魂の残響 〜冥府の支配者、還暦からのVRMMO成り上がり〜

夢乃アイム

文字の大きさ
28 / 86

第二十七話:冥府の門

しおりを挟む
 ——視界が暗転し、レイヴンは静かな闇の中に立っていた。
 さっきまでいた冥府の空間とは違う。ここは、何もない虚無の世界。

(イベント進行中……ってところか?)

 レイヴンが周囲を見渡していると、突然、目の前に光の粒が集まり、扉の形を成していく。
 荘厳な装飾が施された巨大な黒い門。その表面には無数の魂のような模様が刻まれており、今にも蠢きそうな錯覚を覚える。

 そして、その扉の前に立つのは——

「……お前か」

 白金の髪をたなびかせた女性、レクシアが再び姿を現した。

「ようこそ、継承者様」

 彼女は扉の前に立ち、レイヴンを迎えるように微笑んだ。その表情にはどこか静かな誇りが感じられる。

「ここは?」
「冥府の門——死者の王が開くべき扉です」
「死者の王、ね……俺が、それになると?」
「正確には、“なる資格を得た”という段階です」

 レクシアの声には確信があった。

「貴方はレイドボスを討伐し、《冥府の魔王の証》を得ました。そして、その力が認められたことで、貴方に“冥府の継承者”としての選択権が与えられたのです」

「つまり、この扉を開けば、俺は本格的に冥府の力を得ることになる……ってことか?」

 レクシアは頷いた。

「ですが、それは単なる権利の獲得ではありません」
「……どういう意味だ?」

 レイヴンが問い返すと、レクシアは穏やかな表情のまま言った。

「貴方が冥府を受け入れるということは、“死者の王”としての責務を果たす覚悟を持つということ。冥府はただのダンジョンやエリアではなく、生と死の狭間に存在する場所……貴方は、そこに関わることになります」

 レイヴンは黙って考え込む。

 ゲームのイベントとして考えれば、この扉を開くことで新たなクラス進化やスキル強化が手に入るのは間違いない。
 だが、「責務を果たす覚悟」などという言葉が出てくるあたり、単なるパワーアップイベントではなさそうだった。

(責務、ね……)

「まあ、そもそもアンデッドを扱う以上、死者とは無関係じゃいられないか」

 そう呟くと、レクシアが僅かに目を見開いた。

「……貴方は、本当に不思議な方ですね」
「何がだ?」

「貴方のように、死者を“使い捨ての駒”としてではなく、“共に戦う仲間”として扱うネクロマンサーは珍しいのです」

「当然だろ。こっちは仲間だと思って戦わせてるのに、そいつらを単なる“使い捨て”扱いするなんて、俺にはできない」

 レクシアは少し驚いたようにレイヴンを見つめた後、ふっと微笑んだ。

「——やはり、貴方こそがこの力を継承するに相応しい」

 そう言いながら、彼女は冥府の門に手をかざした。

「貴方が冥府の力を受け入れる覚悟があるなら、この門を開いてください。貴方の意思で——」

 レイヴンは門を見上げる。
 これは単なるゲームイベントなのか、それとも何かもっと大きなものの始まりなのか……
 だが、答えは決まっていた。

「……ここまで来て、やめるなどという選択肢はないな」

 レイヴンは一歩踏み出し、両手をゆっくりと門に添えた。

 ——瞬間、門が青白い光を帯び、まるでレイヴンの手を受け入れるように脈動する。

 そして——

 

〈システムメッセージ〉
【冥府の門、解放】

 

 次の瞬間——扉が重々しく開かれ、光が溢れ出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

インフィニティ・オンライン~ネタ職「商人」を選んだもふもふワンコは金の力(銭投げ)で無双する~

黄舞
SF
 無数にあるゲームの中でもβ版の完成度、自由度の高さから瞬く間に話題を総ナメにした「インフィニティ・オンライン」。  貧乏学生だった商山人志はゲームの中だけでも大金持ちになることを夢みてネタ職「商人」を選んでしまう。  攻撃スキルはゲーム内通貨を投げつける「銭投げ」だけ。  他の戦闘職のように強力なスキルや生産職のように戦闘に役立つアイテムや武具を作るスキルも無い。  見た目はせっかくゲームだからと選んだもふもふワンコの獣人姿。  これもモンスターと間違えられやすいため、PK回避で選ぶやつは少ない!  そんな中、人志は半ばやけくそ気味にこう言い放った。 「くそっ! 完全に騙された!! もういっその事お前らがバカにした『商人』で天下取ってやんよ!! 金の力を思い知れ!!」 一度完結させて頂きましたが、勝手ながら2章を始めさせていただきました 毎日更新は難しく、最長一週間に一回の更新頻度になると思います また、1章でも試みた、読者参加型の物語としたいと思っています 具体的にはあとがき等で都度告知を行いますので奮ってご参加いただけたらと思います イベントの有無によらず、ゲーム内(物語内)のシステムなどにご指摘を頂けましたら、運営チームの判断により緊急メンテナンスを実施させていただくことも考えています 皆様が楽しんで頂けるゲーム作りに邁進していきますので、変わらぬご愛顧をよろしくお願いしますm(*_ _)m 吉日 運営チーム 大変申し訳ありませんが、諸事情により、キリが一応いいということでここで再度完結にさせていただきます。

キメラスキルオンライン 【設定集】

百々 五十六
SF
キメラスキルオンラインの設定や、構想などを保存しておくための設定集。 設定を考えたなら、それを保存しておく必要がある。 ここはそういう場だ。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...