選択肢が現れる能力

僧侶A

文字の大きさ
上 下
1 / 1

選択肢が現れる能力

しおりを挟む
RPGゲームなどで度々現れる選択肢。大体の場合展開に予想がついたり実質的に一択だったりとそこまで迷うことはないのではなかろうか。

失敗したところでやり直せば良いのだから。

しかし、それが自分の人生において現れたとしたら?

ゲームのように簡単に決められないだろう。

人生を捨てている人間ならともかく、大体の人間は悩む。

やり直すことなんて出来ないからだ。

人生にセーブやリセットボタンなんてものは無い。

その選択をやり直してもその選択をしたという事実が消えることはない。

それなのにゲームと違って正解かどうかなんて分からない。

これが普通の人の選択肢である。

しかし俺には人生の岐路においてゲームのように選択肢が目の前に現れる。

俺はその選択肢を自ら選び取って進むことが出来る。

これだけならば目に見えるだけで別に他の人と変わらないじゃないかとも思える。

しかしこの選択肢の真価はそこではない。選んだ後にその選択肢が正解か不正解なのかが出る。

例えば幼稚園を卒園した後小学校に入る際、小学校に通うか否かの選択肢が現れる。

昔の俺は当然小学校に通うことを選んだ。その時ピンポンと正解の音が鳴った。

このような感じで自分の選んだ道が正しいのかが分かるのだ。

俺は小中高と間違いの選択肢を選ぶことなく進んできた。

選択肢の前に慎重になれたのが要因なのだろうと俺は思う。

分かっていても改めて突きつけられると心構えが変わってくるものだ。

そして俺は高3になりセンター試験を受けた。その結果を見て改めて受ける大学を決めることになった。

そこに選択肢が現れた。
第一志望の大学、そこから少し落とした大学、その2つの大学の他学部の合計4つが現れた。

今まで考えてきた学部と全く違う学部が現れたことに疑問を感じた。俺の中の選択肢に入ってすらいないものだからだ。

俺は謎の選択肢のせいもあり色々と迷った結果、第一志望の大学を選んだ。

すると不正解の音が流れた。

人生で初めての不正解だった。

しかし俺はこの選択肢を変えることはできない。そういう風になっているからだ。

俺は間違いの選択肢だと分かりながらも受験をした。

間違いだったため落ちるのかと思っていたが普通に受かった。

そして俺はそのまま何事もなく大学に通っている。

その選択肢から2年ほど経ったが何が間違いなのかはまだ分からない。

これから人生の転落か何かが起こるのかもしれない。しかし俺には予想もつかない。

一度選んだ選択は覆すことなど出来ない。しかしその選択を間違いから正解に持っていくことは出来る。

だからこそ俺は自分の選択肢が不正解ではないという証明をしていくのだ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...