中年はチートなしでもなんとかなる -異世界に来たので欲望のまま生きてみる-

ながれ

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3章 中年は街を手伝わない

第16話 魔法ってあこがれるよねって話

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誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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ウカンデ神殿長がこの町にやってきた翌日。
私は早速神殿に向かった。

幸いお金はあるので、さっそく加護を付けてもらおうと
勇んで神殿を訪れた。

「ウカンデ神殿長さま、ぜひとも私に雷と土の加護をお与えください。」

「ほう、雷と土とな。おぬしの年齢であれば土だけでも十分ではないのか?
  冒険者というわけでもなく、雷の洗礼は特にいらないであろう?」

「私に少し思うところがあり、どうしても雷もいただきたいのです。」

『フムフム』とばかりに白いひげをなでながら神殿長が私を見ていた。

私の中ではどうしても雷、というか電気がほしかった。
『電気があれば何でもできる!』
とばかりに顎を突き出してみたが、さすがに通じなかった。

神殿長は私に上着を脱ぐように促し、

「雷と土であれば、金貨150枚ほどの御寄進をお願いいたします。」

と告げられ、私は『高っ!』と思いながらも、喜々としてそれを支払った。

「おや?おぬし洗礼を受けておらぬようじゃ。おぬしの親はいったい何をしておったのじゃ?」

そういうと神殿長は少し首を傾げながら不思議そうにしている。

「洗礼とは何ですか?」

「おぉ可哀そうに、おぬしは洗礼も知らずにその年までおったのか。
  洗礼とはこの世に生まれてからすぐに親が子に乳を与える前に行う祈りの儀式じゃ。
  その洗礼を受けるとこの部分に少し黒味がかった刻印を賜るのだ。」

神殿長は『ツンツン』とばかりに私の心臓のあたりをつついた。

「ならば、まずは洗礼を行ってあげよう。なーにこれほど立派な教会を建てたおぬしへのサービスじゃ。」

神殿長が何やらブツブツとお祈りをはじめ、胸のあたりに手をかざすと
私の左胸に丸いアザのようなものが浮かんできた。

「よしよし、これで洗礼は完了じゃ。これより加護の授与を始める。」

そういってさらに神殿長はまた何かブツブツと唱えだし、左胸のアザに手をかざした。

「いちっ!」

少しアザが痛んだと思うとそのあざが形を変える。
丸い点のようだったアザが、見る見るうちに魔法陣のような模様を描いた。
大きさは500円玉くらいになった。

それと同時に頭の中に何やら魔法の呪文やその使い方が浮かんでくる。

すごく不思議な感覚だった。

「さぁこれで加護の授与は済んだ。おぬしの頭の中にはすでにこの加護の力が理解できたであろう。」

そういうと神殿長は『ほっほっほっ』とばかりに笑いながら
金貨150枚を入れた袋を持って教会の居住スペース側へと去っていった。

[おぉわかる。わかるぞ!これが魔力ってやつか。なんだか変な感じだ。]

すごーく生ぬるーいエネルギーのようなものが体にあるのが分かった

私はいそいそと、まさに新しいおもちゃを手に入れた子供のように家へと飛びかえった。

家に帰ってさっそく先ほど受けた加護の魔法を試そうと
土の鉢を抱えながら自宅のリビングでその魔法を実行した。

その途端、私の意識はなくなり、リビングでぶっ倒れた。

どれくらいの時間眠っていたのだろう、気が付くと外は夕方くらいだった。

頭を振りながら起き上がるとそこには何も変化していない鉢と
倒れたときにぶちまけた土が散らばっていた。

私は何が起きたのか全く理解できないまま、
とりあえず魔法が不発だったことを考え、『とりあえずニテに聞いてみよう。』となった。

歩いて5分ほど、カリテウリテとニテが住んでいる家に到着した。

木の扉をノックすると中から、ニテがゆるーいローブのようなものを纏って出てきた。

「あの~ちょっと教えてほしいことがあって。」

そういう私をニテは『まぁどうぞどうぞ』と好意的に家の中に招き入れてくれた。
ニテは以前に比べ血色もよく、なにより太っていた。

「今日、神殿で加護を受けたんだけど、家に帰って魔法の練習をしようと思ったら倒れちゃって。」

と少しおもちゃをうまく扱えなかった子供のようにニテに今日あったことを話した。

するとニテはおもむろに椅子から降りて何やらごそごそとタンスの中のものをあさっていた。

1枚の板を取り出し、それを私に見せてきた。
昔見たことがあるステータスボードだった。
そこには何も書かれておらずまだ未使用の状態だった。

「とりあえずそれに血を付けてみてくださいね。」
そういってキッチンにあった小型のフルーツナイフのようなものの柄を私に渡してくれた。

私はお言葉に甘えてそのステータスボードに血を付けてみた。

  シュウイチ・サカイ
  役職:村人 Lv.3
  HP:18/22  MP: 2/10  PW:19  SP:13  CL: 9  HL:13  LC: 14
  特技:魔法(小)[雷、土]

[おぉ特技の欄に魔法が追加されてる!]
私は加護を受けて使えるようになった魔法がそこに記載されているのに喜んだ。

それをみてニテが私に『あらら』とばかりに色々と教えてくれた。

この世界では生まれてすぐに洗礼の儀式を施す。
普段生活する空間にも微量ながら魔素が混じっておりそれを体に取り込むことで
大体1年で1レベル上がるらしい。私の場合、今まで洗礼を受けていなかったせいなのか
年齢の割に明らかにレベルが低いとのこと。
そのためMPが足りず、魔法が発動しない。
それどころかMP切れでぶっ倒れたというわけだ。
レベルの上がり方は人それぞれではあるが、これほど年齢の割に極端に低い人は初めて見た。
とニテが教えてくれた。

ニテ曰く、
「よっぽど大きなお屋敷の貴族で、
  生まれてから今までほとんど外に出ずに生活していなければ、
  まずこんなことはおこらないだろう。
  しかしそれほどのお屋敷の人であれば、
  幼いころに洗礼や加護を受けていなければおかしいはず。」
とのことだった。

話を聞き終えたころには既に夜になっていたので、
私はステータスボードやいろいろ教えてくれたお礼だと銀貨数枚を差し出したが、

『いつもカリテがお世話になってますから。』と頑として受け取っては貰えなかった。

彼女的には建築ギルド長に自慢の息子を推薦してくれて、
村から街にしてくれたり、ウリテも一生食べていけるだけの仕事を
与えてくれていることに本当に感謝しているらしく、
本当にご主人様的な扱いをしてくれる。

「私でお力になれる時はいつでもお尋ねください。」

と丁寧にお見送りしてくれた。ちょっと太っていたが、
痩せてた頃のニテなら本当に『3人目の子供作ります?』と言いたくなっていただろう。

原因が分かって安心した私は、『とりあえず明日でいいか。』という感じで
近くの飯屋でご飯を済ませ、家へと帰ったのだった。
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