17 / 95
ようこそ捜査第六課へ
11
しおりを挟む
「別に選ばれてないし、そこまでビッチじゃないもん!」
紹介のされ方が面白くなかったのか、しっかりと田之上に反論してから、改めて堀口のほうへと向き直る雅。
「あ、初めましてぇ……。天野雅ですぅ。で、えっと――誰ですか?」
頭をぺこりと下げると、堀口の顔を見て首をかしげる雅。少しばかり天然というか、変な子である。
「雅……お前、上からのお達しに目を通してねぇだろ。今日から新人が配属されるって通達が、かなり前に出てただろうが」
ソファーに寝転がった田之上は、またしても週刊誌を広げながら溜め息を漏らす。
「えー。そうだったっけ?」
雅はそう言って、その場をごまかすかのような笑みを浮かべた。
「県警本部捜査第一課よりこちらに着任しました。堀口誠巡査長です。よろしくお願いします」
六課の有様に頭の中はなかばパニック状態であったが、条件反射のように自己紹介をする堀口。それに対して、雅が敬礼を返してきた。
「日々の坂署、捜査第六課所属、天野雅隊長です! 好きな食べ物プリンです! 特に駅前にある宝文堂の焼きプリンは絶品であります!」
真面目に挨拶を返したというより、堀口を真似ておちゃらけたような挨拶であったが、ここでは挨拶を返してもらえただけでも良しと考えたほうが良さそうだ。
「隊長なんて階級はねぇだろうが……。あぁ、堀口だっけ? ここじゃ階級なんてあってないようなもんだ。いちいち、階級まで言わなくていいから」
仰向けになったまま週刊誌を広げる田之上は、大きな欠伸をひとつ。一方、堀口への挨拶を終えた雅は、廊下に並んだロッカーの中からホウキとチリトリを取り出し、慣れた手付きで割れた鏡を片付け始めた。堀口と衝突した際に割れたものであり、手伝おうとしたが「あ、大丈夫だよ。手鏡程度」と言われてしまった。弁償もしなくて良いと解釈していいのだろうか。
「それと、お前の机はそこな。適当に使ってくれ」
田之上はもう一度大きな欠伸をすると、あごでデスクが並んでいる辺りを指し、週刊誌を長テーブルの上へと放り投げる。そして、両腕を頭の後ろで組むと、目を閉じながらこう続けた。
「とりあえず、俺は寝るから。飯の時間になったら起こしてくれ」
全てが有り得なかった。これまで捜査一課に所属していた堀口には、目の前で起きる全てのことが信じがたかった。
「あの、仕事のほうは……」
もしかすると、彼は徹夜で仕事をしていたのかもしれない。そんなことを思いつつも、念のために田之上へと問いかけてみる。
紹介のされ方が面白くなかったのか、しっかりと田之上に反論してから、改めて堀口のほうへと向き直る雅。
「あ、初めましてぇ……。天野雅ですぅ。で、えっと――誰ですか?」
頭をぺこりと下げると、堀口の顔を見て首をかしげる雅。少しばかり天然というか、変な子である。
「雅……お前、上からのお達しに目を通してねぇだろ。今日から新人が配属されるって通達が、かなり前に出てただろうが」
ソファーに寝転がった田之上は、またしても週刊誌を広げながら溜め息を漏らす。
「えー。そうだったっけ?」
雅はそう言って、その場をごまかすかのような笑みを浮かべた。
「県警本部捜査第一課よりこちらに着任しました。堀口誠巡査長です。よろしくお願いします」
六課の有様に頭の中はなかばパニック状態であったが、条件反射のように自己紹介をする堀口。それに対して、雅が敬礼を返してきた。
「日々の坂署、捜査第六課所属、天野雅隊長です! 好きな食べ物プリンです! 特に駅前にある宝文堂の焼きプリンは絶品であります!」
真面目に挨拶を返したというより、堀口を真似ておちゃらけたような挨拶であったが、ここでは挨拶を返してもらえただけでも良しと考えたほうが良さそうだ。
「隊長なんて階級はねぇだろうが……。あぁ、堀口だっけ? ここじゃ階級なんてあってないようなもんだ。いちいち、階級まで言わなくていいから」
仰向けになったまま週刊誌を広げる田之上は、大きな欠伸をひとつ。一方、堀口への挨拶を終えた雅は、廊下に並んだロッカーの中からホウキとチリトリを取り出し、慣れた手付きで割れた鏡を片付け始めた。堀口と衝突した際に割れたものであり、手伝おうとしたが「あ、大丈夫だよ。手鏡程度」と言われてしまった。弁償もしなくて良いと解釈していいのだろうか。
「それと、お前の机はそこな。適当に使ってくれ」
田之上はもう一度大きな欠伸をすると、あごでデスクが並んでいる辺りを指し、週刊誌を長テーブルの上へと放り投げる。そして、両腕を頭の後ろで組むと、目を閉じながらこう続けた。
「とりあえず、俺は寝るから。飯の時間になったら起こしてくれ」
全てが有り得なかった。これまで捜査一課に所属していた堀口には、目の前で起きる全てのことが信じがたかった。
「あの、仕事のほうは……」
もしかすると、彼は徹夜で仕事をしていたのかもしれない。そんなことを思いつつも、念のために田之上へと問いかけてみる。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる