巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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「あのねぇ、海外じゃ犯罪者が射殺されることだってあるわけよ。日本の警察って舐められることが多いけどさぁ、中には例外もあるってこと、覚えておいて欲しいなぁ」

 顔の怖い男……彼女と同じ課に属する田之上竜司たのうえりゅうじが、煙の上がったリボルバーを片手に負傷した男のところへと歩み寄る。

「ねぇ、今どんな感じ? 撃たれないとでも思った? 痛いでしょ? 思ったより痛いでしょう?」

 負傷した男は痛みのあまり声が出せない様子だった。けれども、そんなことはお構いなしに、彼は逆上した。

「こっちが質問してるんだから、なんか答えろよぉ! ねぇ、痛かったでしょう? 痛かったでしょう? バーカ、バーカ! 俺達で殺っちゃおうぜぇ――とか、どの口が叩いたのかなぁ? ねぇ? どの口ぃ!」

 とうとうたがの外れた田之上が、男の腹部を何度も蹴り付けながら声を荒げた。その表情には明らかに笑みが浮かんでいる。その様子を見ていた他の男達は、完全に正気を取り戻したようだった。しかし、誰一人として負傷した男を助けようとはせず、また動きもしない。彼の狂気に圧倒されているのかもしれない。

「……ね? 大人しくしないとこうなるから。みなさん、気を付けてくださいね」

 男を蹴ることを止めた田之上が、呼吸を荒げながら額の汗を拭った。何度も蹴られた男は、口の端から泡を吹いていた。まぁ、命には別状ないだろう。

 警察がいとも簡単に発砲するなど、平和ボケした日本では見ることのできない光景だ。仮にそんなことがあれば、まず問題となるだろう。だからこそ、田之上の見せしめは効果絶大であり、さっきまで殺気を放っていた連中も尻込みしているようだった。

 後は一課の連中に連絡を取り、手柄を横取りされて終了。実に割に合わないし、危険な仕事ではあるが、どうやら今回も無事に仕事は完了となるようだ。

「はい、それじゃ今から本職の人達呼びますから。全員正座して待っていて下さいね。あ、ちなみに今見たことは他言無用でお願いしまーす。俺、始末書とか書き飽きてるしぃ、お偉いさんから説教されるのも面倒なのでぇ、見なかったことにしてくださーい。もし告げ口したらぶっ殺しまーす」

 ほんの一瞬で店内を支配下に置いた田之上は、改めてパンパンと手を叩きつつ満面の笑みを浮かべる。けれども、そんな田之上に圧倒されているのか、誰も返事をしようとしない。
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