ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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「もっともの問題は、窓辺野コトリをどこまで演じられるかです。しかし、おそらくは妹を殺してしまった現実から逃避するためだったのでしょう。狂言誘拐で妹のコトリを演じている内に、あなたは本気で自分が窓辺野コトリだと思い込んでしまった。この辺りのことは医学的な見解などはありませんから、これらの情報を統合しての憶測でしかありませんが、件の事件をきっかけにして、窓辺野あかりが窓辺野コトリになったことは間違いありません。この事実もまた屋敷内ではタブー視されていたみたいですね」

 あり得ない。なんともあり得ない話だ。あらゆるところで口裏が合わされていたなんて。しかも、自分がいつしか現実から逃避するために、コトリを演じていたなんて。そんこと信じられるわけがない。

「お医者様に診てもらったわけではないようですので、これを機会に診てもらったほうがいいかもしれません。これは、素人考えになりますが、コトリさんが独特なキャラクターだったのも、事故物件に執着を見せるという奇妙な設定も、窓辺野コトリという人物像を確立させ、演じやすいようにするためだったのだと思います」

 斑目と千早から、次々と投げかけられる事実に対抗すべく、コトリはまだ抵抗を続ける。

「もしかして、セバスチャン達も口裏を合わせていたということ?」

 支離滅裂なのは自分でも分かっている。ただただ難癖をつけようとしていることも分かっていた。でも、そうでもしなければ受け入れられない。こんなこと、絶対に認めるわけにはいかないのだ。

「いいえ、彼らがあなたと出会ったのは、すでにあなたが窓辺野コトリとなってからでしょう? もちろん、一里之君だってそうです。あなたが窓辺野コトリと名乗ることを、当然のように受け入れている。普通、いちいち戸籍謄本を取り寄せて、それが本当かどうか調べたりなんてしませんから」

 もう、ぶつけられる疑問がない。そもそも、鯖洲達についての疑問なんて、考えずとも答えが分かっていたものだった。それでも、その疑問を投げつけたのは、それだけコトリが追い詰められていたからなのかもしれない。

「――例え、それが本当だったとして、どうして私が誰かに狙われなければいけないの?」

 ようやく絞り出した疑問は、しかし問題として目の前に突きつけられ、それこそ早期に解決する必要のあるものだった。
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