278 / 391
ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】
55
しおりを挟む
「はっきりと言う。それでも、できれば現場に向かうのは避けたい。そっちで車を用意してくれるのなら話は別だが」
自分の車を出すのが相当嫌らしい。鯖洲はそう断言すると、サンドウィッチを頬張った。具は卵とシンプルであるが、実に美味そうだ。つられてサンドウィッチを頬張ってみる。見た目通り、期待を裏切らない味だった。
「こちらで用意できるとなると――寺山の車くらいだけど、果たして寺山が首を縦に振るか分かりませんわ」
少し気が重たそうに溜め息を漏らしたコトリ。なぜ、そこで気が重くなるのか。寺山という人物が苦手なのだろうか。
「あいつはお抱えの運転手だからなぁ。車がなければ仕事にならねぇだろうし、車だけ貸してくれるなんてことはねぇだろうなぁ」
察するに、寺山という人物は、この家で運転手をしている人間らしい。そこで斑目は、この家が妙に静かな原因にたどり着いた。そうか、この家は広さに反比例して人がいないのか。勝手なイメージではあるが、家政婦が数名いても不自然ではない。
「でも、頼んでみるだけ頼んでみますわ。もしかすると、もしかするかもしれませんから――」
有言実行。善は急げ――というタイプなのであろう。コトリは立ち上がるとスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。多分、寺山という人物のところであろう。
「おはよう。ちょっとお願いがあるのだけど……」
電話をしながら席から離れるコトリ。まだ、この辺りでは早い時間に分類される時間帯であろうに、ワンコールもしないうちに、相手は電話に出た様子だった。
サンドウィッチに舌鼓を打ちつつ、待つことしばらく。スマホを片手に戻ったきたコトリは小さく溜め息を漏らす。
「残念ですが、お車を借りることはできないみたいですわ。彼も車がないと仕事になりませんし……」
その結果に、明らかに嫌そうな表情を見せたのは鯖洲だった。すでに一度、彼の車は犠牲となっているのであろう。しかし、次の一言で彼は安堵の溜め息らしきものを漏らした。
「ただし、彼も仕事としてであれば同行できるそうですわ。もう少ししたら表に車を回してもらう手筈になったから」
運転手の彼から車だけを借りるのは難しかったようだが、運転手ごとならば問題ないらしい。
「――左様でございますか。ならば、その通りに準備を。お茶のお代わりは?」
すなわち、食事をさっさと済ませろということなのであろう。冥からしっかりとお茶のお代わりを要求すると、残っていたハムサンド をいただく。こちらも卵サンドと同様、大変に美味だった。
自分の車を出すのが相当嫌らしい。鯖洲はそう断言すると、サンドウィッチを頬張った。具は卵とシンプルであるが、実に美味そうだ。つられてサンドウィッチを頬張ってみる。見た目通り、期待を裏切らない味だった。
「こちらで用意できるとなると――寺山の車くらいだけど、果たして寺山が首を縦に振るか分かりませんわ」
少し気が重たそうに溜め息を漏らしたコトリ。なぜ、そこで気が重くなるのか。寺山という人物が苦手なのだろうか。
「あいつはお抱えの運転手だからなぁ。車がなければ仕事にならねぇだろうし、車だけ貸してくれるなんてことはねぇだろうなぁ」
察するに、寺山という人物は、この家で運転手をしている人間らしい。そこで斑目は、この家が妙に静かな原因にたどり着いた。そうか、この家は広さに反比例して人がいないのか。勝手なイメージではあるが、家政婦が数名いても不自然ではない。
「でも、頼んでみるだけ頼んでみますわ。もしかすると、もしかするかもしれませんから――」
有言実行。善は急げ――というタイプなのであろう。コトリは立ち上がるとスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた。多分、寺山という人物のところであろう。
「おはよう。ちょっとお願いがあるのだけど……」
電話をしながら席から離れるコトリ。まだ、この辺りでは早い時間に分類される時間帯であろうに、ワンコールもしないうちに、相手は電話に出た様子だった。
サンドウィッチに舌鼓を打ちつつ、待つことしばらく。スマホを片手に戻ったきたコトリは小さく溜め息を漏らす。
「残念ですが、お車を借りることはできないみたいですわ。彼も車がないと仕事になりませんし……」
その結果に、明らかに嫌そうな表情を見せたのは鯖洲だった。すでに一度、彼の車は犠牲となっているのであろう。しかし、次の一言で彼は安堵の溜め息らしきものを漏らした。
「ただし、彼も仕事としてであれば同行できるそうですわ。もう少ししたら表に車を回してもらう手筈になったから」
運転手の彼から車だけを借りるのは難しかったようだが、運転手ごとならば問題ないらしい。
「――左様でございますか。ならば、その通りに準備を。お茶のお代わりは?」
すなわち、食事をさっさと済ませろということなのであろう。冥からしっかりとお茶のお代わりを要求すると、残っていたハムサンド をいただく。こちらも卵サンドと同様、大変に美味だった。
0
あなたにおすすめの小説
その人事には理由がある
凪子
ミステリー
門倉(かどくら)千春(ちはる)は、この春大学を卒業したばかりの社会人一年生。新卒で入社した会社はインテリアを専門に扱う商社で、研修を終えて配属されたのは人事課だった。
そこには社長の私生児、日野(ひの)多々良(たたら)が所属していた。
社長の息子という気楽な立場のせいか、仕事をさぼりがちな多々良のお守りにうんざりする千春。
そんなある日、人事課長の朝木静から特命が与えられる。
その任務とは、『先輩女性社員にセクハラを受けたという男性社員に関する事実調査』で……!?
しっかり女子×お気楽男子の織りなす、人事系ミステリー!
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。
この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
怪蒐師
うろこ道
ホラー
第8回ホラー•ミステリー大賞で優秀賞を受賞しました。ありがとうございました!
●あらすじ
『階段をのぼるだけで一万円』
大学二年生の間宮は、同じ学部にも関わらず一度も話したことすらない三ツ橋に怪しげなアルバイトを紹介される。
三ツ橋に連れて行かれたテナントビルの事務所で出迎えたのは、イスルギと名乗る男だった。
男は言った。
ーー君の「階段をのぼるという体験」を買いたいんだ。
ーーもちろん、ただの階段じゃない。
イスルギは怪異の体験を売り買いする奇妙な男だった。
《目次》
第一話「十三階段」
第二話「忌み地」
第三話「凶宅」
第四話「呪詛箱」
第五話「肉人さん」
第六話「悪夢」
最終話「触穢」
※他サイトでも公開しています。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
七竈 ~ふたたび、春~
菱沼あゆ
ホラー
変遷していく呪いに終わりのときは来るのだろうか――?
突然、英嗣の母親に、蔵を整理するから来いと呼び出されたり、相変わらず騒がしい毎日を送っていた七月だが。
ある日、若き市長の要請で、呪いの七竃が切り倒されることになる。
七竃が消えれば、呪いは消えるのか?
何故、急に七竃が切られることになったのか。
市長の意図を探ろうとする七月たちだが――。
学園ホラー&ミステリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる