見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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45話

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「はぁ…おかしいと思ったんだ」


溜息をつきながら私は散らかった部屋の片付けをしていた

その理由?

そんなの部屋の真ん中で宙ずりにされてるやつに聞いてくれ


今から数分前

夜中に帰ってきたツキカゲと思われたそいつはどうも話が弾まなかった

まるで自分がツキカゲでは無いのがバレるのを恐れているかのような

全ての話に相槌を打つだけ


おかしいなと思ったのはそいつが全く食に興味を示さなかったことだ

いつものツキカゲなら夕食にするねと言った瞬間、食に関する話題を振ってくるんだ。


それにあの時見たステータスがおかしかった

まるで見られたら困るから隠しているかのようで違和感しか無かった。

最近、買い物目的でしか使ってないスキル電子世界インターネットで調べたらそれらしきものがあったよ


スキルの名前は「隠蔽」


その名の通りステータスの説明や数値、スキルなどを隠したり変えてしまったりするスキルだ。

要は見た目だけを騙すスキルである


あの時見た偽物のステータスはそこら辺にいる成人男性に近い数値だった。

大体私とツキカゲは契約関係にあるからどんなに隠蔽しようとしても本来のステータスしか見えないのだ。



「さてと…片付けは完了した

あんたの目的は何?」


マントに着いた埃を払い腰につけた愛刀ハルカゼを握りしめる


大丈夫、この子が着いてるから怖くない


自己暗示も効いたようで頭が冷静になってきた

部屋の真ん中で宙ずりになって私を見ると怯えた表情になるあたり、きっとこの黒髪が怖いんだろうな

さっきツキカゲに化けていた時も私のフードをとって僅かに驚いたように目を見開いていた。

いや、そんなことよりも大事なのは今この場にいない本物のツキカゲの行方だ


「じゃあ質問変えるか…

本物のツキカゲは今どこにいる?」


なぜこいつがツキカゲに成りすまして私に近づいたのかわからない

私がすぐに違和感に気づいたおかげで言ったら不味そうなことも言っていない

こいつは失敗したのだ。


「くっ…茶髪の男はコソコソと城の中を調べていた

しかもその男は闇属性の魔法を使っていたんだ!


私はその男を捕らえて調べた結果、この宿で同じ髪色の少女と生活しているとわかったのだ

そして私は上からの命令で変装薬を使って潜入捜査をした結果、お前みたいなガキに捕まったんだ!」


最後にヤケになるなよ…

なるほど、つまりツキカゲは城に捕われてしまい帰れなくなったと

こいつもツキカゲに化けて宿に来てみたら、茶髪の少女ではなく黒髪の幼女がいて驚いたと


そうかそうか……


「つまりお前は…いや、は馬鹿なことをしたということか」

「なに…?」


まだわからないのか…

私は溜息をつきながらスキル変装コスプレを発動させると茶色の長髪に青い瞳の少女に姿を変えた。


「なっ…!?」


これには私を騙そうとしたこいつも驚きを隠せないみたいだ。


「君にいいことを教えてあげる

私とツキカゲは城に潜入して情報を手に入れるのが目的でこの国にやってきた

黒髪は悪魔族の証…なんて言ったら私の暮らしていた世界なんて黒髪が当たり前だっつーの

いやそれよりも…

ツキカゲはどこに捕らわれている?」


今度は愛刀ハルカゼを引き抜いてやつの首元スレスレにそれを持っていく

さてどうする?

たとえ魔法で攻撃しても少しの衝撃でこいつが首に刺さってしまうことだってあるんだからな

こいつも思ってもみなかっただろうな

黒髪幼女がダガーナイフを使って脅してくるなんて…

しかも今はまでの言葉が全部幼女ボイスで流れてると考えてみろ…カオスだ。


「ひっ…罪人は全員プリズンランドに連行される!

やつもきっとそこだ!」


プリズンランド…ね

確か前にツキカゲが教えてくれたな

宗教国家トーマス帝国に罪人を捕らえておくための牢屋はない

かつてこの国が奪い取ったある領地を収容所として使い、そこに人々を閉じ込めるのだ

それは種族も関係なしに

そして私もこの世界に来たばかりの頃そこに閉じ込められたことがある


しかし、プリズンランドはこの国から離れた距離にある

私がそこに閉じ込められた時は場内を移動して地下に入った瞬間もう既に牢屋があった。


つまり…この国の城の地下にはプリズンランドにワープする魔道具があるということ

ワープゲートなんて珍しいを超えている

私ですらワープなんて出来ないぞ


「なるほど…ツキカゲはプリズンランドにいるのね

じゃああんたは用済みだ」

「………は?」


間抜けな声をあげた彼

まずは宙吊りの状態から解放して…だけど身動きは取れないようにまだ腕と足の縄は解かないようにする

そしたら部屋を暗くして魔力を練る


「影から闇を生み、その男を闇の中に飲み込みなさい

捕食イット!」


叫び声と共に沈んでいくやつの身体

どんなに叫ぼうと、もがこうとその努力は無駄に終わる

せいぜい闇の中で生きるがいいさ

私は人間の血をあまり浴びたくないんだよね


遅くなったけど、行きますかね


「ツキカゲ…今助けるからね!」
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