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第9話
刻印は契りを求める
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朝が来る前に、目が覚めた。
薄闇の中、隣から伝わる体温がはっきりと分かる。
昨夜の感触――触れた唇の熱が、まだ消えていない。
(……キス、したんだよな…)
思い返した瞬間、胸元がじくりと疼いた。
「……っ」
息を詰めると、すぐに気配が動く。
「起きたか?」
低い声。
すぐ近くで、カイルがこちらを見下ろしていた。
「刻印が、騒いでいる…」
そう言って、指先が胸元に触れる。
布越しでも分かるほど、蒼い光が脈打っていた。
「……昨日より、強い…」
「我慢させたからだ」
淡々と言われるが、視線は鋭い。
「刻印は“確定”を求めている」
「確定……?」
問い返すと、カイルは一瞬、言葉を選ぶように沈黙した。
「守護だけでは足りない、ということだ。」
その意味が、遅れて理解できてしまう。
「……契り、ですか…?」
名指しすると、カイルの喉が鳴った。
「正確には、誓約だ。」
※誓約=結婚以上・魂契約
そう言いながら、距離を詰めてくる。
「だが――お前の世界で言うなら、それに近い。」
息が重なる距離。
逃げる余地は、もうない。
「選択は、まだ残している。」
低く、静かな声。
「今なら、断れる…」
「……断ったら?」
問い返すと、蒼い瞳が揺れた。
「それでも守る。」
即答。
「だが、触れない…」
その言葉に、胸が締めつけられる。
触れられない。
もう触れてしまったのに。
「……それ、残酷ですね…」
正直に言うと、カイルは苦く笑った。
「分かっている。」
「だが、無理に縛るつもりはない。」
そう言いながら、指先は離れない。
矛盾だらけの態度。
「刻印は、嘘をつかない。」
指が、ゆっくりとレオの手を取る。
「だが――お前の意思は、尊重する。」
蒼い光が、二人の間で淡く揺れた。
レオは、自分の心臓の音がうるさいことに気づく。
怖い。
だが、それ以上に。
「……逃げ道、もうないですよね?」
小さく言うと、カイルは首を振った。
「ある。」
だが、その声は低い。
「お前が…俺を拒めばな…」
拒めるだろうか。
この腕の中、この視線の中で。
レオは、ゆっくりと息を吸った。
「……俺」
言葉を選ぶ。
「縛られるの、嫌いでした。」
「知っている。」
「でも…」
視線を上げる。
「選ばれるのは……嫌いじゃない…」
一瞬、空気が止まった。
次の瞬間、強く抱きしめられる。
「……レオ」
名を呼ぶ声が、震えていた。
「今すぐ契れとは言わない。だが……」
額が触れ、呼吸が重なる。
「もう…引き返せない……」
その言葉に、刻印が応えるように熱を帯びる。
拒否は、しなかった。
その代わり、レオはカイルの胸に額を預けた。
「……少しずつで、いいです……」
小さな声。
「俺の覚悟が、追いつくまで…」
長い沈黙の後、
ゆっくりと、確かな声が返ってくる。
「分かった。だが…」
抱き寄せる腕に、迷いはない。
「逃がす気は、最初からない。」
蒼い光が、2人を包む。
それは契りではない。
だが、確実に――その1歩手前。
レオは悟っていた。
この騎士は、
もう「守る」だけでは満足しない。
そして、自分もまた――
その執着を、受け入れ始めている。
薄闇の中、隣から伝わる体温がはっきりと分かる。
昨夜の感触――触れた唇の熱が、まだ消えていない。
(……キス、したんだよな…)
思い返した瞬間、胸元がじくりと疼いた。
「……っ」
息を詰めると、すぐに気配が動く。
「起きたか?」
低い声。
すぐ近くで、カイルがこちらを見下ろしていた。
「刻印が、騒いでいる…」
そう言って、指先が胸元に触れる。
布越しでも分かるほど、蒼い光が脈打っていた。
「……昨日より、強い…」
「我慢させたからだ」
淡々と言われるが、視線は鋭い。
「刻印は“確定”を求めている」
「確定……?」
問い返すと、カイルは一瞬、言葉を選ぶように沈黙した。
「守護だけでは足りない、ということだ。」
その意味が、遅れて理解できてしまう。
「……契り、ですか…?」
名指しすると、カイルの喉が鳴った。
「正確には、誓約だ。」
※誓約=結婚以上・魂契約
そう言いながら、距離を詰めてくる。
「だが――お前の世界で言うなら、それに近い。」
息が重なる距離。
逃げる余地は、もうない。
「選択は、まだ残している。」
低く、静かな声。
「今なら、断れる…」
「……断ったら?」
問い返すと、蒼い瞳が揺れた。
「それでも守る。」
即答。
「だが、触れない…」
その言葉に、胸が締めつけられる。
触れられない。
もう触れてしまったのに。
「……それ、残酷ですね…」
正直に言うと、カイルは苦く笑った。
「分かっている。」
「だが、無理に縛るつもりはない。」
そう言いながら、指先は離れない。
矛盾だらけの態度。
「刻印は、嘘をつかない。」
指が、ゆっくりとレオの手を取る。
「だが――お前の意思は、尊重する。」
蒼い光が、二人の間で淡く揺れた。
レオは、自分の心臓の音がうるさいことに気づく。
怖い。
だが、それ以上に。
「……逃げ道、もうないですよね?」
小さく言うと、カイルは首を振った。
「ある。」
だが、その声は低い。
「お前が…俺を拒めばな…」
拒めるだろうか。
この腕の中、この視線の中で。
レオは、ゆっくりと息を吸った。
「……俺」
言葉を選ぶ。
「縛られるの、嫌いでした。」
「知っている。」
「でも…」
視線を上げる。
「選ばれるのは……嫌いじゃない…」
一瞬、空気が止まった。
次の瞬間、強く抱きしめられる。
「……レオ」
名を呼ぶ声が、震えていた。
「今すぐ契れとは言わない。だが……」
額が触れ、呼吸が重なる。
「もう…引き返せない……」
その言葉に、刻印が応えるように熱を帯びる。
拒否は、しなかった。
その代わり、レオはカイルの胸に額を預けた。
「……少しずつで、いいです……」
小さな声。
「俺の覚悟が、追いつくまで…」
長い沈黙の後、
ゆっくりと、確かな声が返ってくる。
「分かった。だが…」
抱き寄せる腕に、迷いはない。
「逃がす気は、最初からない。」
蒼い光が、2人を包む。
それは契りではない。
だが、確実に――その1歩手前。
レオは悟っていた。
この騎士は、
もう「守る」だけでは満足しない。
そして、自分もまた――
その執着を、受け入れ始めている。
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