現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第1章 初めての町(タカギ)

第20話 先生の力を全力で思い知ってしまった件

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俺、ミサカさん、アヤメさん、ブライアントさん、先生の5人で食堂に入る。

先生とブライアントさん、ミサカさんはいわゆる上座、
部屋の入り口から一番遠い席へと向かう。

アヤメさんと俺はいつもの席に向かう。

俺が食堂に到着したことに気が付いた、
カザンさんとサルサさんが急いで話しかけてきた。

『『ヤスト!ちょっと話がある!』』

カザンさんとサルサさんがハモったことにお互いがびっくりしたらしく、
「どうぞ、どうぞ。」と譲り合いを始める。
じゃぁとばかりにカザンさんが話すことに決まったようだ。

『ヤスト、今日、夕食時の席順等をみんなに伝える。
 今日からヤストはこっちに座ってくれ。』

要は食事する席が代わるようだ。
ユリの隣で食べる夕食は楽しかったので、ちょっと残念な気がする。

続いてサルサさん。

『ヤスト!今日、スワロウラビットが10匹ほど来たんだが、
 どれも狩り方が雑だ。
 明日でもいいので時間があるときに食堂裏の厨房に俺を訪ねてきてくれ、
 解体作業や倒し方のコツを教える。
 食料が増えるのは助かるが、食材としてきちんと活用するためには必須だ。』

要は食材などの解体方法を教えるので、
今後はきれいな状態で入荷してほしいという事なのだろう。

というか席に着く間もなく二人につかまった。

もしかしたら先生はこうなることが分かっていて、
わざわざ3階の執務室まで移動したのか?
だとしたらどれくらい先まで詳細に予知できているのか正直分からない。

この移動都市には90人近くの人が住んでいるが、
その一人一人がどのように影響し合って、どのタイミングで、何が起こるのかが
仮にある程度分かっても、そこで自分自身がどういう行動をするのかを決めるのは
ハッキリ言って容易なことではない。

「もし」とか「たら、れば」など何万通りの選択肢があるのかさえ分からない。

確かに、先生のスキルはかなり強力のようだ。
悪用されたら国が亡ぶとかいうレベルを超えそうだとすら思う。

カザンさんに連れられて、上座側に移動する。

あらかたみんなが着席を終えると、先生がハンドベルのようなものを鳴らす。
今までの夕食ではなかった光景だ。

『え~みな、元気そうでなによりじゃ。
 今日は一つタカギにとって重要な通達があるので
 今しばらく夕食は待ってもらいたい。』

先生のその言葉をきいた時、
いつもなら席に着くとすぐにマリオネットが給仕してくれていたのに、
今日は誰の前にも夕食が運ばれていなかったことに気づく。

『まずは、食堂の模様替えというかちょっとした変更を行う。
 今から各自に新しい席の番号を書いた札を配るので
 各自それを持って一度食堂から退出する。
 再集合は3分後なので食堂の前で待っていてもらいたい。』

先生の号令で、マリオネットが素早く各自に木札のようなものを渡す。
20秒ほどで全員に席札が配られた。

皆は一様に席を立つと、ぞろぞろと食堂の前の廊下に出た。

食堂の中ではマリオネット達が、テーブルや椅子を一気に移動させているのが分かる。

・・・3分後・・・

食堂のテーブルが全て丸テーブルに変更されており、
それぞれのテーブルに何やら記号が書かれた立て札のようなものが置いてある。
まるで結婚披露宴会場に来たような雰囲気になっている。
(といっても俺自身結婚式に参加したのは親せきの結婚式に1度でたことがあるだけ。)

ちなみに俺に渡された席札は「甲の八」と書かれている。

各自が自分の席札に書いてあった席に向かい着席する。
席に着いたとたん、マリオネットがいつもより少し豪華そうな食事を給仕してくれる。

『ほっほっほ。席替えなど数年ぶりじゃが、なかなか新鮮でええの~』

同じ卓にいるブライアントさんが席替えでテンションが上がった小学生のように喜んでいる。

ちなみに俺がいる席のメンバーは、
シズネ先生、マイコさん、ブライアントさん、カザンさん、
ユキマサさん、ミサカさん、俺の7人が座っている。一番上座にある席だ。
何だがこのタカギの主要メンバーに囲まれてちょっと緊張してしまう。

『それじゃ、まぁ夕食でも食べながら聞いてくれればよい。
 皆も知っての通り、このタカギにはヤストが住人として加わった。
 パートナーチームの編成も終え既に夜伽も開始しておる。』

新しい席に座った一同が、にこやかに先生の話を聞いている。

『まぁみんな見てもらえばわかると思うが、
 この席順はそれぞれのパートナーチーム毎の席となっておる。』

先生の言葉で周りを見渡すとそれぞれの円卓に座っているメンバーは
どうもパートナー毎の卓になっているらしい。
甲卓に近い、乙、丙、丁卓にはカザンさん、ユキマサさん、サルサさんの
パートナーが座っているようだ。
その先に、戊、己卓があり、己卓が一番人数が多いようだ、
と思ったらそこにユリやアヤメさんがいるのでそこが俺のパートナーチームなんだろう。
という事は戊卓がミサカさんチームという事になる。
唯一、マイコさんだけは先生の秘書的な位置で他はそれぞれのチームになっているようだ。

更にその先の卓には子供達や、パートナーがいない人たちが列席しているようだ。

『それぞれのパートナーチームの親睦を深めるとともに、
 それぞれの男性をより盛り立ててやってほしいのじゃ。

 それを踏まえて、今後のことで少し皆に方針を伝えておく必要がある。

 まぁ明後日にタドコロへと到着するのではあるが、
 ヤストとヒバリにはこのタカギに残ってもらうようにお願いしておる。
 そこで皆にお願いではあるが、ヤストに関わる事の一切は他言無用に願いたい。

 これからヤストがおることによりこのタカギが受ける恩恵は
 必ず皆の暮らしを豊かにしていく。

 何卒、協力を頼むぞい!』


『『『『『はい!』』』』』

食堂にいた皆が、先生に同意を示し、一様に笑顔でいてくれる。
俺が聞いていた「みんなで家族」というイメージ非常に分かりやすく、
また、微笑ましかった。

新たな円卓形式での夕食はみなテンションを上げてお祭り騒ぎとなった。
それぞれの卓で買い物の約束をしてみたり、物々交換をしてみたりと
色々な話に花を咲かせていた。

この席替えもそうだが、すべてが手際良く、十分に準備がされていて、
ごく自然に流れていく感覚がこの町の日常なのだろうと感じた。

そのすべては思惑通りというか予定調和な感じがして、
シズネ先生自体が本当にすごいと感じた。
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