中年はチートなしでもなんとかなる -異世界に来たので欲望のまま生きてみる-

ながれ

文字の大きさ
66 / 101
7章 中年は色々頑張ってみる

第66話 ほぼ最弱な中年って話

しおりを挟む

お気に入り設定ありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

-------------------------------------------------------------

神殿を後にして、一人で冒険者ギルドに向かう。
数刻前にご飯を食べにいったがその際にリースがいなかったことで
結局神殿に先に行くことになった。

神殿では『洗礼』を受けることができず、その原因が何なのかはわかっていない。
私自身は『この世界にもう一人の私がいるから』と何となく思っている。
でもそれが原因であれば、リリスからもう一人の自分が転移させられた後で『洗礼』を受けるか。
もう一人の私を何らかの方法でこの世界から消せばいいのだが、
明日ルマンの町に到着し、『分解』の能力を覚えてしまった私は、
今の私がどんなに頑張っても太刀打ちできないほどのステータスを手に入れてしまう。

まずは、ギルドカードを手に入れ、今の自分のステータスを確認することで、
この後の行動を考えようと思っていた。
私が社会人になって経験したいろいろなことの結果。
『考えても仕方ないことは考えない。』という半ば省エネな性分も持ち合わせている。

記憶に懐かしい街並みを歩き、冒険者ギルドに到着した。
窓口の近くにはリーアがいた。

「あらシュウさん。しばらく旅に出られると伺ってましたが、
どうしたんですか?」

「いろいろあって身ぐるみはがされて、またチェスターに戻ってきた。」

「えっ?盗賊ですか?それならすぐにでも討伐依頼を・・・」

「いやいや、盗賊ではないし、トルネも無事だから問題ないんだけど、
ギルドカードやお金を全部なくしてしまって困ってるんだ。」

「なるほど、じゃぁとりあえずギルドカードを再発行しましょう。」

「えっ?私お金持ってないけど再発行できるの?」

「冒険者ギルドでは救済策の一環で、横の食堂を含め冒険者には『ツケ』ができるんですよ。
後ほど、討伐依頼などをこなしていただきその代金から差し引かせていただきます。」

「なるほど、『ツケ』かぁ。それは助かる。」

私はリーアに早速冒険者ギルドの制度を利用して、ギルドカードの再発行をお願いした。
自分よりかなり年下のリーアに『ツケ』させてもらうことにちょっと違和感を覚えながらも
手続きは粛々と進んだ。

中年の特権ともいえる『ツケ』が使えるのはうれしい。
といってもこの世界では冒険者であればツケができるのだから、
中年の特権というわけでもないのだろうけど・・・。

「なっ!なんなんですかーーーー!これは!」

リーアの叫び声が聞こえて慌ててそちらを見た。
リーアが出来上がったばかりのギルドカードを見ながら驚いている。
やはり、転送以前のスキルはまさにチート性能だったので、
それがばれてしまったのだろう。

リーアが少し困惑した表情のままこちらに戻ってくる。

「一応守秘義務がありますので、大きな声では何も言いませんが、
こちらが新しいシュウさんのギルドカードになりますす。」

私は転送前にギルドカードをそれほど確認していなかった。
一体どんな数値になっているのか?
私は恐る恐るそのギルドカードを眺めた。

  シュウイチ・サカイ
  役職:村人 Lv.2
  HP:18/20  MP: 6/8  PW:17  SP:11  CL:---- HL:10  LC: 71
  特技:特になし

<ん?Lv2>

「シュウさん。今はおばあちゃんがいないので、また後程来てください。
何があったのかを色々お聞きすることになると思います。
まず、なぜLvが下がっているのか?後はCL(知力)のこの表示は測定不能です!
私も初めて見ました。」

私自身、このギルドカードを見て、思ったこと。
肉体はほぼ初期化されている。スキルも魔法も。
しかし、知力だけ異常に高いのは、現代に転送された影響としては、
精神というか知力だけは引き継がれているのだろう。
まぁ確かに本を読んだ知識や魔法を使った知識だけは残っているのだから
当然なのかもしれない。転送前の私のステータスは一体どういう状態になっていたのかが不安になる。

確かにリリスから『バインド』をかけられた時にほとんど拘束された感じはなかった。
どちらかといえば状況把握が追い付かず、とっさに動けなかったといった感じが否めない。
当時に状況から考えれば力づくであの場を打開できたのかもしれないが、
リリスの狙いがわかり、『リターン』と唱えられるその瞬間まで、
自分に何が起こっているのかをよく理解していなかった。

私はリーアに後程来ることを約束し、冒険者ギルドに保管してある初期装備を貸してもらえるように頼んだ。
こういう厚かましさも中年らしいのかなとも思ったりもした。

私は初期装備に身を包み、セシアたちに与えてもらった荷物を持ち、
とりあえずFランク冒険者が受けることができる採取系の依頼を数枚持ち、
チェスターの町から外に出た。

まずはLvが2なので、まずは森にいるトテ鳥なんかを狙いながら、
少しでも体力をつけなければならない。

『できないことは最初からやらない。』
『考えても仕方ないことは考えない。』
とい考え方は、言い換えれば。
『できることをコツコツやる。』
『考えて分かる危険性には近づかない。』
という意味でもある。

この街を出たもう一人の私はLv20くらい。
しかし、王都についた頃の私はLv40過ぎ。
その後は、はっきり言って常人には届かないLv。
そんなもう一人の自分を今の私がどうこうできるはずがない。

まずは策を練りつつ、最低限の策が実行できる程度の体力が必要である。
しおりを挟む
感想 148

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...