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第七話
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あれから二週間後。
ライトニングの魔法と、ルナに協力してもらいながらリハビリを行ったおかげで、普段の生活には支障がない程度まで体が回復していた。
これが人族ならば、これほどまで早く回復しなかったのだろうが、リディアリアは魔族。元々の体の造りが人族より頑丈にできているおかげで、すんなりと回復していた。
「それでも相変わらず、このちっちゃい姿は嫌になる……」
全身鏡で自身の姿をまじまじとみて、溜息をつく。十歳くらいの幼子の姿は、今となっては見慣れたが、やはりそれでも元の姿が恋しいのは変わらない。
ライトニングの協力を得て、魔核になるべく負担がかからないように、一回の魔力供給でどれくらい元に戻れるのかを調べたところ、三時間ほどが限界なのが判明した。リディアリアとしては最低でも一日一回は元の姿に戻りたかったのだが、ライトニングにドクターストップをかけられてしまい、一週間に一度という制限を設けられてしまった。魔核になるべく負担をかけない上でリディアリアの希望を叶える。これを両方叶えるとしたら、一週間に一度というのがベストだったのだろう。
戻りたい、というのはリディアリアの我儘でもあるため、強くは出られない。その制限に納得をして、日々を過ごしていた。
無論、リハビリ以外に何もせず過ごしたいたわけではない。
ディティラスの妃となったからには、目覚めたからにはやることはたくさんある。元の姿に戻れるときのみ、ディティラスの横に立って表の仕事をし、幼子の姿のときは、裏でできる仕事を少しずつこなしていた。
これはディティラスとリディアリアが話し合った結果で、わざわざ弱点ともなりえる姿を表に出す必要はない、という判断からだった。
そんなわけで、リディアリアはディティラスが部屋を訪ねてくるのを待っていた。
「リディ、待たせたな」
「ううん、無理をいっているのは私だから」
今日は一週間に一度の、元の姿へと戻れる日。だからこうして今の体にしては大きめの服を着て待ち構えていたのだ。
「《吸収》」
使い馴れた魔法を発動させ、リディアリアの身長に合わせるように膝をついているディティラスへキスを落とす。口移しで魔力をもらい、その魔力で魔核を補っていくように形を作っていく。これは前回判明したことのなのだが、何も考えずに魔核をディティラスの魔力で覆うのと、明確な意識を持って覆うのでは魔核に対する負担が違うというのがわかった。やはり制御されているか、制御されていないかの違いは大きいらしい。
魔核に負担をなるべくかけないよう、魔力を慎重に操って覆っていくと、リディアリアの体が元の姿へ戻ろうと変化していく。その際に魔核へ最低限の負担がどうしてもかかってしまうため、最近ではピキっとした小さな痛みが魔核中心に走る。そのことに眉をひそめながらも、ディティラスに気づかれないようにそっと息をついた。
「今日の予定は?」
元の姿に戻ったリディアリアを確認し、今日の予定を尋ねてきた。もちろん隠すことでもないので、正直に話す。
「今日はルナと一緒に騎士団の方に顔を見せるつもり。魔王の妃として労うことも必要でしょう? それに姿を見せるなら、今日しかできないし。書類仕事とかは午後に行うつもりだよ」
「悪いな。体調が戻ったばかりなのに、仕事をさせてしまって」
「ううん、そんなことない。私がやりたくてやっているだけだから」
リディアリアが眠っていた間、妃としての仕事を全て請け負っていたのはディティラス本人だった。自身の仕事も多いのに、プラスでリディアリアの分まで肩代わりしてくれていたのだ。本来であれば、下の者に回せるものは回すのが普通。けれどそれをしてしまえば、リディアリアの居場所がなくなってしまう。そんなことを考えていたらしい。ディティラスらしくて、その理由を聞いたときは思わず笑ってしまった。
だからディティラスの負担を減らしたくて、体調が戻るのに比例してできる仕事をわけてもらったのだが、これが案外充実したものとなっていた。
元々、ディティラスの妻になることがリディアリアの目標だったため、妃としての勉強を日々少しずつやっていたのが功をなしたといえる。もちろん眠っている間に変わってしまったことも多々あるが、そこはルナがフォローをしてくれた。
妃としての仕事は書類仕事だけでなく、魔王城で働く騎士たちを労ったり、街で暮らす魔族たちと交流を持ったりなど、様々なものがある。これに関してはどうしても元の姿が必要となってくるため、元に戻れる三時間の間にできるだけ行っていた。
幸い長いこと眠っていたこともあってか、あまり顔を出すことのないリディアリアに対して、反感の声があまり上がることはなかった。この辺りのことをディティラスに尋ねてみると、どうやら眠りにつく前にリディアリアが行った行為を知っている者が上階級に多いことが、反感の声を上げない一つの理由だということだ。あとライトニングという存在も、大きく役に立っているらしい。
しかし妃であるリディアリアが行ったことは、上階級や戦争に参加した者にしか知られていないようで、全ては魔王であるディティラスの功績となっているらしい。これには眠りについているリディアリアに、万が一にも危険が及ばないようにとの判断から来ているとのことだった。
ここ最近魔王城で働くようになった者、スノウマリーなどからは反感の声が上がっているのは、このことを知らないからなのだろう。上の決定である以上、リディアリアも敢えて自身の口からはいうことをしないと決めていた。
最もディティラスによれば、近々その功績を返還してくれるとのことだった。リディアリアが目覚めたことで、魔王の大々的な結婚式を行うことができるようになった。それに合わせて、リディアリアの功績を返還する予定を立てているとのことだ。
結婚式さえ済めば、変な嫌味攻撃なども減ることだろう。
「ディティ、いつも魔力をありがとう。じゃあ行ってくるね」
「ああ、気をつけてな。ルナ、リディアリアをよろしく頼む」
リディアリアが元の姿に戻れる時間に制限があるせいか、元の姿に戻ったときはあまりリディアリアを引き留めようとはしない。ディティラスなりの気遣いなのだろう。
ディティラスはリディアリアの額にキスを落とすと、部屋をあとにした。
「んじゃ、ルナ。私たちも行こうか」
「はい、リディアリア様」
ライトニングの魔法と、ルナに協力してもらいながらリハビリを行ったおかげで、普段の生活には支障がない程度まで体が回復していた。
これが人族ならば、これほどまで早く回復しなかったのだろうが、リディアリアは魔族。元々の体の造りが人族より頑丈にできているおかげで、すんなりと回復していた。
「それでも相変わらず、このちっちゃい姿は嫌になる……」
全身鏡で自身の姿をまじまじとみて、溜息をつく。十歳くらいの幼子の姿は、今となっては見慣れたが、やはりそれでも元の姿が恋しいのは変わらない。
ライトニングの協力を得て、魔核になるべく負担がかからないように、一回の魔力供給でどれくらい元に戻れるのかを調べたところ、三時間ほどが限界なのが判明した。リディアリアとしては最低でも一日一回は元の姿に戻りたかったのだが、ライトニングにドクターストップをかけられてしまい、一週間に一度という制限を設けられてしまった。魔核になるべく負担をかけない上でリディアリアの希望を叶える。これを両方叶えるとしたら、一週間に一度というのがベストだったのだろう。
戻りたい、というのはリディアリアの我儘でもあるため、強くは出られない。その制限に納得をして、日々を過ごしていた。
無論、リハビリ以外に何もせず過ごしたいたわけではない。
ディティラスの妃となったからには、目覚めたからにはやることはたくさんある。元の姿に戻れるときのみ、ディティラスの横に立って表の仕事をし、幼子の姿のときは、裏でできる仕事を少しずつこなしていた。
これはディティラスとリディアリアが話し合った結果で、わざわざ弱点ともなりえる姿を表に出す必要はない、という判断からだった。
そんなわけで、リディアリアはディティラスが部屋を訪ねてくるのを待っていた。
「リディ、待たせたな」
「ううん、無理をいっているのは私だから」
今日は一週間に一度の、元の姿へと戻れる日。だからこうして今の体にしては大きめの服を着て待ち構えていたのだ。
「《吸収》」
使い馴れた魔法を発動させ、リディアリアの身長に合わせるように膝をついているディティラスへキスを落とす。口移しで魔力をもらい、その魔力で魔核を補っていくように形を作っていく。これは前回判明したことのなのだが、何も考えずに魔核をディティラスの魔力で覆うのと、明確な意識を持って覆うのでは魔核に対する負担が違うというのがわかった。やはり制御されているか、制御されていないかの違いは大きいらしい。
魔核に負担をなるべくかけないよう、魔力を慎重に操って覆っていくと、リディアリアの体が元の姿へ戻ろうと変化していく。その際に魔核へ最低限の負担がどうしてもかかってしまうため、最近ではピキっとした小さな痛みが魔核中心に走る。そのことに眉をひそめながらも、ディティラスに気づかれないようにそっと息をついた。
「今日の予定は?」
元の姿に戻ったリディアリアを確認し、今日の予定を尋ねてきた。もちろん隠すことでもないので、正直に話す。
「今日はルナと一緒に騎士団の方に顔を見せるつもり。魔王の妃として労うことも必要でしょう? それに姿を見せるなら、今日しかできないし。書類仕事とかは午後に行うつもりだよ」
「悪いな。体調が戻ったばかりなのに、仕事をさせてしまって」
「ううん、そんなことない。私がやりたくてやっているだけだから」
リディアリアが眠っていた間、妃としての仕事を全て請け負っていたのはディティラス本人だった。自身の仕事も多いのに、プラスでリディアリアの分まで肩代わりしてくれていたのだ。本来であれば、下の者に回せるものは回すのが普通。けれどそれをしてしまえば、リディアリアの居場所がなくなってしまう。そんなことを考えていたらしい。ディティラスらしくて、その理由を聞いたときは思わず笑ってしまった。
だからディティラスの負担を減らしたくて、体調が戻るのに比例してできる仕事をわけてもらったのだが、これが案外充実したものとなっていた。
元々、ディティラスの妻になることがリディアリアの目標だったため、妃としての勉強を日々少しずつやっていたのが功をなしたといえる。もちろん眠っている間に変わってしまったことも多々あるが、そこはルナがフォローをしてくれた。
妃としての仕事は書類仕事だけでなく、魔王城で働く騎士たちを労ったり、街で暮らす魔族たちと交流を持ったりなど、様々なものがある。これに関してはどうしても元の姿が必要となってくるため、元に戻れる三時間の間にできるだけ行っていた。
幸い長いこと眠っていたこともあってか、あまり顔を出すことのないリディアリアに対して、反感の声があまり上がることはなかった。この辺りのことをディティラスに尋ねてみると、どうやら眠りにつく前にリディアリアが行った行為を知っている者が上階級に多いことが、反感の声を上げない一つの理由だということだ。あとライトニングという存在も、大きく役に立っているらしい。
しかし妃であるリディアリアが行ったことは、上階級や戦争に参加した者にしか知られていないようで、全ては魔王であるディティラスの功績となっているらしい。これには眠りについているリディアリアに、万が一にも危険が及ばないようにとの判断から来ているとのことだった。
ここ最近魔王城で働くようになった者、スノウマリーなどからは反感の声が上がっているのは、このことを知らないからなのだろう。上の決定である以上、リディアリアも敢えて自身の口からはいうことをしないと決めていた。
最もディティラスによれば、近々その功績を返還してくれるとのことだった。リディアリアが目覚めたことで、魔王の大々的な結婚式を行うことができるようになった。それに合わせて、リディアリアの功績を返還する予定を立てているとのことだ。
結婚式さえ済めば、変な嫌味攻撃なども減ることだろう。
「ディティ、いつも魔力をありがとう。じゃあ行ってくるね」
「ああ、気をつけてな。ルナ、リディアリアをよろしく頼む」
リディアリアが元の姿に戻れる時間に制限があるせいか、元の姿に戻ったときはあまりリディアリアを引き留めようとはしない。ディティラスなりの気遣いなのだろう。
ディティラスはリディアリアの額にキスを落とすと、部屋をあとにした。
「んじゃ、ルナ。私たちも行こうか」
「はい、リディアリア様」
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