召喚術師はじめました

鈴野あや(鈴野葉桜)

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第二章

四十話

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 全員が揃ったといっても、いきなりベルの話をするでもなく、互いの状況報告から始まる。エリオットたちは今日も王都へ足を運んでくれたようで、王都の状況を話してくれた。クライシスたちの目撃情報はなく、建国祭も無事に終了し、普段の落ち着きを取り戻しつつあるようだ。しかし次に話し始めたラヴィックたちの話に顔をしかめることになった。

「実はな、俺たちが滞在している街に、建国祭に足を運んできた他国の人たちが雪崩れ込んできているようなんだ」

「僕たちが滞在している屋敷にも直接は尋ねてこないけれど、様子は覗っているみたい。一目でも見て自国へ帰りたいようなんだよね」

「外を歩いても囲まれるし、家の中にいても監視されているみたいなんだよなあ」

「そうそう。嫌になっちゃうよね。僕たち見世物じゃないのに」

 ラヴィックとトトーはまだ街をきちんと見て回っていないからと、身体を動かしがてら街へと繰り出したらしい。だが上手いこと街を見て回ることができなかったようだ。

 街に来るのは構わないし、建国祭を楽しんだ人たちが、さらにベルたちの住む街へお金を落としてくれるのは街にとってはありがたいことだろう。しかしそれは街の許容範囲内だったらの話だ。ラヴィックやトトーがこうして口にするということは、少なからず許容範囲を超えているということ。だとすれば早急に対応が必要となるだろう。

「あれ? でも……」

 今日昼間に家の前の庭でゆっくりしていた時は、誰の気配も感じなかった。王家の屋敷に滞在しているエリオットやラヴィックたちの居場所がすでにばれているのなら、ベルの居場所がばれていてもおかしくはない。むしろ自国の輝人なのだから、真っ先に来てもいいはずだ。

(え、もしかして、私そんなに他国では影薄いのかな? 自国の輝人だからこそ、あそこまで歓迎してくれていたのかな?)

 一抹の不安を感じつつ首を傾げていると、ロセウスが苦笑しながらネタ晴らしをしてくれた。

「私たちの家にもたくさん押しかけていたよ。ただ、私の結界で音も姿も全て遮断してしまっていたけれどね。もちろん私たちの姿も向こうからは見えないようにしてあったから、安心していい」

「道理で……」

 優秀すぎる召喚獣が、ベルがくつろげるようにすでに対策済みだったようだ。色々な意味で安堵する。

「でもこのままだと街に迷惑かけちゃうから、それなりの対策は必要だよね」

「そうだな」

 街に迷惑をかけるのは、住む者としてあまり良くないし、ラヴィックたちもベルのためにまだ滞在してくれているのに、嫌な気分で滞在してほしくない。どうしようかと頭を悩ませていると、ベルの意見に同意を示してくれたアーテルが、一つの意見をくれた。

「だったらさ、お嬢。こうしたらどうだ?」

 アーテルがくれた案はまさに目から鱗なものだった。本当にそんな事が効くのかと半信半疑ではあったが、この場にいる半数以上の輝人と召喚獣が大丈夫だろうと頷いたのだから、効くと信じたい。

 実行は早ければ早い方がいいので、そのために必要な打ち合わせを軽くしたあと、次は自分の番だと思い、昨日話すって言ってたことなんだけど、と前置きをしてロセウスたちにした話を皆にも伝えた。ベルの左右に座っていたアーテルとロセウスは、それぞれベルの手を握ってくれ、席が少しだけ離れているアルブスも、ベルの味方と言わんばかりに視線が合うなり力強く頷いてくれた。

 皆の反応は様々だったが、共通していたのはベルのことを心配してくれたことだった。信じがたい話ではあるが、昨日のベルの様子が明らかにおかしかったことや、話の内容に矛盾がないこと、そして執拗にベルを憎むクライシスの行動を踏まえた上で判断したようだ。

「辛かったねぇ、ベル」

「ベル、もっと私たちを信じなさいな。ここにいる皆、貴女の味方なのだから」

「そうだよー。仲間でしょー?」

 女性陣の三人がベルに近寄ってきて、抱きしめてくれた。どうやら話してどう思われるかと不安に思って、今日に先延ばししたことを指摘しているようだ。

「ごめん」

「分かればいいのよ」

「そうそうー」

 最初はゲームの中だけだった信頼関係。それが今となっては現実での信頼関係となった。ゲームの時もゲームのキャラクターだからと雑に扱っていたわけではない。どちらかと言えば、生身の友人と同じように接してきた。それでもゲームの時よりも、もっと皆のことを知って今まで以上の信頼関係を築いていきたいと思った。
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