ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【エピローグ】

ケース5 誕生秘話は惨劇へ【エピローグ】1

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 久方ぶりの外は新鮮だった。よく、シャバの空気はうまいなんて言われるが、まさしく本当にそうなのだなと一里之は思った。

 釈放される際には、わざわざコトリ達が迎えに来てくれた。いいや、彼女のことをどう呼んでいいものなのか、いまだに一里之は困る。

 わざわざこっちのほうまで来てくれた斑目と千早に礼を言いたかったのであるが、残念なことに一足先に地元へと帰ってしまったらしい。今年の年末には、手土産を持って彼らの元を訪ねようと思う。

「――それで、どうだったよ? 思ったより居心地は悪くなかっただろ?」

 助手席の鯖洲が言う。どうして自分がハンドルを握らなければならないのか。たまたま逮捕される際に所持品として財布を持っていたから良かったものの、下手をすれば無免許運転になるところだった。

「最悪だった。もう二度とあんなところには入りたくないですね」

 車を運転するのも久しぶりであるが、こうして見知った顔で言葉を交わすことも、随分と久しい気がする。

「それにしても、寺山さんが犯人だったなんて……しかも、俺が過去の事件を調べたことが引き金になっていたって。その――なんて言ったら」

 ルームミラー越しに、後部座席のコトリ……かつてそうだった彼女と目を合わせた。

「一里之君のおかげで、ずっと逃げ続けていた過去の記憶と向き合うことができた。その結果、ずっと後ろめたく思っていたことが事実と異なることが分かった。それに加えて、自分は自分で思っている人物と別人だということも分かりましたわ。感謝こそしても、余計なことをしてくれたとか、そんなことは思っていませんわ」

 彼女はそう答えてくれたが、しかしどうもしっくりと来ない。だって、彼女が全てを知ってしまったということは、事故物件にあやかって自らを保とうとする必要もなくなる。そうなれば、この人達ともお別れになってしまうのではないか。

「お嬢様はお嬢様でいいと思います。結局のところ、ここにいるメンバーは過去のお嬢様のことを知りません。だから、お嬢様が実は別人だったとしても問題はないというか、私達は最初からその別人と接してきたわけですから、そこまで気にかける必要もないかと」

 この事実を知った時は驚いた。まさかコトリだとばかり思っていた人物が、姉のあかりのほうだったとは。そんな現実離れしたことあり得ないと思っていたが、しかしどうやら本当にそうらしい。不思議なものだ。
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