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7章 中年は色々頑張ってみる
第63話 商業ギルドは色々揃うって話
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作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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夜も更けてきたこと、チェスターらしき外壁が見えてきた。
頑丈そうな外壁は健在である。今はいったいいつなのだろう。
外壁があるという事はかなり後の時代だったりするのだろうか?
門番はいない。深夜だからだろうか?
チェスターに入る。街並みは私が出ていった時とほとんど変わらない。
この時間に空いている施設は冒険者ギルドか、商人ギルドあたりだろう。
さすがに深夜なのでいきなりキジュの家を訪ねても悪いし、
仮に既にキジュがいない時代だったら、ただの不審者でしかない。
まずは冒険者ギルドを訪ねる。
裸足に腰蓑と僅かばかりの肉と木の実を腰にぶら下げている。
受付には知らない女性が眠たそうに座っている。
「あの~すみません。リースさんはいらっしゃいますでしょうか?」
受付嬢はすごく違和感を感じたのか訝しげにこちらを見ている。
『キルマスなら今夜はダンジョンに行っています。明日の昼には戻ると思いますよ。』
とのことだった。良かった。まだリースは冒険者ギルドのマスターらしい。
最悪、私が消えた後しばらくたっていたとしても、それほどは経っていない。
まぁ10年以内といったところだろうか。
明日また来ることを伝えて、私は冒険者ギルドを出た。
その足で商人ギルドを目指す。深夜に空いているのはこの2件しかない。
自分の家があった場所を訪ねてもいいが、他の人が既に住んでいれば非常に困る。
『昔ここに住んでいたんです!今日泊めてください!』なんて絶対言えない。
怪しすぎる。せめて服装だけでもなんとかしないとこのまま朝を迎えればただの原始人である。
商業ギルドに入る。
たまにソシアやセシアに会う時に尋ねたくらいだったのであまり慣れていない。
そういえばチェスターにいた頃は新作の服だとかなんか面白い商品が入ったと
妹のセシアがたまに洋服を届けてくれた時に話したくらいだったな。と思い出す。
「あの~。ソシアさんはいらっしゃいますでしょうか?」
受付の男の人に尋ねる。この子は知っている。
確かカリテと同い年くらいのジンという子だったはず、見覚えがある。
「あれシュウさん、どうしたんですか?こんな時間に。っていうかなんか懐かしい格好してますね。」
受付に居たジンはニコニコ笑いながら私に話しかけている。
「あぁちょっと昔を懐かしんでね。ははっ。」
乾いた笑いで返す。すると、ソシアはマスター室にいるらしくそのまま上がってくれと言われた。
商人ギルドのギルドマスター室に向かう。
ドアの前で一応ノックすると、中から「は~い、どうぞ~。」と声がする。
良かった。さっきのジンもそうだが知り合いの顔を見るだけでちょっと嬉しい。
ゆっくりとドアを開けて中に入る。ソシアは何やら書類とにらめっこしている。
「あっシュウさん。ってどうしたのその恰好!ってかまだいたの?」
ちょっと服装で驚かれたみたいだ。ってか『まだいたの?』ってなんかいちゃいけない感じになっている。
「いや~ちょっと事情があって少し服を分けてもらえないかな。お金は後日何とかするから。」
さすが中年である。今ははっきり言ってお金なんて持っていない。
あるのはウルフの肉と木の実くらいである。
しかし、知人にいい感じにお願い事をする癖というか言い回しは上手いものである。
「うっううん。いいけど、なんかあったの?確か昨日、街を出るって言ってたけど。」
<ん?>
すごく気になる発言をされた。まぁ服を用意してもらえるのはありがたい。
『昨日』というワードにすごく気をひかれてしまった。
ソシアは地下の倉庫まで案内してくれた、そこで私がいつももらっていた下着やシャツを適当に見繕っている。
ソシア曰く新作だというローライズジーンズっぽいものを進めてくれたが、『ローライズじゃないほうがいい。』
とお願いして勘弁してもらった。中年がお腹を出す『へそ出し』みたいな恰好をしてもなんだか美しくない。
私が好きだった革のジャケットもかなりオシャレな感じに仕上がったものがあった。
靴もそしてなんと靴下もそろえられたのは嬉しかった。
1時間くらい前までは全裸に腰蓑だけだったので、一気に文化が進んだ感じだった。
流石は商人ギルドの倉庫で、この町にある者はほぼなんでも揃った。
採取用のナイフや荷物を入れるリュック、蝋燭のようなものやマッチのようなものもあった。
人は魔法がなくても、道具が使えるのだから、こうやって、人々の暮らしの水準が上がることは
多分魔法よりも重要なのかもしれない。
ソシアは洋服や備品を出してくれながら、キジュやセシア、リーアのことも話してくれた。
みんな元気そうで何よりである。
というか話していて、今がいつなのかが分かった。
私がチェスターを出たのが『昨日』という事である。
確かに私は、村を出る時にギルマスのみんなに挨拶していった。
昨日の午前中に挨拶をしに来ていたことが確認できたので、
今この世界に私は2人いることになる。
今ここで備品を集めている私と、もう一人はトルネとルマンに向かっている私である。
『時空間転移?』とも考えたがそもそも数か月もの時間を遡ろうと思えば、
かなりの魔力量が必要になるだろうから単純に過去に来たわけではない。
一度私の『元居た世界』を経由したことで、たまたま時間が戻ってしまったのだろうか?
そもそも、『今居る世界』と『元居た世界』の時間が平行しているとは限らないし、
多分深く考えても私では分からないような気がした。
もう一人の私は今頃トルネさんと馬車の中。確か2,3日ほどかけて移動していた。
この世界に来て初めて違う街を目指した時のことを最近の事のように思い出す。
もう一人の私は金貨を魔力から作ることができる。
しかしそのせいでお金を使いすぎ目立ってしまった。
トントン拍子で話が大きくなっていくとともに、私はもの凄い魔力を手に入れ、
ある意味チート性能とも思われるほどの能力を持った結果。
目立ちすぎて貴族になった。
その結果リリスに見つかり、強制転移されるわけだが、
今は、もう一人の私が居る。もしかしたらリリスの野望を打ち砕けるのかもしれない。
備品をリュックに詰め込みながら、そんなことを考えているとソシアは何気に話してくれた。
「昨日シュウさんが街を出た後、みんな面白かったのよ~。」
「何が?」
「リースはなんだか久しぶりに体を動かしたいとか言ってダンジョンに言っちゃうし、
ニテなんかも突然の事とかって言ってすねちゃって、カリテもウリテも大変だったみたいよ。」
「そっそうなの?」
いつの間にか私は村のみんなに受け入れられていたんだなと少しうれしい気持ちになった。
色々あってなぜだかすぐに戻ってきてしまった私としてはちょっと恥ずかしい気がする。
とりあえず、リースやニテ、キジュなどには、出発後に忘れ物をしてすぐに戻ってきたとか
『言い訳をするしかないかな~』と何となく悩まし気な気分になった。
「ありがとうソシア。」
「いいっていいって、お金は私が立て替えておくからあるときにもってきて。銀貨5枚でいいわよ。」
「安いな。いいのか?」
「うん。ここなら卸値で出せるから大丈夫よ。」
「ありがとう。セシアにもよろしく伝えておいてくれ。」
私はソシアにお礼を伝えた後一旦自分の家を目指すことにした。
昨日の今日なのだから、誰も入っていないはずである。
一応、ニテ達に管理を任せるようにキジュには伝えていたが、
『即入居』というほどではないだろうと思っていた。
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