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7章 中年は色々頑張ってみる
第64話 疲れ切って寝てしまうって話
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誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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商業ギルドから出て少し歩く。
街は深夜の為、寝静まっている。
ふと、『この町に戻ってきたんだな~』と感慨深くもある。
異空間魔法の時間を合わせると80年以上前の街並みに思えてしまうが、
実際には時を遡っているので、大して変わっていなくて当たり前なんだろう。
思えばこの町での暮らしは平和そのものだった。
魔法を覚え、バカみたいに魔力量を増やした結果、
金貨を作り出せるようになり、そこからはドタバタだった。
変に大金を持ったり、力を持つと実際余計なことが多く降りかかる。
このまま、この町でゆっくりまったりと過ごしたい気分もあるが、
そんなことを考えてしまうと、これから会うことになるであろう、
サーシャ、ユーリナ、ミューリ、シュレームや他の人々に申し訳ないような気持になった。
お金を持っても、力を持っても、それを使わずに細々と気楽に暮らせれば、
本当は幸せなのかもしれないとも思った。
そんなことを考えながら、元自分の家の前に着いた。
鍵なんてそもそも付けていない。家にいる時はかんぬきのようなものをしてはいたが、
誰も居ない家なのだから当然そとからかんぬきをかけるはずもない。
貴重品はほとんどなかったし、それで十分だった。
いざ家に入ろうとするとドアにかんぬきがかかっている。
開かない。誰かいるのだろうか?
昨日の今日で、もうだれか入居してしまったのだろうか?
だとすればちょっと悲しくもある。
少し強引にドアを引っ張ってみる。
---- ガタガタッ ----
やはり開かない。『今日は野宿かな。』と思い始めた頃、
部屋の中で物音がした。
ちょっと『どうしよう。逃げようか。』とも思ったが、
一応、ここは4階。階段を降りる音で逃げたのがばれてしまう。
---- キキッキーッ ----
ゆっくりとドアが開くとそこにはニテが居た。
<ん???>
「あれシュウさん戻ってきたの?」
「うっうん。ちょっといろいろあって・・・」
「そっそう。さぁ入って。」
ニテに促されて自分の家に入る。ちょっと変な感じ。
まぁ確かにキジュを通じて、私の家の管理はニテ達に任せることになっていたが、
まさかニテがそこに住むとは思わなかった。
中に入ってみると、家具などはない。
一部、建築ギルドの道具などで荷物になるからと置いていった道具なども
そのまま置いてある。
「あっここニテが住むの?」
私はちょっと戸惑いながらニテに話しかけてみた。
というかニテにも住居が割り当てられており、
今ではカリテとウリテも建築ギルドに自分たちの家?みたいな部屋があるので、
ほとんど一人暮らしだったはずなので、ちょっと不思議な感じがした。
「えっ、あっそのー、住むっていうわけじゃないんだけど。」
何やら悪戯が見つかった子供のようにニテがモジモジしている。
「あっとりあえず、ある程度準備ができたらまた旅に出るかもしれないから、
ニテが住んでも全然いいんだけど・・・」
自分が勝手に出ていって、勝手に戻ってきただけなので、
別にニテを責めるつもりは全くなかったのだが、昨日の今日でここに寝泊まりしているニテを見て
ちょっとびっくりしてしまったのである。
元々中年男の独り住まいである。家具はない。
床には寝床的な感じで獣の皮が数枚引いてある。
とりあえず二人で床に腰かけようとすると、
ニテがそそくさと台所の方にいって水魔法で水を用意してくれた。
<・・・・・>
会話がない。深夜の自宅に何故かニテと二人きり。
ちょっと気まずいのでニテには事情を話しておいた方がいいかなと思った。
「あのー戻ってきたというか、飛ばされてきたというか、
ちょっとニテの知恵も借りたいんだけど・・・」
「えっ?うっうん。私が分かることなら。」
それから私は、自分がこことは違う別の世界から来たこと。
色々あって戻ってきたこと。
魔法が使えなくなっていること。
などをかいつまんで話した。
今この世界にはもう一人の私がいて、今はルマンに向かっていることや
もうしばらくしたら自分が王都で色々あって伯爵になることなどは
話がややこしくなりそうだったので話さなかった。
「魔法使えなくなっちゃったんだ~」
ちょっと悲しそうな顔をしている。確かに私から見ればニテは魔法の初めての師匠という事になるから、
ニテとしても教え子がダメ男になって戻ってきた感じなんだろう。
「リースはそこら辺の事情も知ってるの?」
「あーどうかな?ちゃんと話したことがあるわけじゃないけど。」
「とりあえず、明日にでもリース達にも話したほうがいいわね。
神殿にも行ってまた魔法も使えるようにならなきゃね。」
そんな感じで色々と話し込んでいたら、いつの間にか私は眠ってしまっていたようだ。
横にはニテも眠っていた。森を歩き疲れてしまった私が悪いのだが、ニテもそのまま居てくれたようだ。
起きると外は既に明るかった。昼より少し前だろうか。
私が起きてからまもなく、ニテも起きたようだ。
昨日のドアといい、今といい、物音で起こしてしまってちょっと申し訳ない気がする。
「おはよう。」と笑顔で言ってくれたニテにちょっとだけドキッっとした。
朝ご飯をどうしようかと話していた時、
自分が無一文なのに気が付いた。
「あっ、今全然お金持ってなくて。」
「えっ?あっいいよ。私が出すから、朝ご飯食べに行きましょう。」
そういってニテと二人で、冒険者ギルドに併設してある食堂へと向かうことになった。
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