7 / 86
第六話:未知なる力、ネクロマンサー
しおりを挟む
視界がゆっくりと白く染まり、現実世界へと引き戻される感覚があった。
レイヴン——いや、柊誠司は静かに目を開けた。
そこはゲームの中ではなく、自宅のリビングだった。
壁掛け時計を見ると、現実の時間で約三時間が経過している。ゲーム内では、それよりも少し長く感じられた。
「ふぅ……」
誠司はヘッドギア型のVRデバイスを外し、額の汗を拭った。
フルダイブ型のゲームは初めての経験だったが、想像以上にリアルだった。
(……まるで、もう一つの世界にいたような感覚だな)
五感の再現度が高すぎて、ログアウトした今も、まだグランベルクの町の空気やダスクウルフとの戦いの感触が残っているようだった。
※
翌日。
簡単な朝食を済ませ、誠司は再びVRデバイスを装着した。
——ログイン開始。
視界が暗転し、再び意識がレイヴンへと切り替わる。
※
「——さて、今日のところは何をするか」
レイヴンは宿屋の狭い地下室で目を覚ました。
ゲーム内では朝になっており、薄暗い部屋の小さな窓からわずかに朝日が差し込んでいた。
体力やMPは完全に回復している。
このゲームでは、宿屋で休めば体力やMPが回復するシステムになっているようだった。
(とはいえ、このままじゃ金もないし、装備も頼りないな)
初期装備のローブと杖では、少し戦っただけでボロボロになるのが目に見えている。
装備を整え、戦闘の基礎を学ぶ必要がある。
まずは町の探索から始めることにした。
※
グランベルクの町は朝から活気に満ちていた。
レイヴンは人混みを抜けながら、まずは武具屋を目指した。
——だが、その途中で一つの建物に目を奪われた。
古びた石造りの建物。その扉には、不気味なドクロの紋章が刻まれている。
「死者の祠」
それが、この町にあるネクロマンサー向けの施設だった。
(……どうやら、ここがネクロマンサー専用の施設らしいな)
今の自分はこの職業を選んだばかりで、スキルの使い方も完全には把握していない。
基礎を学ぶためにも、一度訪れてみる価値はありそうだ。
※
扉を押し開くと、ひんやりとした空気が流れてきた。
中は意外なほど静かで、石造りの壁には無数の蝋燭が並べられている。
奥に進むと、一人の男がこちらを見つめていた。
黒いローブを纏い、手には細長い骨の杖を持っている。
「……新たな死霊術士(ネクロマンサー)か?」
低く、落ち着いた声だった。
「まあな」
「ここは、死者の声を聞く者たちの集う場所。我らはこの世ならざる力を操る者」
男はレイヴンを見つめ、ゆっくりと頷いた。
「お前も、冥府の力を望むか?」
「……そのつもりで、この職業を選んだ」
レイヴンが答えると、男は満足げに微笑んだ。
「ならば、まずは基本を学ぶといい」
男は手をかざし、何かを操作すると、新たなスキルが解放された。
——《スキル:リビングデッド解放》
——《スキル:ソウルサクリファイス解放》
レイヴンはメニューを開き、スキルの説明を確認した。
《リビングデッド》
死体を操る基本的な死霊術。敵を倒し、その死体を素材にすることで、一時的に使役可能なアンデッドを召喚できる。
《ソウルサクリファイス》
自身のHPを消費することで、一時的に魔力を増幅させる。使い方次第で強力な効果を発揮するが、無闇に使うと自滅の危険もある。
「ふむ……なかなか面白いスキルだな」
戦闘スタイルは、死体を利用する召喚術と、自身のHPを犠牲にするリスクのある魔法が中心となるようだ。
当然、普通の魔法職とは全く違う戦い方を求められる。
(やりがいがありそうだ)
レイヴンは密かに微笑んだ。
※
「実践で試してみるといい」
男はそう言って、奥の扉を指さした。
「この先にある墓地で、実際に死霊術を使ってみるがいい。あそこなら、いくらでも実験台がいる」
「墓地、ね……」
どうやら、ここが最初の実戦フィールドというわけか。
——未知なる力、ネクロマンサー。
レイヴンは杖を握りしめ、死者の安息地へと足を踏み入れた。
レイヴン——いや、柊誠司は静かに目を開けた。
そこはゲームの中ではなく、自宅のリビングだった。
壁掛け時計を見ると、現実の時間で約三時間が経過している。ゲーム内では、それよりも少し長く感じられた。
「ふぅ……」
誠司はヘッドギア型のVRデバイスを外し、額の汗を拭った。
フルダイブ型のゲームは初めての経験だったが、想像以上にリアルだった。
(……まるで、もう一つの世界にいたような感覚だな)
五感の再現度が高すぎて、ログアウトした今も、まだグランベルクの町の空気やダスクウルフとの戦いの感触が残っているようだった。
※
翌日。
簡単な朝食を済ませ、誠司は再びVRデバイスを装着した。
——ログイン開始。
視界が暗転し、再び意識がレイヴンへと切り替わる。
※
「——さて、今日のところは何をするか」
レイヴンは宿屋の狭い地下室で目を覚ました。
ゲーム内では朝になっており、薄暗い部屋の小さな窓からわずかに朝日が差し込んでいた。
体力やMPは完全に回復している。
このゲームでは、宿屋で休めば体力やMPが回復するシステムになっているようだった。
(とはいえ、このままじゃ金もないし、装備も頼りないな)
初期装備のローブと杖では、少し戦っただけでボロボロになるのが目に見えている。
装備を整え、戦闘の基礎を学ぶ必要がある。
まずは町の探索から始めることにした。
※
グランベルクの町は朝から活気に満ちていた。
レイヴンは人混みを抜けながら、まずは武具屋を目指した。
——だが、その途中で一つの建物に目を奪われた。
古びた石造りの建物。その扉には、不気味なドクロの紋章が刻まれている。
「死者の祠」
それが、この町にあるネクロマンサー向けの施設だった。
(……どうやら、ここがネクロマンサー専用の施設らしいな)
今の自分はこの職業を選んだばかりで、スキルの使い方も完全には把握していない。
基礎を学ぶためにも、一度訪れてみる価値はありそうだ。
※
扉を押し開くと、ひんやりとした空気が流れてきた。
中は意外なほど静かで、石造りの壁には無数の蝋燭が並べられている。
奥に進むと、一人の男がこちらを見つめていた。
黒いローブを纏い、手には細長い骨の杖を持っている。
「……新たな死霊術士(ネクロマンサー)か?」
低く、落ち着いた声だった。
「まあな」
「ここは、死者の声を聞く者たちの集う場所。我らはこの世ならざる力を操る者」
男はレイヴンを見つめ、ゆっくりと頷いた。
「お前も、冥府の力を望むか?」
「……そのつもりで、この職業を選んだ」
レイヴンが答えると、男は満足げに微笑んだ。
「ならば、まずは基本を学ぶといい」
男は手をかざし、何かを操作すると、新たなスキルが解放された。
——《スキル:リビングデッド解放》
——《スキル:ソウルサクリファイス解放》
レイヴンはメニューを開き、スキルの説明を確認した。
《リビングデッド》
死体を操る基本的な死霊術。敵を倒し、その死体を素材にすることで、一時的に使役可能なアンデッドを召喚できる。
《ソウルサクリファイス》
自身のHPを消費することで、一時的に魔力を増幅させる。使い方次第で強力な効果を発揮するが、無闇に使うと自滅の危険もある。
「ふむ……なかなか面白いスキルだな」
戦闘スタイルは、死体を利用する召喚術と、自身のHPを犠牲にするリスクのある魔法が中心となるようだ。
当然、普通の魔法職とは全く違う戦い方を求められる。
(やりがいがありそうだ)
レイヴンは密かに微笑んだ。
※
「実践で試してみるといい」
男はそう言って、奥の扉を指さした。
「この先にある墓地で、実際に死霊術を使ってみるがいい。あそこなら、いくらでも実験台がいる」
「墓地、ね……」
どうやら、ここが最初の実戦フィールドというわけか。
——未知なる力、ネクロマンサー。
レイヴンは杖を握りしめ、死者の安息地へと足を踏み入れた。
20
あなたにおすすめの小説
インフィニティ・オンライン~ネタ職「商人」を選んだもふもふワンコは金の力(銭投げ)で無双する~
黄舞
SF
無数にあるゲームの中でもβ版の完成度、自由度の高さから瞬く間に話題を総ナメにした「インフィニティ・オンライン」。
貧乏学生だった商山人志はゲームの中だけでも大金持ちになることを夢みてネタ職「商人」を選んでしまう。
攻撃スキルはゲーム内通貨を投げつける「銭投げ」だけ。
他の戦闘職のように強力なスキルや生産職のように戦闘に役立つアイテムや武具を作るスキルも無い。
見た目はせっかくゲームだからと選んだもふもふワンコの獣人姿。
これもモンスターと間違えられやすいため、PK回避で選ぶやつは少ない!
そんな中、人志は半ばやけくそ気味にこう言い放った。
「くそっ! 完全に騙された!! もういっその事お前らがバカにした『商人』で天下取ってやんよ!! 金の力を思い知れ!!」
一度完結させて頂きましたが、勝手ながら2章を始めさせていただきました
毎日更新は難しく、最長一週間に一回の更新頻度になると思います
また、1章でも試みた、読者参加型の物語としたいと思っています
具体的にはあとがき等で都度告知を行いますので奮ってご参加いただけたらと思います
イベントの有無によらず、ゲーム内(物語内)のシステムなどにご指摘を頂けましたら、運営チームの判断により緊急メンテナンスを実施させていただくことも考えています
皆様が楽しんで頂けるゲーム作りに邁進していきますので、変わらぬご愛顧をよろしくお願いしますm(*_ _)m
吉日
運営チーム
大変申し訳ありませんが、諸事情により、キリが一応いいということでここで再度完結にさせていただきます。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる