復讐のナイトメア

はれのいち

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第三 覚醒

3-5

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しばらくぶりに学校へ登校する真山は、一人で何とか歩ける程にようやく回復した。
 
「瞬……あんまり無理しないでね」
「あぁ……わかってる」
真山は、無理は禁物と医者に耳にタコができる程に言われている。

「あっそうだ。これ……茉子この間、欲しいと言っていたペンダント」

「えっ! ありがとう。すごく嬉しい」

「誕生日に渡そうと思ったけど……それまで待てなかった。茉子の喜ぶ顔、早く見たくてな」
「本当にありがとう。瞬大好き……」

と茉子とのラブラブな登校も束の間……学校の門に立っているのは……担任の影田であった。

――久々の登校だが……門に居るのは担任の影田じゃねえか、ツイてねえなぁ……。
 
真山は、下を向き担任と目を合わせないように通り過ぎようとしたが、影田は目を光らせ真山に話しかけてきた。

「おう! 真山もう大丈夫なのか。このまま休んで留年でもよかったのにな……」

――相変わらず……いつも一言が多い奴だ。

真山は担任と目線を合わせず、その場を通り過ぎる。

学校へ来るたび、真山はいつも思う。

この学校はクズばかりだと……。

生徒玄関に入るといつも数人が悪戯で隠された上靴をさがしている。

玄関を出て教室に向かう途中に地下の機械室に降りる階段がある。

その階段の踊り場でいつも誰かがイジメを受けている。

教室へ入ると一人をターゲットにしてイジメをしている。それを見ないふりをしているクラスメイト……本当にクズばかりだ。

担任からして生徒をイジメの対象にするような言動を平気でしやがる。
全くもって学校ここは大人も子供もクズばかりだ。

教室へ着いた真山は、弱っている事をさとられないように今日、一日は大人しくしていたのだが……担任が、授業を終え帰り際に余計な一言をいったのであった。

「皆んな! 真山を出来るだけサポートしてやってくれ、何しろ真山は重病で歩くのも精一杯みたいらしいからな……」

そう告げニヤついた表情を見せながら担任の影田は教室から出て行った。

ーーやはり相変わらず一言が多いぜ……クズ影田。

真山は何かを察知したのか透かさず、浜家と下校しようと立ち上がろうとしたのだが……その時であった。

弱った真山に加藤華鈴と竜也等がニヤついた顔をして近づいてきたのである。

「歩くのも辛いみたいだな! 真山君……」

弱った獲物にたかるように次々とハイエナみたいに集まってきたのである。
 
――早速仕返しか、この間抜けなクズ共が……。

「お前ら茉子かのじょに手を出したら……

「うるせぇ……随分と顔色が悪いじゃねえか……

――竜也と金魚の糞共……以前俺にシメられた時の仕返しか。

「おっ悪い……足が滑った」

竜也が、真山の椅子を蹴飛ばす。

床に転倒する真山に心配して駆け寄る浜家。

「やめて下さい。彼は病人何です。やるなら私にして下さい」

「じゃあ……ご要望通りにしてやるよ」

加藤が浜家の頭にゴミ箱を被せ……腹を抱えあざ笑う。

「てめえ等……いい加減にしろ」

真山は立ち上がり加藤の頬に張り手を食らわした。

しかし……「何じゃそれが張り手か!」加藤が真山に渾身の張り手をお見舞いした。

一回転してぶっ飛ぶ真山。

――くそったれ身体に力が入らねえ……。

真山は拳を握りしめ自分の力の無さを知る。

次第に意識が遠のいていく真山……浜家のすすり泣く声が段々と薄れていくのであった。

竜也等がうずくまる真山にここぞとばかりに蹴りを入れる。

真山は完全に気を失ったのであった。

――俺は、また生霊になったのか……。
 
いつの間にかに真山は幽体離脱をしていたのであった。

――ここは……以前の古びた集合住宅じゃねえか。

何とそこには生霊の真山が、居たのであった。恐る恐る幽体の真山が生霊に近づいていくと……まるで掃除機の様に幽体に生霊が吸い込まれる。

――お……少し力が湧いてきた感が……。

それから真山は覚えている限り自分の生霊が居そうな場所を巡ったのであった。

――これで生霊の俺、五人目……これだけでいれば十二分じゅうにぶんだ。

その頃、教室では……床にうずくまる真山を身を挺して必死にかばう浜家の姿があった。

「浜家……そこを退け!」

加藤が浜家に蹴りを入れるが、それでも、必死に真山をかばう。

「んっ……? 何だ浜家、良いモンしているな」

加藤が、浜家のしているペンダントをみつけたのであった。

それを無理矢理に奪おうとする加藤。

「やめて……これだけは」

必死に抵抗する浜家に加藤は……「そんじゃあ……ペンダント以外ならいいんだな……」と何かを思いついたのか、嫌らしい笑みを浮かべ言い放った。

「じゃあ……ペンダント以外くれるんだな!」

加藤は、手下共にペンダント以外全て剥ぎ取れと命令をした。 

泣きながら抵抗する浜家に聞こえたのであった……彼の声が……。

「お前ら……俺の言った事、覚えてるか……茉子かのじょに手を出したらと……」
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