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事例2 美食家の悪食【エピローグ】
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倉科の言葉に、恐々としながらも妙に合点がいった自分がいた。遺体を切断し、そして食してまでいたのだから、犯人が拠点となる場所を有していたのは確実だ。事実、発見された遺体の状況から、別の場所で殺害されてから遺棄されていたことは明らかになっていた。しかし――その拠点がまさか、ごくごく普通のマンションだったとは驚きである。
「わざわざ近隣住民に聞き込みはしていないが、そこそこ値段が張るだけあって、防音もしっかりしていたようだ。中谷が犯行に及んだところで周囲にばれなかったくらいだからなぁ」
犯罪は日常の片隅に溶け込んでいる。それこそ、ごくごく当たり前であるはずの風景の中に、さりげなく紛れ込むくらい自然に――。しかしながら、近隣住民が知ったら驚くことであろう。当たり前の日常の、文字通り隣では、人殺しという非日常的な行為が繰り返されていたのだから。聞き込みをあえてしなかったのは、近隣住民への配慮だと思われる。
「ちなみに、大きな旅行トランクを持ってマンションに出入りしている中谷の姿が、防犯カメラに映っていたそうだ。ここまでくると大胆不敵としか言いようがない。恐らく、薬で意識を朦朧とさせた犠牲者を、トランクに詰め込んで運び込んでいたんだろうな。その辺りの手口ははっきりとしていない。なんせ、事情聴取でも支離滅裂なことばかり言っているらしくてな」
坂田は倉科の話を、にたにたと笑みを浮かべつつ聞いている。その全貌に、こちらは脂汗さえかいているのに、どんな神経をしているのだろうか。
「まぁ、なんにせよ、そのマンションの一室が犯行現場である証拠はわんさかと出てきているらしい。犠牲者の血痕も出てきているし、凶器であろう大振りの鉈も見つかっている。それに、決定的なのは――」
「犠牲者の指が、冷蔵庫かそこらから見つかった――だろ?」
倉科の言葉を遮って、坂田がぽつりと呟いた。それを聞いて「なんで分かったんだ?」と目を丸くする倉科。坂田は少しばかり得意げな表情を浮かべると、改めて口を開いた。
「第二の犠牲者だよ。第二の犠牲者は指を全て切断されていたにもかかわらず、現場からは8本しか指が見つかっていない。恐らくだが、レシピの整合性を保つために、あえて現場に残すのは8本に留めたんだろうなぁ。8本と表記するのと、10本と表記するのじゃ文字数が異なるからな。となると、行方不明になっている2本の指は、犯人が保管している可能性が高ぇと思ってんだよ」
「わざわざ近隣住民に聞き込みはしていないが、そこそこ値段が張るだけあって、防音もしっかりしていたようだ。中谷が犯行に及んだところで周囲にばれなかったくらいだからなぁ」
犯罪は日常の片隅に溶け込んでいる。それこそ、ごくごく当たり前であるはずの風景の中に、さりげなく紛れ込むくらい自然に――。しかしながら、近隣住民が知ったら驚くことであろう。当たり前の日常の、文字通り隣では、人殺しという非日常的な行為が繰り返されていたのだから。聞き込みをあえてしなかったのは、近隣住民への配慮だと思われる。
「ちなみに、大きな旅行トランクを持ってマンションに出入りしている中谷の姿が、防犯カメラに映っていたそうだ。ここまでくると大胆不敵としか言いようがない。恐らく、薬で意識を朦朧とさせた犠牲者を、トランクに詰め込んで運び込んでいたんだろうな。その辺りの手口ははっきりとしていない。なんせ、事情聴取でも支離滅裂なことばかり言っているらしくてな」
坂田は倉科の話を、にたにたと笑みを浮かべつつ聞いている。その全貌に、こちらは脂汗さえかいているのに、どんな神経をしているのだろうか。
「まぁ、なんにせよ、そのマンションの一室が犯行現場である証拠はわんさかと出てきているらしい。犠牲者の血痕も出てきているし、凶器であろう大振りの鉈も見つかっている。それに、決定的なのは――」
「犠牲者の指が、冷蔵庫かそこらから見つかった――だろ?」
倉科の言葉を遮って、坂田がぽつりと呟いた。それを聞いて「なんで分かったんだ?」と目を丸くする倉科。坂田は少しばかり得意げな表情を浮かべると、改めて口を開いた。
「第二の犠牲者だよ。第二の犠牲者は指を全て切断されていたにもかかわらず、現場からは8本しか指が見つかっていない。恐らくだが、レシピの整合性を保つために、あえて現場に残すのは8本に留めたんだろうなぁ。8本と表記するのと、10本と表記するのじゃ文字数が異なるからな。となると、行方不明になっている2本の指は、犯人が保管している可能性が高ぇと思ってんだよ」
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