召喚術師はじめました

鈴野あや(鈴野葉桜)

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第二章

五十二話

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 結果――。

 勝敗は引き分けとなった。

 四人揃って地面に座る。しかしベルだけはアルブスの誘導によって、アルブスの膝の上が定位置となってしまっていた。戦闘の後とあって疲れていたのか、羞恥がなぜかなくなっており、自然に受け入れてしまうベルがそこにいた。

「あーもう、すごい悔しい」

「それは僕たちの台詞」

「全くだぜ」

 それでも引き分けになったことが悔しくて叫べば、トトーとラヴィックに同じく悔しそうな顔でそう返されてしまった。互いに悔しいことは間違いなく、むっとした表情をすればまあまあとアルブスが頭をぽんぽんと撫でながら、宥めにかかってきた。

「アルは悔しくないの?」

「悔しいけどな。相性が悪かったのもあるし、引き分けは中々頑張った方だと思うぞ?」

 精神的に大人なのだろう。悔しいと感じつつも、それを全面的に表情へ出すことはせず、終わった戦闘について冷静に分析していた。そんなアルブスの姿を見て、まだまだ子どもだなと反省しつつも、悔しさ消えることはなかった。

「けど、アルブスの言う通り、お嬢とアルブスは善戦した方じゃないか?」

 召喚獣は総じて耳がいい。遠くからでも、ベルたちの会話がしっかりと聞こえていたのだろう。アーテルが近づきながら、ベルたちを称賛する声を投げかけてきた。その隣にいるロセウスやエリオット、そしてコーディリアも同意するように頷いていた。

「審判として引き分けという結果にしたが、私もアーテルの意見に賛成だ。だからこそ、ラヴィックとトトーもこうして悔しがっているのだろう」

 先程の勝負は、ベルが必死に龍脈から魔力を集めたものの、知らない歌魔法に最後の最後で抵抗できずに意識を失ってアルブスとともに地面へと墜落。しかし墜落のタイミングとほぼ同時にトトーとラヴィックの二人をアルブスが作った風の刃でみぞおちなどの急所を突き、二人の意識を刈り取ることに成功した。そのため互いの意識が無くなった状態となり、引き分けとなったのである。

 ちなみ余談ではあるがベルとアルブスがかなり高いところから落ちたにも関わらず無傷だったのは、ロセウスが弾力性のある結界を咄嗟に地面に張ってくれたおかげである。今はもう消えてなくなっているが、目を覚ました時は結界があったのだから間違いない。

「どれだけ相性が悪くても、引き分けになったのは悔しい!」

 ラヴィックやトトーにはベルたちにはない何百年という鍛錬をしてきた時間がある。ベルが召喚術師になったのはまだ数年前。インターネットという情報に対する強みはあったにせよ、二人が鍛錬してきた時間には及ばなかったということだ。

「アル、アーテ、セス。明日から鍛錬に付き合ってくれる? それにできたらエリオットたちも」

 もうインターネットという便利ツールに頼ることはできない。ベル自身がこつこつとレベルアップを図っていくしかないのだ。クライシスの件がなければここまで、自分のレベルアップにやる気を見せることはなかっただろう。

 やる気に満ち溢れたベルに嫌だという者はおらず、むしろ積極的に鍛錬に付き合ってくれる言葉までもらった。

「でも、今日の戦闘訓練はここまでにしておいたらどうだい?」

 ロセウスの瞳は、太陽に視線を向けていた。

 太陽はすでに傾いており、あと一、二時間もすれば陽が暮れてしまうところだった。

「そうだな。陽もそろそろ傾いてくる頃だし、今日はここまでの方が良さそうだ。ヴァイオレットとムースの報告が二十二時からあることだしな」

「そうだね。そうしよう。また後日付き合って」

 片付けも特になく、夕食も今日は街で購入した物があるようで先に断りをもらってしまった。もしかしたら最近ベルたちの家で食べていることが多いので、遠慮したのかもしれない。

 人数が増えようと作る手間はさほど変わらないのだが、もし逆の立場だとしたらベルも遠慮してしまうだろう。無理強いすることはよくないので、また夢見の中で会おうねと声をかけて、その後ろ姿に手を振った。
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