蒼誓(そうせい)の騎士は転生者を離さない ― 異世界転生BL/騎士×転生者 ―

遊羽(ゆう)

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第14話

逃げ場のない、優しさの中で

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公の場で誓約を示した、その日の夜。

王城の私室は、驚くほど静かだった。
外界のざわめきが嘘のように遮断され、
ここには二人分の気配だけがある。

「……疲れただろう。」

カイルがそう言って、外套がいとうを外す。

「正直に言うと、はい…」

レオは苦笑した。

「注目されるの、慣れてなくて。」

「慣れる必要はない。」

即答。

「俺が慣れさせない。」

意味が分からない。

「……それ、どういう…」

「視線をさえぎる。触れさせない。余計な声を、近づけない。」

淡々と並べられる言葉の数々に、レオは思わず吹き出した。

過保護かほご通り越して、隔離かくりですよ」

誓約せいやく相手は、隔離かくり対象だ。」

真顔で言われて、言葉を失う。

(冗談じゃないんだ……)

だが、その手は優しい。

背中に回され、静かに引き寄せられる。
力はないのに、拒否は想定されていない。

「今日…」

低い声が、すぐ耳元に落ちる。

「お前が自分の意思で答えた。選んだ、と…」

その一言で、胸が熱くなる。

「……嬉しかった。」

ぽつりとこぼされる本音。

「俺の誓約は、お前が俺を選び続けることが前提だ。それを、公の場で示した。」

指先が、髪を撫でる。
くように、丁寧に。

「……可愛かった…」

「それ言うの、反則じゃないですか…?」

抗議すると、今度は小さく笑われた。

「反則でも、やめない。」

そのまま、額が触れる。

「今夜は、休め。誓約直後は、心も体も疲弊ひへいする。」

「……一緒に?」

問いかけると、
当然のように頷かれる。

「1人にする理由がない」

寝台に並ぶと、自然と距離がなくなる。

抱き寄せられ、
背中から包み込まれる形。

「……暑くないですか?」

「暑ければ、調整する。」

そう言いながら、腕の力はゆるまらない。

「だが、離れない。」

断言。

刻印は、穏やかに脈打っている。
求めるのではなく、満たされている感覚。

「……これ、溺愛できあいってやつですよね?」

小さく言うと、カイルは否定しなかった。

「そうだ。」

「誓約を結んだ以上、遠慮はしない。」

「お前が嫌がらない限りな…」

嫌がる理由など、どこにも見当たらない。

レオは、そっと目を閉じた。

守られている。
閉じ込められているのではなく、“帰る場所”を与えられている。

それが、こんなにも安らぐとは思わなかった。

「……逃げ道、ないですね。」

眠気混じりに呟くと、低く、確かな声が返る。

「最初から、用意していない。」

その言葉に、恐怖はなかった。

ただ、深く、甘い安心だけが残る。

この夜、
レオは完全に理解した。

この騎士は、愛し方を間違えない。

そして同時に――
決して、手放さない。
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