ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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「その通り。当日、犯人は犯行に及んだ後、被害者のポケットの中にオリジナルの扉の鍵を紛れ込ませた。この時点でドアノブごと鍵が交換されているのだから、密室にするためにオリジナルの鍵は不要になりますわ。こうして、外に出た犯人は、自分が交換したドアノブの鍵をかけ、その場でドアノブをオリジナルのものに戻したのよ。こうすることで、一見して完璧な密室ができあがりますわ」

 もし、言葉だけであれば、絵空ごとだと捉えられていたのかもしれない。しかしながら、目の前でコトリは全く同じことをやってのけたのだ。まさか、ドアノブごと――いいや、鍵そのものを交換してしまうことで、密室が作り上げられていたとは。

「さてさて、ここまではよろしいこと? このトリックを前提とすると、あることが見えてくるのだけど、それは誰か分かるかしら?」

 コトリは周囲に確認しつつ推測を進める。一同から反応がなかったことを、異議なしと見做したコトリは、続いて周囲に問いかける。それに即座に反応したのは冥だった。

「物件の特徴を知る必要があったこと。鍵を容易に手に入れることが可能だったこと。それらのことを考えると、犯人はごくごく窓辺野不動産の身近にいる人間だと考えられます」

 真っ先に思い浮かんだのは、窓辺野不動産でこの物件を担当した営業だった。物件の特徴を把握できる人物など、そうそういないのではないだろうか。もし仮に、このトリックのためだけに、ここが買い取られたのだとすれば、かなり怪しいことになる。

「その通りですわ。それにね、犯人はもう名乗り出てしまっているのよ。自分が犯人であると――ね」

 コトリはそう言うと、一同から視線を外すかのごとく空を見上げた。つられて空を見上げてみるが、そこに答えなんて書いていない。きっと、コトリは目を逸らしたのだ。この場にいる誰かから。

「俺はあの営業が怪しいと思うがな。そいつ、一里之と仲が悪かったんだろ? だから、一里之が罪を被るような形で現場を作りあげたんじゃねぇのか? 今からでも遅くねぇから、そいつをとっ捕まえて話を聞いてやろうぜ」

 鯖洲も斑目と同意見のようであり、ぽつりと「腕がなるぜ」と言いつつ指を鳴らす。コトリはその様子を見て笑顔を浮かべた。

「そうですわね。まずは彼にお話を聞いてみるのもいいかもしれませんわ。きっと、裏付けにもなるでしょうし」
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