ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

文字の大きさ
324 / 391
ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

41

しおりを挟む
 わざわざ玄関先まで出てきてくれた元自治会長に再三の礼を言うと、斑目はコトリと共に家を出た。コトリが真っ先に向かったのは、目と鼻の先にある空き地――千早が待っている現場だった。

「どうでした?」

 会話の流れから、斑目達が家から出てくることを悟ったのであろう。空き地の前で千早が待っていた。

「記録を拝見させていただいたけど、私の家に関与している車の記録はなかったみたい。まぁ、なんとなく分かっていたことだったのだけど」

 千早に報告するコトリ。すると、千早が少しばかり笑みを漏らした。

「どうやら、調べる前から薄々と気づいていたみたいですね。誘拐事件そのものは、被害者による狂言だったと」

 照らし合わせたかのようにコトリが頷いた。どうやら、千早も同じことを考えていたらしい。

「えぇ。ここは有名な心霊スポットであり、それこそ毎晩のように人が入れ替わりでやって来ていた。おそらく、どれだけうまく被害者を隠そうとしたって、いずれは誰かに見つかっていたことでしょう。しかし、不思議なことに、監禁されていたであろう被害者の姿は誰も目撃していない。これから考えられることは、おそらくひとつだけ」

「そもそも、ここに被害者は監禁などされていなかった。実は他の場所にいて、誘拐事件を演じるタイミングで、ここへと来るつもりだったと思われます。まぁ、計算違いだったのは、ここが廃病院というスポットであったせいで、肝試し目的の人達が殺到していたという事実でしょうね」

 千早とコトリが阿吽の呼吸であるかのごとく、この場所で起きたと思われることを推測していく。鬼に金棒ということわざがあったりするが、まさしくそれだと斑目は思った。果たしてどちらが鬼で、どちらが金棒なのか。

「誘拐事件そのものは、初めから狂言だった。だからこそ、人の出入りが激しい場所であるにも関わらず、監禁されていたはずの被害者が見つからなかった。もちろん、不審な車の情報も残らなかったわけです」

 千早が口を開くと、負けじとコトリも口を開く。コトリのほうが少しばかり千早に張り合おうとしているように見えるのは、きっと気のせいではないのだろう。

「おそらく、警察が妙に消極的なのは、かなり早い段階から狂言誘拐だと分かっていたからじゃないかしら? もしかすると、狂言だと気づいたお父様が、警察の方に相談したのかもしれない。私は当事者ではあるけど、部屋にいることを命じられていましたから、どのようなやり取りがあったのか知りませんし」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

その人事には理由がある

凪子
ミステリー
門倉(かどくら)千春(ちはる)は、この春大学を卒業したばかりの社会人一年生。新卒で入社した会社はインテリアを専門に扱う商社で、研修を終えて配属されたのは人事課だった。 そこには社長の私生児、日野(ひの)多々良(たたら)が所属していた。 社長の息子という気楽な立場のせいか、仕事をさぼりがちな多々良のお守りにうんざりする千春。 そんなある日、人事課長の朝木静から特命が与えられる。 その任務とは、『先輩女性社員にセクハラを受けたという男性社員に関する事実調査』で……!? しっかり女子×お気楽男子の織りなす、人事系ミステリー!

死者からのロミオメール

青の雀
ミステリー
公爵令嬢ロアンヌには、昔から将来を言い交した幼馴染の婚約者ロバートがいたが、半年前に事故でなくなってしまった。悲しみに暮れるロアンヌを慰め、励ましたのが、同い年で学園の同級生でもある王太子殿下のリチャード 彼にも幼馴染の婚約者クリスティーヌがいるにも関わらず、何かとロアンヌの世話を焼きたがる困りもの クリスティーヌは、ロアンヌとリチャードの仲を誤解し、やがて軋轢が生じる ロアンヌを貶めるような発言や行動を繰り返し、次第にリチャードの心は離れていく クリスティーヌが嫉妬に狂えば、狂うほど、今までクリスティーヌに向けてきた感情をロアンヌに注いでしまう結果となる ロアンヌは、そんな二人の様子に心を痛めていると、なぜか死んだはずの婚約者からロミオメールが届きだす さらに玉の輿を狙う男爵家の庶子が転校してくるなど、波乱の学園生活が幕開けする タイトルはすぐ思い浮かんだけど、書けるかどうか不安でしかない ミステリーぽいタイトルだけど、自信がないので、恋愛で書きます

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】 明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。 維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。 密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。 武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。 ※エブリスタでも連載中

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳 様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。 子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開? 第二巻は、ホラー風味です。 【ご注意ください】 ※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます ※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります ※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます 第二巻「夏は、夜」の改定版が完結いたしました。 この後、第三巻へ続くかはわかりませんが、万が一開始したときのために、「お気に入り」登録すると忘れたころに始まって、通知が意外とウザいと思われます。 表紙イラストはAI作成です。 (セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ) 題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております

獅子の末裔

卯花月影
歴史・時代
未だ戦乱続く近江の国に生まれた蒲生氏郷。主家・六角氏を揺るがした六角家騒動がようやく落ち着いてきたころ、目の前に現れたのは天下を狙う織田信長だった。 和歌をこよなく愛する温厚で無力な少年は、信長にその非凡な才を見いだされ、戦国武将として成長し、開花していく。 前作「滝川家の人びと」の続編です。途中、エピソードの被りがありますが、蒲生氏郷視点で描かれます。

怪蒐師

うろこ道
ホラー
第8回ホラー•ミステリー大賞で優秀賞を受賞しました。ありがとうございました! ●あらすじ 『階段をのぼるだけで一万円』 大学二年生の間宮は、同じ学部にも関わらず一度も話したことすらない三ツ橋に怪しげなアルバイトを紹介される。 三ツ橋に連れて行かれたテナントビルの事務所で出迎えたのは、イスルギと名乗る男だった。 男は言った。 ーー君の「階段をのぼるという体験」を買いたいんだ。 ーーもちろん、ただの階段じゃない。 イスルギは怪異の体験を売り買いする奇妙な男だった。 《目次》 第一話「十三階段」 第二話「忌み地」 第三話「凶宅」 第四話「呪詛箱」 第五話「肉人さん」 第六話「悪夢」 最終話「触穢」 ※他サイトでも公開しています。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

処理中です...