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終章
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最近人前で泣いてばかりだ。
今までは歯を食いしばって我慢していたのに。
泣いたら「泣くんじゃない」とか「ぶりっ子うざい」と言われて、自分の負の感情を押し殺すのが当然だと思っていた。
あの人に出会ってから、溜まっていたものが洪水のように溢れ出す。
鏡で自分の姿を見て情けないなとか、いい年して泣いてる弱い自分が憎い。
顔や見た目だけで声をかけてくる人が多い中、あの人は内面を見てくれた。
話を聞いてくれる人がいた。
初めて一緒にいたい異性が見つかった。
この人とならずっと一緒にいても安心できる気がする。
瑠実菜は顔をしっかり洗って、佑樹がいるベッドへ向かう。
「ごめんなさい……情けない所を見せてしまって……」
項垂れる瑠実菜に「なんで? 全然気にしてないよ」と返す佑樹。
実際そうだ。気にするもなにも、自然な感情だと思う。
「良かったです。怒られるかと思いました」
いやそんなのでいちいち怒ってた人があれなんだ。理不尽な思いをしたのだろう。
「じゃぁー、こうしちゃおうかなー」
瑠実菜は佑樹の膝にまたがって抱きつく。
「……え、あっー、る、瑠実菜さーん?!」
胸の圧がすごい、苦しい。そりゃ目に行く谷間。
パジャマ代わりに着ている赤レースのベビードールが色っぽさを引き立つ。
さっきまで子供のように泣いていたのに、妖艶な女性に成長した。
「あー、私の胸の谷間見ましたねー? 困ったさんですねー」
瑠実菜は祐樹の顔をじっと見つめる。そして唇に優しくなでるような口づけをした。
このゾワゾワとした、なんとも言えない感覚。
「ふふふー、もう逃げられないですよー。続きは、こ・れ・か・ら。後で私のお願い聞いてもらいますよ」
いたずらっぽく笑う姿に刺さる。
見た目が幼い一方で、どこか小悪魔のような、色情がある――ギャップがたまらない。
何かと琉実菜に主導権握られてるような……。
「降参です。逃げられないや」
佑樹もお返しにと言わんばかりに瑠実菜を強く抱き返して口づけをする。
ベビードールから通る体温により熱が伝わる。
息が荒くなる。ロングヘアからにじみ出る甘い匂い。
この子が愛おしい。大事にしたい。離したくない。
あんなどこぞの胡散臭いマッチングアプリ会社のトップがやるような事に、彼女をもう遭わせたくない。渡さない。
ということで、琉実菜さんは俺が大事に致しますので、ご心配無用ですよ。
「なんだか、熱くなりました。胸も少し見えてる……一体誰の仕業でしょう?」
ベビードールの紐が片方脱げていた。
瑠実菜の顔は全体的に火照ってる上、目が潤んでいる。
「さぁ? 誰でしょう?」
お互い顔を見合わせて笑う。
「占部浩平にこんな姿見られたら、ガチで慰謝料請求してきそう……」
この間のよろず屋ななつ星に乗り込んできた時のように、訳分からん理論でお金や警察が云々と言ってきそうだ。
言い方が穏やかなんだけどなんというか、棘があるというか……占部瀬里香は分かりやすい高飛車で気が強そうな感じだった。あの人苦手だ。天敵だ。
絶対、クラスのスクールカースト上位だっただろ。
「そんなことないですよ。私たちは本物の恋人同士じゃないですか」
「そうだね。もう、とやかく言われる筋合いなんてない。ただ……琉実菜さん素敵な女性だからちょっかいかけてくる人がいるんじゃないかってちょっと心配だなー」
なんたって、よろず屋ななつ星の所長の大屋を始め、上司や同僚が二人の行く末を密かに応援してるのだから。
当分琉実菜との関係は他言無用でいることをよろず屋ななつ星のスタッフにはお願いしている。
それに友人や同級生に一切言わないつもりでいる。
絶対狙う輩がいそうだから。
「まぁ嬉しい! 大丈夫ですよ。私は祐樹さんを裏切らないし、何かあったらちゃんと相談しますからー」
「で、琉実菜さんのお願いって何?」
「それはね……」
琉実菜は祐樹の耳元でひそひそ話をする。
「それが本当になればいいのに……でもちょっと気が早いかな?」
まだ見ぬ先の話だけど。でも、彼女の今後を考えたらそれがいいかもしれない。
いや、そうであってほしい。
愛おしい彼女を一生大事にすると心に誓う。
だから彼女を裏切るような真似は絶対しないし、泣かせるようなことをしたくない。
出会い方がどうであれ、終わり良ければ全て良し!
――祐樹さんの奥さんになりたいの。
優しく耳元で囁かれた言葉は、半年後にその通りになったとさ。
今までは歯を食いしばって我慢していたのに。
泣いたら「泣くんじゃない」とか「ぶりっ子うざい」と言われて、自分の負の感情を押し殺すのが当然だと思っていた。
あの人に出会ってから、溜まっていたものが洪水のように溢れ出す。
鏡で自分の姿を見て情けないなとか、いい年して泣いてる弱い自分が憎い。
顔や見た目だけで声をかけてくる人が多い中、あの人は内面を見てくれた。
話を聞いてくれる人がいた。
初めて一緒にいたい異性が見つかった。
この人とならずっと一緒にいても安心できる気がする。
瑠実菜は顔をしっかり洗って、佑樹がいるベッドへ向かう。
「ごめんなさい……情けない所を見せてしまって……」
項垂れる瑠実菜に「なんで? 全然気にしてないよ」と返す佑樹。
実際そうだ。気にするもなにも、自然な感情だと思う。
「良かったです。怒られるかと思いました」
いやそんなのでいちいち怒ってた人があれなんだ。理不尽な思いをしたのだろう。
「じゃぁー、こうしちゃおうかなー」
瑠実菜は佑樹の膝にまたがって抱きつく。
「……え、あっー、る、瑠実菜さーん?!」
胸の圧がすごい、苦しい。そりゃ目に行く谷間。
パジャマ代わりに着ている赤レースのベビードールが色っぽさを引き立つ。
さっきまで子供のように泣いていたのに、妖艶な女性に成長した。
「あー、私の胸の谷間見ましたねー? 困ったさんですねー」
瑠実菜は祐樹の顔をじっと見つめる。そして唇に優しくなでるような口づけをした。
このゾワゾワとした、なんとも言えない感覚。
「ふふふー、もう逃げられないですよー。続きは、こ・れ・か・ら。後で私のお願い聞いてもらいますよ」
いたずらっぽく笑う姿に刺さる。
見た目が幼い一方で、どこか小悪魔のような、色情がある――ギャップがたまらない。
何かと琉実菜に主導権握られてるような……。
「降参です。逃げられないや」
佑樹もお返しにと言わんばかりに瑠実菜を強く抱き返して口づけをする。
ベビードールから通る体温により熱が伝わる。
息が荒くなる。ロングヘアからにじみ出る甘い匂い。
この子が愛おしい。大事にしたい。離したくない。
あんなどこぞの胡散臭いマッチングアプリ会社のトップがやるような事に、彼女をもう遭わせたくない。渡さない。
ということで、琉実菜さんは俺が大事に致しますので、ご心配無用ですよ。
「なんだか、熱くなりました。胸も少し見えてる……一体誰の仕業でしょう?」
ベビードールの紐が片方脱げていた。
瑠実菜の顔は全体的に火照ってる上、目が潤んでいる。
「さぁ? 誰でしょう?」
お互い顔を見合わせて笑う。
「占部浩平にこんな姿見られたら、ガチで慰謝料請求してきそう……」
この間のよろず屋ななつ星に乗り込んできた時のように、訳分からん理論でお金や警察が云々と言ってきそうだ。
言い方が穏やかなんだけどなんというか、棘があるというか……占部瀬里香は分かりやすい高飛車で気が強そうな感じだった。あの人苦手だ。天敵だ。
絶対、クラスのスクールカースト上位だっただろ。
「そんなことないですよ。私たちは本物の恋人同士じゃないですか」
「そうだね。もう、とやかく言われる筋合いなんてない。ただ……琉実菜さん素敵な女性だからちょっかいかけてくる人がいるんじゃないかってちょっと心配だなー」
なんたって、よろず屋ななつ星の所長の大屋を始め、上司や同僚が二人の行く末を密かに応援してるのだから。
当分琉実菜との関係は他言無用でいることをよろず屋ななつ星のスタッフにはお願いしている。
それに友人や同級生に一切言わないつもりでいる。
絶対狙う輩がいそうだから。
「まぁ嬉しい! 大丈夫ですよ。私は祐樹さんを裏切らないし、何かあったらちゃんと相談しますからー」
「で、琉実菜さんのお願いって何?」
「それはね……」
琉実菜は祐樹の耳元でひそひそ話をする。
「それが本当になればいいのに……でもちょっと気が早いかな?」
まだ見ぬ先の話だけど。でも、彼女の今後を考えたらそれがいいかもしれない。
いや、そうであってほしい。
愛おしい彼女を一生大事にすると心に誓う。
だから彼女を裏切るような真似は絶対しないし、泣かせるようなことをしたくない。
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