107 / 136
第二章
四十五話
しおりを挟む
幾数もの光の矢が降ってくるにも関わらず、怖さは全くと言っていいほど感じなかった。それはベルがロセウスたちのことを心から信じているからなのだろう。そしてベルの言葉を信じて従ってくれるロセウスたちも然りだ。召喚獣と召喚術師。この関係は信頼関係無しでは成り立たない。
信頼してくれているロセウスたちのために役立つためにも、にもまずは情報を集めることが優先事項となる。
エリオットとラヴィックの相手をしているロセウスとアーテルは、かなり余裕そうに見える。対してエリオットとラヴィックは辛そうな表情をしていた。
「まあそうでしょうね」
エリオットとラヴィックの本職は、剣士ではなく召喚術師だ。剣の鍛錬を積んで多少覚えがあるとしても、ロセウスとアーテルは戦闘系の召喚獣。運動神経は人間を遥かに上回っており、強力な魔法も駆使することができる。しかも魔法の源である魔力は龍脈のおかげで無尽蔵ときた。ベルだったら敵に回したくない相手だ。
現にロセウスは攻撃を避けながら炎を操り、温度を上昇させることで二人の体力をじりじりと奪っており、アーテルに至っては手の平サイズの水球を幾つも作って、二人が剣を振ろうとする度に水球で目つぶしをしたり、肘や足に当てて剣の気道をずらしたりしていた。完璧に余裕な証拠だ。
「いや、うん……まあ本気で魔法で攻撃したら怪我じゃすまなくなるから、セスとアーテの行動も分からなくもないけど。、あれやられたら、逆に腹立つよね」
ベルの想像通り、ラヴィックが口を大きく開けて何か文句を言っている姿が見受けられた。
「セス、アーテ一人で大丈夫みたいだから、トトーの方に向かってくれる? ずっと歌っているから、何かしてきそうで……っ、一歩遅かった!!」
ロセウスにトトーの口を封じてもらおうとした瞬間、結界がパリンと割れる音が聞えた。
「残念。僕の攻撃は精神へが主だけど、魔法へも可能なんだよね。ま、難点は時間がとてもかかるってことなんだけど。ラヴィとエリオットが囮になってくれて助かったよ」
元より、エリオットとラヴィックはロセウスとアーテルに勝つつもりはなかったようだ。しかしそんなことなんてどうでもいい。
ベルは慌てた表情をにっこりと笑顔へ変えた。
「……なんて言うと思った? 元より計算済みだよ。ね、セス」
「ああ、もちろん」
「結界の一つは壊れたけど、私たちにかけられてる結界はまだもう一つある。それをさっきと同じような結界にすれば……ね?」
ベルの体には戦闘開始直後ロセウスによって、物理と魔法を防ぐ強力な結界がかけられている。しかしそれはベルだけではない。ベルにかけられている程ではないにせよ、ロセウス本人やアーテル、アルブスにも攻撃の邪魔をしない程度の結界がかけられていた。結界がすでにかけられているのなら、それに効果を追加することはロセウスにとって訳がないのだ。
トトーが何か仕掛けてくるとは、歌っている時点で察していた。だから敢えて何をするのか分かるまで待っていたのだ。ロセウスが結界に効果を追加する前にと、慌てて歌うがもう遅い。トトーの声はすでにロセウスの結界によって塞がれてしまった。
(ま、セスは一から結界を張るも、効果を追加するのも同じくらいの速さできるんだけど、これは言わない方がいいよね)
せっかくロセウスの結界を壊したのに、それが瞬時に治ると知ればトトーの心に傷を作ってしまう気がした。おそらくロセウスが一から結界を作る姿を、トトーたちは見たことがない。今回結界を張った時だって、コーディリアの光の魔法で見えていなかったはずだ。だからこそベルが注文して張った結界が、瞬時に張られるとは誰も思わなかったのだろう。
大きく口を開けるトトーの元へロセウスと二人歩いて行く。途中エリオットとラヴィックの横を通ったが、アーテルのおかげで攻撃されることは一度もなかった。
アルブスとコーディリアの空中戦は、召喚獣同士とあって苛烈を極めており、地上の至るところにクレーターができていたが、ベルがトトーを抱きあげた時点で、互いの攻撃が鳴りやんだ。
「私たちの勝ちだね!」
まるで勝利の旗のように、トトーの体を空へと掲げた。
信頼してくれているロセウスたちのために役立つためにも、にもまずは情報を集めることが優先事項となる。
エリオットとラヴィックの相手をしているロセウスとアーテルは、かなり余裕そうに見える。対してエリオットとラヴィックは辛そうな表情をしていた。
「まあそうでしょうね」
エリオットとラヴィックの本職は、剣士ではなく召喚術師だ。剣の鍛錬を積んで多少覚えがあるとしても、ロセウスとアーテルは戦闘系の召喚獣。運動神経は人間を遥かに上回っており、強力な魔法も駆使することができる。しかも魔法の源である魔力は龍脈のおかげで無尽蔵ときた。ベルだったら敵に回したくない相手だ。
現にロセウスは攻撃を避けながら炎を操り、温度を上昇させることで二人の体力をじりじりと奪っており、アーテルに至っては手の平サイズの水球を幾つも作って、二人が剣を振ろうとする度に水球で目つぶしをしたり、肘や足に当てて剣の気道をずらしたりしていた。完璧に余裕な証拠だ。
「いや、うん……まあ本気で魔法で攻撃したら怪我じゃすまなくなるから、セスとアーテの行動も分からなくもないけど。、あれやられたら、逆に腹立つよね」
ベルの想像通り、ラヴィックが口を大きく開けて何か文句を言っている姿が見受けられた。
「セス、アーテ一人で大丈夫みたいだから、トトーの方に向かってくれる? ずっと歌っているから、何かしてきそうで……っ、一歩遅かった!!」
ロセウスにトトーの口を封じてもらおうとした瞬間、結界がパリンと割れる音が聞えた。
「残念。僕の攻撃は精神へが主だけど、魔法へも可能なんだよね。ま、難点は時間がとてもかかるってことなんだけど。ラヴィとエリオットが囮になってくれて助かったよ」
元より、エリオットとラヴィックはロセウスとアーテルに勝つつもりはなかったようだ。しかしそんなことなんてどうでもいい。
ベルは慌てた表情をにっこりと笑顔へ変えた。
「……なんて言うと思った? 元より計算済みだよ。ね、セス」
「ああ、もちろん」
「結界の一つは壊れたけど、私たちにかけられてる結界はまだもう一つある。それをさっきと同じような結界にすれば……ね?」
ベルの体には戦闘開始直後ロセウスによって、物理と魔法を防ぐ強力な結界がかけられている。しかしそれはベルだけではない。ベルにかけられている程ではないにせよ、ロセウス本人やアーテル、アルブスにも攻撃の邪魔をしない程度の結界がかけられていた。結界がすでにかけられているのなら、それに効果を追加することはロセウスにとって訳がないのだ。
トトーが何か仕掛けてくるとは、歌っている時点で察していた。だから敢えて何をするのか分かるまで待っていたのだ。ロセウスが結界に効果を追加する前にと、慌てて歌うがもう遅い。トトーの声はすでにロセウスの結界によって塞がれてしまった。
(ま、セスは一から結界を張るも、効果を追加するのも同じくらいの速さできるんだけど、これは言わない方がいいよね)
せっかくロセウスの結界を壊したのに、それが瞬時に治ると知ればトトーの心に傷を作ってしまう気がした。おそらくロセウスが一から結界を作る姿を、トトーたちは見たことがない。今回結界を張った時だって、コーディリアの光の魔法で見えていなかったはずだ。だからこそベルが注文して張った結界が、瞬時に張られるとは誰も思わなかったのだろう。
大きく口を開けるトトーの元へロセウスと二人歩いて行く。途中エリオットとラヴィックの横を通ったが、アーテルのおかげで攻撃されることは一度もなかった。
アルブスとコーディリアの空中戦は、召喚獣同士とあって苛烈を極めており、地上の至るところにクレーターができていたが、ベルがトトーを抱きあげた時点で、互いの攻撃が鳴りやんだ。
「私たちの勝ちだね!」
まるで勝利の旗のように、トトーの体を空へと掲げた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界から来た華と守護する者
桜
恋愛
空襲から逃げ惑い、気がつくと屍の山がみえる荒れた荒野だった。
魔力の暴走を利用して戦地にいた美丈夫との出会いで人生変わりました。
ps:異世界の穴シリーズです。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件
こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる