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事例1 九十九人殺しと孤高の殺人蜂【事件篇】
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いっそのこと、ここで全部ぶちまけてしまおうかとも考えていたが、それはもう少し先延ばしをしてやったほうが良さそうだ。こんな状況で、実は二人に0.5係の辞令が下されることになりそうだ――なんて話したら、二人の頭の処理能力がパンクしてしまいそうだ。尾崎辺りは一周回って逆に賢くなってしまうかもしれない。
「まぁ、その関係でな――坂田にも殺人蜂の案件を任せてあるんだ。もっとも、この独房から一歩も出ることなく、こちらが用意した資料だけを頼りにやって貰ってるんだが」
倉科が意図的に話を殺人蜂のほうへと振ると、待っていたと言わんばかりにベッドの下を漁り、くしゃくしゃになった資料を引っ張り出す坂田。その嬉しそうな姿は玩具箱を漁る子供であるかのようだ。資料を片手にベッドに腰をかけた坂田は、顔を上げてにたりと笑った。
「それで、坂田――。今回の事件に関しての、お前の見解は?」
尾崎と縁をおいてきぼりにしたまま事件の話を切り出す倉科。これまでの経験上、坂田をあまり待たせるようなことはしないほうがいい。構って貰えないことにヘソを曲げて、何も喋らなくなってしまうことがあるのだから――。尾崎と縁のほうが、坂田に比べて精神的に大人であろうし、混乱しているのは充分に分かってはいるつもりだが、とりあえず話について来て貰うしかない。むしろ、0.5係の話をするよりも事件の話をしたほうが、二人にとって頭のリセットになるだろう。リセットする話題にしては物騒な話になってしまうが。
「ざっと資料を見た感じだと、典型的な通り魔殺人だなぁ。お前達だって、ある程度の人物像は掴めているんだろう?」
坂田にそう言われて困ってしまった。こんな話になるとは思っていなかったから、今日は事件に関する資料を一切持ってきていない。確か、ある程度の人物像がプロファイリングによって割り出されていたはずであるが、どうにもそれを信頼できない古いタイプである倉科の頭の中には、それらの情報が一切入っていなかった。刑事は足で稼ぐものであって、統計学のような頭でっかちなものに頼るべきではない。坂田は割とプロファイリングを信頼しているようなのだが。
ここで答えられないなんて言ったら、坂田がヘソを曲げてしまうかもしれない。こんなことなら、常に資料を持ち歩いておけば良かった――。後悔する倉科の前に、すっと足を縁が踏み出したのは、そんな折のことだった。
「まぁ、その関係でな――坂田にも殺人蜂の案件を任せてあるんだ。もっとも、この独房から一歩も出ることなく、こちらが用意した資料だけを頼りにやって貰ってるんだが」
倉科が意図的に話を殺人蜂のほうへと振ると、待っていたと言わんばかりにベッドの下を漁り、くしゃくしゃになった資料を引っ張り出す坂田。その嬉しそうな姿は玩具箱を漁る子供であるかのようだ。資料を片手にベッドに腰をかけた坂田は、顔を上げてにたりと笑った。
「それで、坂田――。今回の事件に関しての、お前の見解は?」
尾崎と縁をおいてきぼりにしたまま事件の話を切り出す倉科。これまでの経験上、坂田をあまり待たせるようなことはしないほうがいい。構って貰えないことにヘソを曲げて、何も喋らなくなってしまうことがあるのだから――。尾崎と縁のほうが、坂田に比べて精神的に大人であろうし、混乱しているのは充分に分かってはいるつもりだが、とりあえず話について来て貰うしかない。むしろ、0.5係の話をするよりも事件の話をしたほうが、二人にとって頭のリセットになるだろう。リセットする話題にしては物騒な話になってしまうが。
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