350 / 391
ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
67
しおりを挟む
「……分かりました。何か事情がおありのようで。私の独断になってしまいますが、許可しましょう」
鯖洲が救急車に乗り込むのを横目で見ながら、救急隊員は小さく頷いた。斑目は「恩に着ます」と頭を小さく下げた。
斑目が目配せをしてくる。乗れということなのであろう。それに従い、コトリと冥が同乗。そこに斑目と千早まで乗り込むという、大所帯での付き添いとなった。
「用心していたが、まさかあれだけ人目のあるところで仕掛けてくるとはな――。くそ、正直なところ油断してたぜ」
救急隊員から簡単な手当てを受けながら呟き落とす鯖洲。コトリはとうとう我慢できずに聞くことにした。なんだか、自分が当事者でありながら、蚊帳の外みたいになっているのが気に入らない。
「一体、何が起きているの? さっきの方、間違いなく私のことを狙っていましたわ」
きっと、救急隊員の前でするべき話ではないのだろう。しかしながら、今は少しでもお互いに情報を共有しておきたい。
「多分だが、お嬢のことを狙ってる連中だよ――。どうやら過去の事件はな、俺達が触れちゃいけない事件だったんだよ。あれがきっかけになって、こんなことになってる。そうだろ?」
鯖洲はそこで斑目のほうへと視線を移した。どう答えるべきか、明らかに迷った様子の斑目は、ただ浅く頷いたばかりだった。
「正直、私も状況が分かっておりません。なぜ、お嬢様が狙われることになるのですか?」
冥の疑問に対して、斑目と鯖洲が顔を見合わせる。お互いに牽制し合ったのち、斑目が口を開いた。
「過去の事件について、暴かれると困る方がいるようです。おそらく彼らは雇われたプロでしょうね。いよいよ小説みたいな話になってきましたけど、思っている以上に大きな力が働いているようです」
なんとも馬鹿げた話なのであろう。普通に考えたら、まず有り得ない話でもある。しかしながら、現実として目の前で起きてしまっている。
「――はぐらかす必要はねぇよ。お嬢にはある程度のことを話してある。いっそのこと、はっきりと伝えてやれ。それは俺よりも刑事のあんたのほうがいいだろうよ」
救急車は物凄いスピードで走っているのであろう。すぐに病院へと到着してしまいそうだ。いや、それが目的なのだから、当然といえば当然なのであるが。
「そうですか。それなら遠慮なく、今知っていることを全てお話しします。かなりショッキングな内容になると思いますが、心の準備はいいですか?」
鯖洲が救急車に乗り込むのを横目で見ながら、救急隊員は小さく頷いた。斑目は「恩に着ます」と頭を小さく下げた。
斑目が目配せをしてくる。乗れということなのであろう。それに従い、コトリと冥が同乗。そこに斑目と千早まで乗り込むという、大所帯での付き添いとなった。
「用心していたが、まさかあれだけ人目のあるところで仕掛けてくるとはな――。くそ、正直なところ油断してたぜ」
救急隊員から簡単な手当てを受けながら呟き落とす鯖洲。コトリはとうとう我慢できずに聞くことにした。なんだか、自分が当事者でありながら、蚊帳の外みたいになっているのが気に入らない。
「一体、何が起きているの? さっきの方、間違いなく私のことを狙っていましたわ」
きっと、救急隊員の前でするべき話ではないのだろう。しかしながら、今は少しでもお互いに情報を共有しておきたい。
「多分だが、お嬢のことを狙ってる連中だよ――。どうやら過去の事件はな、俺達が触れちゃいけない事件だったんだよ。あれがきっかけになって、こんなことになってる。そうだろ?」
鯖洲はそこで斑目のほうへと視線を移した。どう答えるべきか、明らかに迷った様子の斑目は、ただ浅く頷いたばかりだった。
「正直、私も状況が分かっておりません。なぜ、お嬢様が狙われることになるのですか?」
冥の疑問に対して、斑目と鯖洲が顔を見合わせる。お互いに牽制し合ったのち、斑目が口を開いた。
「過去の事件について、暴かれると困る方がいるようです。おそらく彼らは雇われたプロでしょうね。いよいよ小説みたいな話になってきましたけど、思っている以上に大きな力が働いているようです」
なんとも馬鹿げた話なのであろう。普通に考えたら、まず有り得ない話でもある。しかしながら、現実として目の前で起きてしまっている。
「――はぐらかす必要はねぇよ。お嬢にはある程度のことを話してある。いっそのこと、はっきりと伝えてやれ。それは俺よりも刑事のあんたのほうがいいだろうよ」
救急車は物凄いスピードで走っているのであろう。すぐに病院へと到着してしまいそうだ。いや、それが目的なのだから、当然といえば当然なのであるが。
「そうですか。それなら遠慮なく、今知っていることを全てお話しします。かなりショッキングな内容になると思いますが、心の準備はいいですか?」
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
呪われた少女の秘された寵愛婚―盈月―
くろのあずさ
キャラ文芸
異常存在(マレビト)と呼ばれる人にあらざる者たちが境界が曖昧な世界。甚大な被害を被る人々の平和と安寧を守るため、軍は組織されたのだと噂されていた。
「無駄とはなんだ。お前があまりにも妻としての自覚が足らないから、思い出させてやっているのだろう」
「それは……しょうがありません」
だって私は――
「どんな姿でも関係ない。私の妻はお前だけだ」
相応しくない。私は彼のそばにいるべきではないのに――。
「私も……あなた様の、旦那様のそばにいたいです」
この身で願ってもかまわないの?
呪われた少女の孤独は秘された寵愛婚の中で溶かされる
2025.12.6
盈月(えいげつ)……新月から満月に向かって次第に円くなっていく間の月
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ボクとセンセイの秘密
七町 優
恋愛
高校2年のボクと24歳のセンセイの秘密を描いたストーリーです。
タイトルで分かるとは思うのですが、恋愛ストーリーです。
一応登場人物たちのいる学校は関西という設定です。
なので関西弁での会話が多くなります。
ボクとセンセイの濃いような淡いような恋愛ストーリーをお楽しみください。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる