蒼誓(そうせい)の騎士は転生者を離さない ― 異世界転生BL/騎士×転生者 ―

遊羽(ゆう)

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第13話

誓約相手として、世界に示す

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王城の大広間は、朝からざわめいていた。

騎士団幹部、文官ぶんかん、貴族――
いつも通りの顔ぶれ。
ただ1つ、違う点がある。

カイルの隣に、レオが立っていることだ。

(……視線、すごいな…)

刺さるような、探るような、戸惑い混じりの空気。
誰も声には出さないが、疑問ははっきりと伝わってくる。

――誰だ。
――なぜ、そこにいる。

カイルは、そのすべてを意にかいさない様子で前に立った。

「本日より…」

低く、通る声。

「彼は、俺の誓約相手だ。」

一瞬で、大広間が静まり返る。

ざわめきではない。
理解が追いつかない沈黙。

「特別な保護下ほごかに置く。」

無礼ぶれい干渉かんしょう詮索せんさく――
いずれも許可しない。」

宣言は、簡潔で、逃げ場がなかった。

(……牽制けんせい、強すぎない?)

レオが内心で思っていると、
すぐ隣で、指先が軽く触れられる。

「気にするな。」

小さな声。

「これくらいで、丁度いい。」

丁度いい、の基準が分からない。

だが、次第に理解する。

これは誇示こじではない。
境界線を引いているのだ。

誓約相手は、ここまで守られる存在だと。

重臣じゅうしんの一人が、恐る恐る口を開いた。

「……騎士団長」

「誓約とは……その…従来の守護契約とは、異なるものなのですか?」

視線が、レオに集まる。

カイルは、迷いなく答えた。

「異なる。守る対象ではない。選んだ相手だ。」

それ以上の説明はしなかった。
だが、それで十分だった。

選ばれた。
その言葉が、胸に静かに響く。

会議が進む間も、
レオは自然とカイルの隣に置かれた。

指示が飛ぶ。
書類が動く。
誰もが忙しくしている中で。

「……大丈夫か?」

不意に、耳元でささやかれる。

「顔が硬い。」

「そりゃ……」

小声で返す。

「人生で一番、注目浴びてますから…」

一瞬、カイルの口元が緩んだ。

「慣れろ。今後は、もっと増える。」

「え?」

「俺の誓約相手だからな。」

当然のように言われて、
言い返す言葉を失う。

(……本気で、隠す気ないな…)

だが、不思議と嫌ではなかった。

会議の終わりぎわ
1人の若い騎士が、意を決したように前に出る。

「し、失礼ですが……」

視線が、レオに向く。

「あなたは……この誓約を、望んで結ばれたのですか?」

空気が、張りつめる。

一瞬で、場の緊張が高まった。

レオが答える前に、
カイルが1歩前に出る。

無理強むりじいは、していない。彼は、自分で選んだ。」

その声音は、冷静だが鋭い。

だが、レオはそれを制した。

「……俺から答えます。」

小さな声でも、しっかりと。

全員の視線が集まる。

「強制じゃありません。迷いもありました。」

正直に、言葉を選ぶ。

「でも…」

一度、息を吸う。

「選びました。この人の隣にいることを…」

その瞬間、
カイルの気配が、わずかに揺れた。

それを感じ取れる自分に、驚く。

(……ああ、繋がってる)

誓約の意味を、今さら実感する。

騎士は、深く一礼した。

「失礼しました。」

それ以上、誰も何も言わなかった。

会議が終わり、2人きりになる。

「……言わせてしまったな。」

カイルが言う。

「本当は、俺がさえぎるべきだった。」

「いえ…」

レオは首を振った。

「言いたかったんです。」

「選ばれた、じゃなくて……選んだって、ちゃんと…」

その言葉に、カイルは一瞬、言葉を失った。

そして、ゆっくりと、確かに言う。

「……そういうところが…手放せない理由だ。」

直球すぎて、言葉が詰まる。

「誓約相手として。これから、もっと表に立たせる。守るが、閉じ込めはしない。」

その宣言は、独占であり、信頼だった。

大広間を出るとき、周囲の視線は、もう違っていた。

好奇こうき畏怖いふ、理解、あきらめ。

すべてを含んで――
2人を、ひとつの存在として見ている。

(……戻れないな、これ)

だが、レオはもう迷わなかった。

隣にいる騎士の歩幅に合わせ、同じ速度で、前に進く。

誓約相手として。
選び、選ばれた者として。

世界に、それを示した1日だった。
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