現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第2章 タカギ争乱

第46話 移動都市ニュータカギが完成した件

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こうして俺が合流して1週間。シズネ先生がなくなって2週間が経ち。
最高の移動都市ニュータカギは完成した。

この1週間。みんなは何かに取り付かれたように、作業を一生懸命に行った。
男も女も、大人も子供も、人間もドロイドも・・・
何かを振り切るようにただ一心不乱に自分にできる作業をひたすらこなした。

『はい!全員一旦休憩ーーーーー!
 休憩後10時からブライアントさんに新しい車両を案内してもらうわ!』

マイコさんもほとんど寝てないんじゃないだろうか。
髪はボサボサで疲れているのか少し顔も青白い。
たた一つの改善点は、涙を流さなくなった。

時計を見たら朝9時だった。
朝飯を食べるのを忘れていた。
MPの残量は100を切っているが、まだ魔物を出せる。

外で作業していた皆が、肩で息をしている。
ドロイドたちはせっせと解体作業や、運搬作業を行っている。
みなは血走った眼を伏せがちに、一斉に風呂に向かう。

本当に何かにとりつかれた集団だ。

お風呂には、老若男女問わず、みんなが裸で入っている、
風呂の大きさが全く足りてないため、芋洗い状態であるが、
俺も、カザンさんも、ミサカさんも、ユキマサさんもサルサさんでさえも
女性が触れ合おうとお構いなしに湯につかる。

身体を洗うというより、とりあえず汗にまとわりついた砂ぼこりを
水で洗い流しているだけ。
マリが入り口に立ち、俺を見つける。

「マリ!この風呂場にいる全員にお湯を頭からかけてくれ!」
俺は湯船に浸かれない人々も含め全員で、お湯を浴びることを提案。

『ヤスト様、了解しました。』

マリさんが水魔法と火魔法を併用し、風呂場の天井のすぐ下にお湯の塊を生成する。
グレードアップで魔力総量も上がっているので、マリにとってこの程度のことは造作もない。

---ザッパーーーーン!---

『『『『『『『ふ~~~~~~~』』』』』』』

風呂場にいたみんなの緊張の糸が少し緩むと共に、
皆の息が一つになった。

とりあえず、芋洗い状態では満足に体も洗えないので、
脱衣所に向かう。
マリさんが風魔法と火魔法を駆使してあっという間に身体を乾かす。
手渡してくれた新しい服に着替えてとりあえず風呂場を出る。

風呂場の前にはそれぞれに付いたドロイドが主を待っている。

一昨日くらいから、1人1体のドロイドが割り当てられている。
俺にはマリさんとパペさん、スパさん、モクさんの4体が居るのだが、
スパさん、モクさん、パペさんはニュータカギのお手伝いをしている。

とりあえず、どこに行くでもなく食堂の自分の席に座る。
マリさんが手際よく、朝食を俺の前に置く。

他のタカギメンバーも俺と似たような感じだ。
ずーっと緊張の糸が張り詰めたまま、1週間も経過したのだ。
まさに狂気ともいえる集中力とそれを作り出す雰囲気。

各自が無言で朝食を食べている。
シズネ先生の席は空席のままだ。

サルサさんが厨房から出てきて、甲テーブルにやってくる。
ブライアントさんがシズネさんの席に一つズレて、
先ほどまでブライアントさんが座っていた場所にサルサさんが座る。
誰が決めたわけでもない。何となく二人がそう動く。

----パン!パン!----

『はい、ちゅうもーく!丁度いいことに今見る限り、全員、この場にいます。
 ですので、このまま、ブライアントさんにニュータカギを案内してもらいます!』
マイコさんの声が食堂に響く。

ブライアントさんが立ち上がり、皆の前で宣言する。
『わしゃ、シズネの遺言通り、わしが望む最高の千人都市を作り上げた!
 素材も無制限、人員も無制限で1週間、この老体を削って完成させた!
 多くの者の手伝いに大変感謝する!』

ブライアントさんの宣言で皆の目に生気が戻る。

この1週間、それが目標だったというわけじゃない、ただ無心で作業した。
結果的にニュータカギの完成が告げられた。

『『『『『『『ウォーーーーーーー』』』』』』』

食堂にいた全員が歓喜の声を上げる。
ドロイドたちは拍手を持ってそれを称える。

ブライアントさんを先頭に続々とみんなが食堂を後にする。
サルサさん、カザンさん、ユキマサさん、ミサカさん、俺もその後に続く。

先ほど作業していた外に出ると、視認性阻害と透明化でうっすらと陽炎のように佇む、
10トントラックのような大きな荷台がそこにあった。
全長12m、高さ5mと今使っている元のタカギに比べるとかなり小さい。
車輪も片側4輪の計8輪しかなく、はっきり言って千人は入れるようなものには見えない。

車両後部が全面シャッターになっており、間口は以前より広い。
その中には、超高純度魔力結晶を惜しみなく使った、超広大な空間が存在していた。
広さを分かりやすく使えると、横方向に400m、先頭方向へ400m真四角。
高さ50mの大空間を10フロアに分割し、必要な設備をすべて盛り込んだ。
単純な容積量だけなら、タカギの15倍以上あるらしい。

入ってすぐのエントランスには噴水らしきものがある。
現在のタカギの住人全員が入ってもまだ余裕があるエントランス。
エントランスは天井までぶち抜かれていて、開放感どころではない。
左側50メートルほど先に斥候部隊の部隊所があり、
右側同じく50メートルほど先に狩猟部隊の部隊所がある。
正面向かって右斜め前が物資保管部隊の部隊所兼倉庫
左斜め前が魔道部隊の部隊所となっており、
真正面にはマリさん特製の魔道エレベーターが5台並んでいる。
魔道エレベーターの両脇にには2階に続く階段がある。
一応10階まで階段で上り下りも可能とのこと。

エレベータ裏には先頭の操作席に続く大通りのようなものがあり、
その両サイドには、革細工やポーション、鍛冶場や木工や石工など、
それぞれ専用の工房が設置されている。

2階には大浴場と食堂が設置されており、会議室なんかも用意されている。
その奥には居住区画が整備されており、2階フロアだけで200人が居住できる。
一番小さな部屋でも、風呂トイレ、キッチン付きの収納抜群ワンルーム。

当然、防音防寒と外の景色が見える窓のような映像魔道具が設置されており、
各部屋には通信魔道具や魔道灯、冷蔵庫や洗濯用魔道具も当然完備である。

最上階の10階は農場、牧場設備になっており、
総人口2000人でも耐えられるだけの農作物および酪農生産物が生産可能となっている。
2階が200人、3階から9階までが1フロア300人収容可能。
総収容可能人数2300人を誇る、大移動都市。
規模感だけで言えば普通の要塞都市より人が住める設備になっている。
まだ5階から上は作業中とのことであるが、それはドロイドさんたちが粛々と進めてくれているらしい。

いわゆる特別室は30部屋。すべて2階にあり、ブライアントさんやカザンさんたちは全員そこに住む予定。
キングやルークがせっせと部屋に荷物を運んでいる。

一通りの設備を見て、エントランスにみんなが集まる。

『ヤスト君、前に来てーーー!』
マイコさんから呼ばれて前に向かう。

『はい。みなさんちゅうもーく!
 今後タカギでは部隊を新設いたします!
 その部隊は、ヤストを部隊長とする"遊撃隊"です!』

マイコさんから次々と俺のパートナーが呼ばれて前に出てくる。

『遊撃隊はこのタカギにではなく、
 小型の遊撃隊専用車にて行動していただきます!』

マイコさんが後方を指さすと、そこには軽キャンをさらに小さくした
よく街でホットドックとか売ってそうな小さなバンくらいの車体が用意されていた。
このニュータカギもそうだが、そのニューハウス?は少し丸みを帯びており、
「空気抵抗などを考えたのだろうか?」と思うほど、
俺が住んでいた世界の自動車に近い。
ニュータカギとニューハウスは転送魔法陣で接続されており、
素材や物資のやり取りは可能。

このニュータカギでの魔力動力機関は18個搭載しているらしく、
結果的にかなりのスピードが出せる。重くなってもパワー的には何の問題もない。
結果的に『走る城塞都市』となっている。
ちなみに移動速度で言うと遊撃隊の乗るニューハウスの方が速度は出せるらしい。

一緒に移動させるときには、
このニュータカギに遊撃隊用のニューハウスを載せて走ることも可能という。
しかも驚いたことにこの2台の魔力動力車自体が、ドロイドとしての意志を持ち、
また自らがエネルギー源である魔力をリジェネで生成するという。

いかにもブライアントさんの夢を具現化した、移動城塞都市が出来上がっていた。
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