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第二章
四話
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ベルはロセウスの背へ、ラヴィックとトトーはアーテル、エリオットとコーディリアはアルブスの背へそれぞれ乗った。アーテルとアルブスは、いつもと違って二人ずつ背に乗せているので大丈夫かと心配をして一瞥したものの、その心配は杞憂に終わる。軽やかな足取りでいつもと変わらず、ロセウスの少し後ろを走っていた。
すでにラヴィックたちが、ナツゥーレにあるベルの家へ訪ねに来ていたことが噂で広まっていたのだろう。家から王城まで向かう道中、少しでも顔を見ようと大勢の人たちが集まっていた。さすがに足早で駆けていくのは気が引けるので、先頭を走るロセウスに少しだけ速度を落としてもらう。
ベルが集まった人たちへ手を振るように、ラヴィックたちも慣れた様子で手を振っていた。歓声はベルが目覚めた時と同じかそれ以上だった。それもそうだろう。基本的に輝人が三人も集まることは滅多にないのだから。それに他国へ行かなければ、自国の輝人以外見かけることもそうはない。
ベルが眠っている間にエヴィックたちが何度か顔を見せに来たとは言うが、それはお忍びでの話。眠っている姿を見て、すぐに帰って行ったという。だから街の人は誰も来たことに気づいたものはいなかったらしい。
街を抜ければ、王都へ向かう道中は家が建っていないため、ベルたちを見ようとやってくる人たちはさすがにいなかった。走る速度を上げ、話しやすいようアーテルとアルブスに横に並んでもらい、今後のことを話した。
「実はさ、皆にお願いがあって」
「お願い? どんなことだ?」
話を促すエリオットに頷き、建国祭に参加してもらえないかとお願いをした。
「ああ、そういえば、ナツゥーレの建国祭はちょうどこの時期だったな」
「そうなの。四日後から三日間王都で行われるんだけど、そこでちょっとした盛り上げ役を皆でしたいと思っててさ。最初は二人が訪ねてくるってなった時、パーティや別で祭りをってなったんだけど、ちょっと大げさな事は嫌かなって。でも歓迎しないのも、国としては引き下がれないでしょう? だから建国祭に出ることで、歓迎されましたよーアピールをしようかと思って……どうかな?」
ちょうど開催される建国祭に出てしまえば、エドアルドも大した準備をしなくてもいいし、ベルたちも気構えなくて済む。人前に出るとしてもベルが考えていたような演出や、夜の食事くらいだろう。
とはいえ、エリオットたちの誰かが嫌だと言えば、無理に押しつけるわけにはいかない。勝手に参加表明をした手前断りにくいが、嫌だと言うのであれば断る気ではある。
「私は構わないぞ」
「俺も大丈夫だぜ。かたっ苦しい事より、そっちの方が楽しそうだしな」
案の定、ベルの考えていた通りの返事が返ってきてほっと胸を撫で下ろす。
「トトーとコーディリアも大丈夫?」
「うん、僕も賛成。その方が何かと都合はいいだろうしね」
「私も問題ないわ。むしろ皆で盛り上げるというのは今までやったことがないから、少しワクワクするわね。それでこういうのがしたいっていう案はありますの?」
それぞれの反応は思っていたよりもよく、自身の考えを四人へ話した。
建国祭で行う演出に、道中かなり盛り上がり、いつの間にか王都へとついていた。初めて王都へ来たときと同じく、検問所を並ばずフリーパス状態で中へと通される。街よりもさらに多くの人で賑わっていたため、ベルたちが揃ってやってきたことが広まると、あっという間に人が押し寄せてきた。街でしたように、笑顔で手を振りながら王城まで向かう。王城への入城も検問所と同じくフリーパス状態で通された。
ロセウス、アーテル、アルブスの三匹には人化をしてもらい、合計八人という大所帯で国王の元へ向かった。
案内をしてくれる男性は、初めてベルが王城へ足を運んだ時と同じ男性だった。しかし今回は輝人が三人、そしてその召喚獣が五人もいるとあってか、その背中からは緊張感が漂っていた。それでも決して顔には出さないところは、さすがとしか言いようがない。もしベルが男性の立場だとしたら、緊張で手足を震えさせ、ロボットのような歩き方をしていたであろう。
「どうぞ、こちらへお入りください」
通された部屋はいつもとは違う、さらに拾い部屋だった。
人数も人数だからなのだろう。
部屋の中は、華美ではあるが下品ではない調度品が幾つも飾られていて、来客者と歓談するために、ソファが設置されていた。予めベルが訪ねると言っていたからなのだろう。
ベルたちに合わせて、座り心地の良さそうな二人掛けのソファを手前に一つ、そして机を挟むようにして二つ設置されていた。おそらく奥側がベルたち用なのだろう。ロセウスたちの席が用意されていないのは、いつもロセウスたちがベルの背後へ立っているからだ。もしロセウスたちの分も用意してほしいと口にすればすぐに設置されることだろう。
「お待ちしておりました、ベル様。エヴィック様、エリオット様方も、ご足労を感謝致します」
ドアのすぐ近くに立って待っていたエドアルドが頭を下げる。隣に立っていたラシードも同じように深く頭を下げた。
すでにラヴィックたちが、ナツゥーレにあるベルの家へ訪ねに来ていたことが噂で広まっていたのだろう。家から王城まで向かう道中、少しでも顔を見ようと大勢の人たちが集まっていた。さすがに足早で駆けていくのは気が引けるので、先頭を走るロセウスに少しだけ速度を落としてもらう。
ベルが集まった人たちへ手を振るように、ラヴィックたちも慣れた様子で手を振っていた。歓声はベルが目覚めた時と同じかそれ以上だった。それもそうだろう。基本的に輝人が三人も集まることは滅多にないのだから。それに他国へ行かなければ、自国の輝人以外見かけることもそうはない。
ベルが眠っている間にエヴィックたちが何度か顔を見せに来たとは言うが、それはお忍びでの話。眠っている姿を見て、すぐに帰って行ったという。だから街の人は誰も来たことに気づいたものはいなかったらしい。
街を抜ければ、王都へ向かう道中は家が建っていないため、ベルたちを見ようとやってくる人たちはさすがにいなかった。走る速度を上げ、話しやすいようアーテルとアルブスに横に並んでもらい、今後のことを話した。
「実はさ、皆にお願いがあって」
「お願い? どんなことだ?」
話を促すエリオットに頷き、建国祭に参加してもらえないかとお願いをした。
「ああ、そういえば、ナツゥーレの建国祭はちょうどこの時期だったな」
「そうなの。四日後から三日間王都で行われるんだけど、そこでちょっとした盛り上げ役を皆でしたいと思っててさ。最初は二人が訪ねてくるってなった時、パーティや別で祭りをってなったんだけど、ちょっと大げさな事は嫌かなって。でも歓迎しないのも、国としては引き下がれないでしょう? だから建国祭に出ることで、歓迎されましたよーアピールをしようかと思って……どうかな?」
ちょうど開催される建国祭に出てしまえば、エドアルドも大した準備をしなくてもいいし、ベルたちも気構えなくて済む。人前に出るとしてもベルが考えていたような演出や、夜の食事くらいだろう。
とはいえ、エリオットたちの誰かが嫌だと言えば、無理に押しつけるわけにはいかない。勝手に参加表明をした手前断りにくいが、嫌だと言うのであれば断る気ではある。
「私は構わないぞ」
「俺も大丈夫だぜ。かたっ苦しい事より、そっちの方が楽しそうだしな」
案の定、ベルの考えていた通りの返事が返ってきてほっと胸を撫で下ろす。
「トトーとコーディリアも大丈夫?」
「うん、僕も賛成。その方が何かと都合はいいだろうしね」
「私も問題ないわ。むしろ皆で盛り上げるというのは今までやったことがないから、少しワクワクするわね。それでこういうのがしたいっていう案はありますの?」
それぞれの反応は思っていたよりもよく、自身の考えを四人へ話した。
建国祭で行う演出に、道中かなり盛り上がり、いつの間にか王都へとついていた。初めて王都へ来たときと同じく、検問所を並ばずフリーパス状態で中へと通される。街よりもさらに多くの人で賑わっていたため、ベルたちが揃ってやってきたことが広まると、あっという間に人が押し寄せてきた。街でしたように、笑顔で手を振りながら王城まで向かう。王城への入城も検問所と同じくフリーパス状態で通された。
ロセウス、アーテル、アルブスの三匹には人化をしてもらい、合計八人という大所帯で国王の元へ向かった。
案内をしてくれる男性は、初めてベルが王城へ足を運んだ時と同じ男性だった。しかし今回は輝人が三人、そしてその召喚獣が五人もいるとあってか、その背中からは緊張感が漂っていた。それでも決して顔には出さないところは、さすがとしか言いようがない。もしベルが男性の立場だとしたら、緊張で手足を震えさせ、ロボットのような歩き方をしていたであろう。
「どうぞ、こちらへお入りください」
通された部屋はいつもとは違う、さらに拾い部屋だった。
人数も人数だからなのだろう。
部屋の中は、華美ではあるが下品ではない調度品が幾つも飾られていて、来客者と歓談するために、ソファが設置されていた。予めベルが訪ねると言っていたからなのだろう。
ベルたちに合わせて、座り心地の良さそうな二人掛けのソファを手前に一つ、そして机を挟むようにして二つ設置されていた。おそらく奥側がベルたち用なのだろう。ロセウスたちの席が用意されていないのは、いつもロセウスたちがベルの背後へ立っているからだ。もしロセウスたちの分も用意してほしいと口にすればすぐに設置されることだろう。
「お待ちしておりました、ベル様。エヴィック様、エリオット様方も、ご足労を感謝致します」
ドアのすぐ近くに立って待っていたエドアルドが頭を下げる。隣に立っていたラシードも同じように深く頭を下げた。
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