すべてを風のせいにして 〜タイムループバタフライ〜

クリヤ

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(17)誰にだって不満はあるけど

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 「それでも、なんとか頑張って就職もしたし結婚もした」
 「うん。優しいかただよね?」
 「そう。そうよ! だけど、お互い恋じゃない!」
 「え? どういう意味?」
 「年齢的に必要だから、見合い結婚をして子どもを生んだの」
 「好きじゃないってこと?」
 「好きよ。人としてはね。でも恋じゃない」
 「う、ん。でも家族として好きなら、それでも」
 「そうよ! そう思えてた! あなたたちを見るまでは!」
 「え? あたしたちって?」

 「ケイタくんは、わたしの中学までの同級生で初恋の人」
 「ええっ? 聞いたことないんだけど?」
 「結婚するまで、ずっと引きずっていた好きな人だった」

 まぢか! 高校は別だったし、中学の話なんてしないからなぁ。
 初恋の人ぉ? ケイタのやつ、全然気づいてなくね?

 「そう、気づいてないのね。ケイタくんも」
 「いや、それは分からないけど……」
 「あなたたちは、ぬるく大学にいって恋愛結婚をして」
 「……うん」
 「子どもだってのびのび育てたみたい」
 「ああ……」
 「ケイタくんは、家事もする対等な関係でしょ」
 「そう、だね」
 「うちは違う。家事はわたしが全部やってるの」
 「そう……」
 「夫の実家からは、そんなに気に入られていない」
 「……」
 「それなのに、今度は、わたしから息子を奪おうとしてる」
 「え? そんなことは」
 「そうなのよ! あなたたちの家にいった日からずっと」
 「ずっと?」
 「理想の夫婦だって、褒めたたえているわ」
 「それも、知らなかったけど……」
 「知らなきゃ許されるって言うの?」
 「いや、う~ん」

 ああ、カンちゃん、大暴走だなぁ。
 どうすれば、この怒りを鎮められるんだろ?
 さっきから頭の中で、ぐるぐるそんなことを考えてる。

 「子どもはね、宝物みたいに育てたわ」
 「うん」
 「勉強も運動もしたいことをさせてね」
 「いいじゃない」
 「わたしみたいにならないように」
 「うん……」
 「いい学校にも入って、恋愛結婚もするって」
 「カンちゃんの努力が実ってるね」
 「でもね! 連れてきた子は、あなたたちの娘だった」
 「ああ、そういう……」

 そっか。
 シュンスケからの情報と合わせると少しずつ意味が分かってきた。
 カンちゃんは、人生に不満があるみたい。
 はたから見れば、そんなことないけど。

 だから、子どもには手間をかけたんだね。
 それなのに、その子はあたしの子と結婚するっていう。
 カンちゃんいわく、ぬるい人生のあたしの子と。
 それがムカつくってことかぁ!

 そういえば、シュンスケってケイタの若い頃にそっくり。
 それで、あたしたちは出会ったんだから。

 それで、あたしに似てるとこあったら……。
 きっとムカつくんだろうな~。
 どうしよう?

 「バカにするってのは?」
 「わたしは、血のにじむような努力で大学にいったのに」
 「そうだったね」
 「結局、就職が無くてUターンでしょ」
 「それは、カンちゃんのせいじゃ……」
 「いく意味なかったじゃん、って笑われてる」
 「え? 誰に?」
 「地元の人、みんなによ!」

 それは、さすがに被害妄想が過ぎない?
 みんなって!
 そこまで気にしてないよ、って言ったら。
 もっと怒るんだろうしなぁ。

 「で、でも、カンちゃん! 子どもたちが結婚したらさ」
 「何よ?」
 「あたしたち、親戚になるし」
 「だから?」
 「もう一回、友だちをやり直しちゃダメかなぁ?」
 「……えっ? そんなこと、あり得る?」
 「全然ありでしょ! なんで無しなの?」
 「不満とか言っちゃったし」
 「別に大丈夫だよ」
 「ケイタくんのことも打ち明けちゃったから」
 「それもオッケー! 元カレってわけじゃないんでしょ?」
 「そうだけど……」
 「あたしだって、初恋の人くらいいるしさ」
 「そう……か。そういうこともありかぁ」
 「うんうん。ありあり! そうしよう!」

 ふぅ~! どうにか怒りの嵐は収まったかな?
 良かった……。
 これで、リコも結婚できるし、シュンスケにも会えそう。
 きっと、もうシュンスケに意地悪もしないよね?

 「まずは、みんなでご飯食べよっ!」
 「そうね。リコさんにも謝らなくちゃ」
 「大丈夫だよ、きっと気にしない」
 「だといいけど」

 このあとは、順調にいった。
 リコは結婚して、シュンスケが生まれた。
 よっしゃ、消化試合みたいな人生!
 今度は最後まで楽しみ尽くすぞ!


 「ママ、大変! 今すぐきて!」
 「え? どうしたの!」
 「シュンスケが、シュンスケがおかしいの!」

 嘘でしょ?
 どうして? あたし、うまくやってたじゃない!
 どこに間違いがあるの?

 ああ! またシュンスケのこの顔を見るなんて……。
 ループさせてるのは、誰なの?
 どうして?
 もう、や……め……。
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