蒼誓(そうせい)の騎士は転生者を離さない ― 異世界転生BL/騎士×転生者 ―

遊羽(ゆう)

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第15話

誓約を狙う影

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異変は、静かに始まった。

数日後。
王城の空気が、わずかに変わる。

「……視線が増えましたね。」

回廊かいろうを歩きながら、レオが言う。

「気づいたか。」

カイルの声は低い。

「内側の者ではない。」

「外部?」

「おそらく。」

誓約を示して以降、城外からの使者が増えていた。

同盟国。
宗教組織。
魔術師連盟。

どれも、“誓約”という言葉に敏感に反応する存在だ。

「特に…」

カイルは、足を止める。

「刻印の性質を知る者たちだ。」

「……狙われる、ってことですか?」

レオがそう言うと、即座に否定されなかった。

「正確には…奪えないか、試される。」

空気が、冷える。

「誓約は、神聖であると同時に――強力だ。」

「制御できれば、国家単位の力になる。」

それを聞いて、
背筋が冷たくなる。

「……それ、俺が“力”扱いされてるって…」

「そうだ。」

即答。

「だから、近づけない。」

その日の午後、1人の使者が、正式に謁見えっけんを願い出た。

名は伏せられている。
だが、まとう気配が異質だった。

「誓約相手の同席を希望する」

その要求に、周囲がざわつく。

カイルは、静かに答えた。

「許可しない。」

「誓約相手は、交渉材料ではない。」

即座の拒絶。

だが、使者は引かなかった。

「確認だけです。」

穏やかな声。

「その誓約が、真に“対等な意志”で結ばれたものかを。」

一瞬、殺気が走る。

レオには、はっきりと分かった。

――これは、試しだ。

誓約の強度。
守護者の覚悟。
そして、誓約相手の“価値”。

「……俺が答えます。」

レオが1歩前に出ると、即座に、腕を掴まれた。

「出るな。」

低く、命令に近い声。

「今回は、俺が前に立つ。」

カイルは、使者を見据みすえた。

「誓約は、既に成立している。疑う余地はない。そして…」

1歩、前に出る。

「俺は、この誓約を――奪わせない。」

空気が、張りつめる。

使者は、静かに笑った。

「……なるほど。噂以上ですね。」

そう言い残し、深く一礼して退しりぞいた。

去り際、確かにレオを見た。

値踏みする視線。

「……始まりですね。」

レオが言うと、カイルは、はっきりとうなずいた。

「始まった。だからこそ…」

振り返り、真っ直ぐに告げる。

「お前を、もっと囲う。もっと、離さない。」

それは、甘さではない。
覚悟だ。

誓約は、2人だけのものではなくなった。
世界が、それを欲し始めている。

だが、レオは知っている。

この騎士は、世界を敵に回しても――
自分を選ぶ。

その確信だけが、
胸に静かに燃えていた。
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