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第一章:再び目覚めた勇者
第二十四話:封印の魔族
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館の地下に響く重い空気。その中心で、黒い瘴気が渦を巻いていた。
リゼリアが慎重な表情で杖を構える。封印の魔法が破れた瞬間、地下全体を満たすほどの膨大な魔力が解き放たれた。
剣を抜いたセリオに向かって魔族は猛然と突進する。
——ドン!!
衝撃波が地下を震わせ、壁の一部が砕け散る。セリオはギリギリでその巨体をかわし、即座にカウンターで斬撃を繰り出した。しかし——
「——効かない?」
斬撃が触れたはずの箇所が、黒い霧となって消えていく。そしてすぐに再生され、元の形に戻った。
「フン、再生能力持ちか」
「簡単に倒れられてもつまらないものね」
リゼリアは冷静に分析しながら、魔法陣を展開する。
「実験体なら、核があるはずよ。そこを破壊すれば再生は止まるわ」
「探るしかないってことか……手間だな」
魔族が再び動き出す。今度は腕が異常な速度で伸び、セリオを狙った。
——バキィ!!
セリオは剣で弾いたが、衝撃で足が地下の床にめり込む。その一瞬の隙を突き、魔族のもう片方の腕が伸びる。
「——っ!」
「ダメよ」
リゼリアが杖を振ると、紫電が魔族の腕を撃ち抜いた。魔族の体がビリビリと震え、動きが鈍る。
「セリオ、今よ!」
「——もらった!」
セリオはすかさず踏み込み、全身の力を込めて剣を振り下ろす。その一撃は魔族の胸部を深く裂いた。
「……ギ、ギギ……!」
中から黒い霧が噴き出すが、その奥に青白く光る“核”が見えた。
「あれか……!」
「しつこく再生する前に叩きなさい!」
「言われなくても!」
セリオは渾身の突きを放ち、核を貫いた。
——ズゥゥゥン……!!
魔族の体が激しく痙攣し、やがてズシンと音を立てて崩れ落ちる。赤黒い眼球は光を失い、黒い霧もゆっくりと消えていった。
「……終わったか?」
セリオが剣を引き抜き、一歩下がる。魔族の体は完全に動かなくなっていた。
「ええ、これで大丈夫。生きてはいるけれど、もう戦えないわ」
リゼリアがゆっくりと近づき、魔族をじっと見下ろす。その瞳に宿るのは、冷たい観察者の目。
「……ふぅん、なるほどね。この身体は実験の産物だわ。おそらく、人間と魔族を融合させる実験で生まれた戦闘用の個体ね」
「融合……?」
「そうよ。強靭な魔族の肉体と、人間の魔力適性を兼ね備えた個体を生み出す試みね。成功例もあるけれど、この魔族は完成には至っていない。戦闘用の融合体の生成は難しいのよ。……この個体、魔力の流れが歪んでいるわ」
リゼリアは興奮した様子で魔族の身体を調べ始める。セリオはその様子を見て、ため息をついた。
「……で、こいつはどうするんだ?」
「研究対象として保護するわ。私にとっては貴重な資料よ」
リゼリアは嬉しそうに微笑んだが、魔族は一歩も動こうとしなかった。
「……ここから出るつもりはない」
「……ええ?」
「我は、ここで待つ……」
何かしらの理由があるのだろうか。セリオは剣を収めながら考える。
「まあ、いいわ。どうせ私が研究するんだから、ここまで通えばいい話よ」
リゼリアはあっさりと受け入れた。そして、セリオを見て満足げに微笑む。
(これでこの館に通う理由ができたわね)
セリオはリゼリアの心の内を知らず、「これ以上厄介ごとが増えなければいいが……」とだけ呟いた。
リゼリアが慎重な表情で杖を構える。封印の魔法が破れた瞬間、地下全体を満たすほどの膨大な魔力が解き放たれた。
剣を抜いたセリオに向かって魔族は猛然と突進する。
——ドン!!
衝撃波が地下を震わせ、壁の一部が砕け散る。セリオはギリギリでその巨体をかわし、即座にカウンターで斬撃を繰り出した。しかし——
「——効かない?」
斬撃が触れたはずの箇所が、黒い霧となって消えていく。そしてすぐに再生され、元の形に戻った。
「フン、再生能力持ちか」
「簡単に倒れられてもつまらないものね」
リゼリアは冷静に分析しながら、魔法陣を展開する。
「実験体なら、核があるはずよ。そこを破壊すれば再生は止まるわ」
「探るしかないってことか……手間だな」
魔族が再び動き出す。今度は腕が異常な速度で伸び、セリオを狙った。
——バキィ!!
セリオは剣で弾いたが、衝撃で足が地下の床にめり込む。その一瞬の隙を突き、魔族のもう片方の腕が伸びる。
「——っ!」
「ダメよ」
リゼリアが杖を振ると、紫電が魔族の腕を撃ち抜いた。魔族の体がビリビリと震え、動きが鈍る。
「セリオ、今よ!」
「——もらった!」
セリオはすかさず踏み込み、全身の力を込めて剣を振り下ろす。その一撃は魔族の胸部を深く裂いた。
「……ギ、ギギ……!」
中から黒い霧が噴き出すが、その奥に青白く光る“核”が見えた。
「あれか……!」
「しつこく再生する前に叩きなさい!」
「言われなくても!」
セリオは渾身の突きを放ち、核を貫いた。
——ズゥゥゥン……!!
魔族の体が激しく痙攣し、やがてズシンと音を立てて崩れ落ちる。赤黒い眼球は光を失い、黒い霧もゆっくりと消えていった。
「……終わったか?」
セリオが剣を引き抜き、一歩下がる。魔族の体は完全に動かなくなっていた。
「ええ、これで大丈夫。生きてはいるけれど、もう戦えないわ」
リゼリアがゆっくりと近づき、魔族をじっと見下ろす。その瞳に宿るのは、冷たい観察者の目。
「……ふぅん、なるほどね。この身体は実験の産物だわ。おそらく、人間と魔族を融合させる実験で生まれた戦闘用の個体ね」
「融合……?」
「そうよ。強靭な魔族の肉体と、人間の魔力適性を兼ね備えた個体を生み出す試みね。成功例もあるけれど、この魔族は完成には至っていない。戦闘用の融合体の生成は難しいのよ。……この個体、魔力の流れが歪んでいるわ」
リゼリアは興奮した様子で魔族の身体を調べ始める。セリオはその様子を見て、ため息をついた。
「……で、こいつはどうするんだ?」
「研究対象として保護するわ。私にとっては貴重な資料よ」
リゼリアは嬉しそうに微笑んだが、魔族は一歩も動こうとしなかった。
「……ここから出るつもりはない」
「……ええ?」
「我は、ここで待つ……」
何かしらの理由があるのだろうか。セリオは剣を収めながら考える。
「まあ、いいわ。どうせ私が研究するんだから、ここまで通えばいい話よ」
リゼリアはあっさりと受け入れた。そして、セリオを見て満足げに微笑む。
(これでこの館に通う理由ができたわね)
セリオはリゼリアの心の内を知らず、「これ以上厄介ごとが増えなければいいが……」とだけ呟いた。
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