索ではピンチの時くらいにしか魔法を使っていなかったラウニさんが、この戦闘だけでも三連続で魔法を連発したのだ。
きっとかなりの魔力を消費したに違いない。
「い、いえ……なんとかなったみたいで良かったです」
「そうだよ、あにきはすごかったんだよ!」
ゴルテガ君が、キラキラした瞳で俺を見てくる。
「そ、そう? ゴルテガ君もいい仕事したよ。ありがとね」
「い、いやいや……そんな、おれはそんなんじゃないから! あにきに比べたらおれなんて、そんなそんな……」
ニヤニヤしながら謙遜しているゴルテガ君を無視して、俺は他の皆がどうなったのか気になり、周囲に目をやった。
すると、オルガの大穴に向かってゲーゲーやっているマイアさんと、その横に寄り添って背中をさすっているエレクさんがいた。
あぁ、限界を超えちゃってたのね……まぁ、しょうがないか。
そう思い、リュックから水を取り出して近づいていくと、なんだか二人の様子がおかしいことに気付いた。
マイアさんが、気分が悪くなって吐いているだけではないようだ。どうしたんだろうか?
「あの~、どうしたんですか?」
「ジグガンドが……ジグガンドがオルガの穴に……私をかばった所為で……」
そう言うと、ゲ〇と涙にまみれた顔をくしゃくしゃにして、マイアさんはワンワン泣き出してしまった。
横に立っているエレクさんも、何かに耐えるような険しい顔をしている。
そんなぁ……マジかよぉ。
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