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7章 中年は色々頑張ってみる
第60話 中年の特殊能力?って話
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作者の励みになります。
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コンビニの自動ドアにぶつかりそうになる。
提携銀行のATMは絶賛営業中。
すごく前の記憶なはずなのに分かる。
覚えている。操作方法もわかる。
『暗証番号・・・』
ついボソッとつぶやいてしまった。
<ヤバイ覚えてなかった。。。えーっとなんだったっけ?>
確か、誕生日や携帯番号なんかじゃなかった気がする。
なんか、盗難防止とかそういうセキュリティ的な奴で変えてた気がする。
ん~~ん~~とうなっているとかなり昔の光景がフラッシュバックしてきた。
銀行の窓口、口座を開設しようと銀行までやってきた。
田舎から都会に出てきて、これからはこっちで生活するんだからと
給与振り込みや、家賃の引き落としなどをするために新たに口座を作った。
ゾロ目や自分の誕生日ではだめだろうと思い決めた暗証番号。
『あっ母ちゃんの誕生日。』
これぞ中年の特殊能力なのだろうか、この現代においてもかなり前。
異世界の異空間まで入れると多分100年近く前ではなかろうか。
古~~~~い記憶のはずなのに、何となく昨日のことのように思い出す瞬間がある。
私は思い出した暗証番号をATMに入力した。成功だ!
私は約100年前の記憶を思い出すことに成功した。
残高照会をまず押してしまう。80年以上経っても癖なのだろうか抜けない。
画面に表示される数字に一人で驚いてしまう。
しばらく『金貨何枚』とかって考え方だったから思いのほか大きな数字に驚く。
そんなに大した金額ではないのだけれど、
無趣味な中年。結婚資金ではないが、2,3か月くらいなら給料なくても生活できる蓄えは作った。
コツコツと、ってか蓄えくらいしかモテる要素がないから。
いつか彼女ができたときにちょっと温泉旅行とかにはいけるくらいにはしておきたい。
と考えたままそれから彼女はできていない。
とりあえず、タクシー代としては十分過ぎるだろう金額を引き出す。
一瞬『万』って数字を押すときにちょっと指が震えた。
だって金貨1万枚とかってもう豪邸でしょ!
結構な量だよ。両手でもあふれちゃうよ。
ATMは期待を存分に裏切り、十数枚の紙札を吐き出すだけだった。
そうだよね。うん。金貨とかにしてみたらこんなもんだよね。
と何故かちょっと寂しくなった。便利なのか不便なのかはあえて言及しない。
何も買わずに出るのも、なんだか失礼な気がして、
そのコンビニでメロンパンと缶コーヒーを買う。
駅前で待ってくれているタクシーに乗り込む。
とりあえず紙札を2枚ほど出して、お願いする。
「運転手さんこれくらいで行けますか?」
『うん。大丈夫だよ。乗って!』
すぐさま乗り込むと運転手さんは車を発進させる。
少し行くと高速に乗ってくれたようだ。
早い。多分魔道カーペットよりも早い。
そして明るい。星が見えないくらい明るい。
「運転手さんすみません。ちょっとパン食べてもいいですか?」
『あぁ大丈夫だよ。』
といいながら、サイドにおいてある小さな空気清浄機らしきものを起動した。
すげー空気清浄機って、空気を綺麗にしている。
魔素とかは感じられたけど、『空気が綺麗か?』とか気にしたこともなかった。
コンビニの袋から買ったメロンパンを取り出す。
旨い!半端なく旨い!ふわふわでめちゃくちゃ甘い!
口の中にメロンパンの甘さが伝わり、唾液が無くなる。
缶コーヒーを開ける。
これも旨い!『微糖』とか書いてあるけど超旨い!
コーヒーの風味があるのに少し甘みを感じる。
メロンパンの甘みと相まってものすごく旨い!
肉とかちょっと硬めのパンしか食ってなかったから、
今すぐ泣きそうなくらい旨い。しめて263円。安い。
多分銅貨3枚くらいの値段でこの旨さ。現代すげー。
とりあえず、メロンパンを食べ終わり、コーヒーをちびりながら落ち着く。
<現代は恵まれている。すごく暮らしやすい。>
でもフツフツと沸き立つような感覚がする。
キジュやリース、サーシャやシュレーム、ウリテやカリテ。
みんなまだ生きている。
心の中で何かが焦らせてくる。
携帯を見ればちょうど閉店の時間くらいだろうか、
タクシーで到着するまでにもあと15分ほどかかる。
間に合うだろうか?ユリママはまだこちらにいるのか?
普段はあまりエネルギーを使わないように生きていた。
コツとまでは言えないけど適当に力を抜くのがうまくなった。
仕事も生活も、遊びもほどほどくらいでちょうどいいと思っていた。
<許せるわけないよね。結局、美容の為ってなんだよ。>
そう思い、高速を走るタクシーから街並みを見つめていた。
徐々に街並みに迫っていく。
なぜこんなに急いでいるのかは分からない。
行っても意味がないのかもしれない。
行ったからって何かが解決するわけじゃない。
でも行かなきゃいけないような気がしている。
中年にだって『やらなきゃ!』って感情はもちろんある。
だって私には恩返ししなきゃいけない人が沢山いる!
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